第三十六章 ポータルへの道
不思議なことに、自己犠牲で少女を蘇生させるという選択肢が出てこなかった。彼女はここに倒れて息もしていないのに。念のため市民リストを開いてみた。やっぱり変だ、彼女は生きていることになっている。でも待てよ。さっきは65歳と表示されていたはずだ。なんで今は58歳になってるんだ?
もしかして、この場所では死が本当の死じゃないってことか? そういえば、この娘は最初から何をすべきか知っていたみたいだったし、守護者を起動した後に誰と会うことになるかも予想していたんだろう。だからすぐに「助っ人」を探していたんだ。
考え込んでいる俺をジョニーの声が引き戻した。
「なあ兄弟、そのポータルとやらがどこにあるか見えてんのか?」
「ああ、行こう」
俺たちは武器を回収して(騎士がいない俺には手榴弾が二つだけ手に入った)、城からの出口を探しに向かった。幸い、もう夜が明け始めていたから、松明を探し続けなくても方向を見つけやすかった。
「お前、俺がアルヴァーだって、いつから気づいてたんだ?」
「はっ、別に即座ってわけじゃないが、レイダーに襲われたあの格納庫の後で、お前が前のゾーンで何をやったか理解したんだ」ジョニーは無邪気に笑って言った。
「それでも構わないのか?」
「何を聞いてたんだよ、兄弟。俺にしてみりゃ、どこ出身だろうがまともな奴として振る舞ってくれりゃそれでいいんだ」
「ありがとう。そう思ってくれて嬉しい」
ジョニーは手を振ってそれを払いのけたが、少し表情を曇らせ、俺を問いかけるように見つめて言った。
「だが、俺の手を握ってたのはタダじゃないんだろ? 結局あの娘と同じように、俺も殺すつもりなんだろ?」
「ああ、それも選択肢の一つだった。だが、もし死んだとしてもお前を蘇らせることもできるし、強化だって悪くないだろ?」
「はっ、そういうことか。お前と一緒にいりゃ神様だって信じちまうぜ、兄弟。お前が起こせる奇跡ときたら、マジでぶっ飛んでやがる」ジョニーは頭を振りながら陽気に言った。
「それならさ、すごく大事なお願いがあるんだけど」
「ああ、言ってみろよ」
「フレムテックの連中がまた同じ手を使うと思うんだ。お前らが俺たちを攻めてる隙に背後から襲いかかる、ってやつ。だから停戦を提案したい。一緒にやれば勝てるだろ?」
ジョニーは一瞬考え込んだ後、嬉しそうに俺の肩を叩いた。
「それ最高じゃねえか! あのクソ野郎どもを壁に叩きつけるの、マジで楽しみだぜ! ただ、俺は別のギルドだし、しかも大したとこじゃねえからさ、うちの連中を説得して他のギルドに圧力かけられるかどうか……わかんねえな」
「頼むよ。もし上手くいったら、お前らの民間人も受け入れられる。失業者がいればの話だけど。俺はテクガンの『ロートク』を持ってるし、それどころか『夜明けの守護者』の女の子と結婚してるんだ。つまり、お前らの大ファンってわけ」俺は胸に手を当てて微笑んだ。ジョニーにもっと影響を与えるためでもあったし、あの面白いジェシーを思い出したからでもあった。
「マジかよ、予想外だわ。なら絶対頑張らないとな?」テクガンの男がウインクしてきた。
「ああ、頑張らないとな」
結局、俺たちは城から二つ目の出口を見つけた。昨晩登ったあの岩からの下り道じゃなく、光の柱の方向に続く出口だ。細い山道を通って、小さな森にたどり着いた。心地よく爽やかな空気、鳥のさえずりまで聞こえる。ここが荒野だとばかり思っていたんだけどな。
森の中には道なんてなかったから、とにかく突き進むしかなかった。幸い、朝の明るさの中でも光の柱は見えていた。歩いていると、メッセージが表示された。
「新しい日の始まり。アクティブな試練中は月額料金を徴収しない」
その後に派閥リストと遅れている者たちの情報。それだけだ。一年分助かった、ありがたい話だ。
やがて俺たちは空き地に出た。木々がそれを取り囲んで、あまりにも整った円を描いている。真ん中では泉が湧き出ていて、ミニ池を作り、その周りを生い茂る植物が囲んでいた。
そしてこの野生の自然の中で、ガラス張りの展示スタンドがとても場違いに見えた。辺りを見回すと、大きな木の幹に文字が刻まれていた。「ゾーン4。アンジュヘル派閥領域」
「兄弟、どうやらここはもう全部持ってかれてるな。行こうぜ」
「ああ、本当にそろそろ行かないとな」
俺たちはゆっくりと歩き出した。まるで美しい草地ではなく、地雷原を踏むような慎重さだった。あれだけ不気味なことが起きた後では、こういう場所の方が、あの城よりもよっぽど怖いと思う。
草地の端まで来たところで、俺たちは立ち止まった。風が吹き上がり、瞬時に止んだ。風が止んだ後も、葉擦れの音は続いている。ジョニーが手に持つ自動小銃を握りしめ、俺はアーチャーを発動させてライフルを構えた。
空気の湿度が明らかに上がり、足元に霧が湧き始め、やがて周囲の木々がすべて白い幕の向こうに消えた。ジョニーのすぐ隣に立っているのに、もうほとんど姿が見えない。
「なんだこのクソは?」兵士の大きな声が聞こえた。そして突然、咳き込み始めた。
霧は徐々に晴れていった。現れた時と同じくらい、あっという間に。
「行こう、ジョニー」俺は囁いて一歩踏み出そうとした瞬間、腕を掴まれ、強く握られた。
「待て、アルヴァー」ジョニーが乾いた声で言った。
俺はテクガンの男の方を振り向いたが、彼はただ俺の腕を掴んだまま、間の抜けた笑みを浮かべているだけだった。
「石材を見せてくれ」
「え、何で?見ただろ」俺は理解できずに訊き、掴まれた腕を抜こうとした。
「俺は見てない。ただ興味があるんだ。俺はこんなのが出たんだけど、ダブりでさ、超ガッカリだよ」そう言ってジョニーは退屈そうに虚空から黒い石材を取り出した。
何だこれ、精神支配か?
「それで何したんだ?」
テクガンの男は驚いた様子で俺を見て、石材を眺めた。
「大丈夫だって、何言ってんだよ。俺はコレクターなんだ、こういうものの扱いは心得てる。ふぅ、ビビらせんなよ」
「いや、石材のことじゃなくて……」
「ああ、肉のことか? もちろん放してやるさ。さっさと済ませろ、じゃないとあんまり無傷じゃ済まないかもな」
俺は石材を取り出して、手に持ったまま見せた。
ジョニーは明らかに喜んでいた。
「金の相棒か、しかもこのポータルは新しい奴だ。初心者は運がいいってもんだな。さあ、ゲームをしよう」
「えっと、すまん、何?」
「ゲームをしようって言ってんだ。俺は自分の石材『錬金術:金』を賭ける、お前はその二つのうち、俺が必要としてる方のどっちかを賭けるんだ」
金? まさか、ただで金を手に入れられるってことか? でも、同時に、これは全部妙に怪しい。
「仮にそうだとして、何のゲームをするんだ?」
ジョニーが顎に指を当てて、トントンと叩いた。
「チェッカーはどうだ? やろうぜ」
まさか死んで、訳のわからないことが起きてる別の惑星に来て、森の中の空き地でチェッカーをやろうなんて言われるとは思わなかった。
「俺、そんなに得意じゃないんだけど……」
ジョニーがにやりと笑った。
「ん、気づいてないみたいだけど、俺は聞いてないぞ。提案してるんだ。俺にお前らを殺させるなよ。石が二つ必要なんだ。次はお前がゲームを選べばいい、いいな?」
俺はただ頷いた。目の前にチェッカーの駒が並んだ盤が現れた。俺とジョニーは向かい合って座り、「テクガン」の男は親切にも俺に先手を譲った。
一手。また一手。俺の駒は次々に取られ、ジョニーはキングを作っていく。まあ、何とかなるとは思ってなかったけどな。
テクガンの兵士がにやりと笑い、手を差し出した。俺はポータルの石材を渡すと、そいつは頬をすりつけ始めた。マジで気持ち悪い……まあいいけど、俺は今何を選べばいいんだ?ロシアンルーレットみたいに全部運に任せるか?でも、もっと正確に、自分で影響を与えられるものがいいな。
「アームレスリングってのはどうだ?」
「ん、それって何だ?」ジョニーが驚いたように尋ね、眉をひそめた。
俺はできるだけ詳しく説明した。テクガンの兵士の顔に広がり始めた笑みを見る限り、何をするのか理解したようだ。
「おお、いいね、やろうぜ」
俺たちの前にテーブルが現れた。平らな場所を選んで設置し、手を握り合った。
「いつまで握ってんだ?」ジョニーが不満そうに俺を見ながら尋ねた。
「よし、始めるぞ!」
俺は一分は耐えるつもりだったんだが、無理だった。ジョニーは繋がりの後で明らかに力が強くなっていて、俺は無料のエンチャント――力のエンチャントを発動せざるを得なかった。それでかなり長く競り合えるようになり、分かったことがある。この見知らぬ男は、チップに認識されていないんだ。
「ハッ、また俺の勝ちだ!石材を渡してもらおうか!」ジョニーが手を擦り合わせながら嬉しそうに言った。
俺はアイヴィの石材を渡して言った。
「リベンジを要求する」
ジョニーは驚いたようだったが、やがて笑みを浮かべた。
「負けず嫌いなやつだな?俺はもうポータルに向かってもいいんだぞ、そのことは考えなかったのか?」
俺は黙って、この見知らぬ男が次に何を言うか観察していた。勝負に熱くなってるのはどっちだか。
テクガンの男は我慢できずに言った。
「わかった、どんな条件を出すつもりだ?」
「またアームレスリングだ。俺が勝ったら、お前が持ってる石材を三つ全部寄こしてもらう」
「おいおい、随分と強気じゃないか。それで、お前は何を出すんだ?」
「俺の残りの石材一つと、もう一つ未知のやつだ。キルハイヴの奴は最初の方で死んじまって、自分のゾーンに行く暇もなかった。だから俺がそこを開けられると思う」
俺は無意識に、チップのある手に目をやった。くそ、今気づいたが、新しいのが増えてる。メカと分裂する人間が描かれたやつ。フレムテックか? いつの間に手に入れたんだ?
「マジかよ、そんな話初めて聞いたぞ。お前、ただ者じゃないな、アルヴァー? でも俺には、お前がハッタリかましてるようにしか見えねえんだが」
「嘘だったら、いつでも俺を殺せばいいだろ。それだけの話さ」
「ああ、それもそうだな。わかった、くそったれ、乗ってやるよ」
俺たちはもう一度手を組んだ。最初は少し力を抜いていたが、俺は上級の力のエンチャントを発動させて、徐々に相手の腕を倒し始めた。ジョニーは力みすぎて顔を真っ赤にしていたが、結局は降参した。
「はっ、お前ズルしたんだろ?」息を切らせた兵士が俺に聞いてきた。
「いや、エンチャントを使っていいかどうかなんて事前に決めてなかっただろ。それに正直言って、賭けをするのはバカか卑怯者のどっちかだ」
「なるほどな、やるじゃねえか。たまにはバカを見るのも悪くないってことか」ジョニーはニヤリと笑って、俺に石を渡してきた。
霧が立ち込めて、一分後には消えた。ジョニーは訳が分からないという顔で俺を見つめている。
「なあ兄弟、一体何だったんだ? なんで腕がこんなに痛えんだ?」
「ああ、お前が操られて、俺と賭けをさせられたんだよ。でももう大丈夫だ」
「くそったれ、いつになったら家に帰れるんだよ……」テクガンの兵士は小さく呟いて、頭を振った。
「もう少しだと思う」
俺たちは再び光の柱に向かって進んだ。森を抜け、小川を渡り、半壊した街にたどり着いた。見た目は現代的だ。窓ガラスが割れた超高層ビル、ひび割れたアスファルトからは根や草が突き破って生えている。錆びついた車が放置されたままだ。だが、規模は小さかった。まるで巨大都市から数十平方メートル分の塊をえぐり取ったかのようだった。
アスファルトを元気よく歩いて、白い光が燃え上がる超高層ビルの前の広場に着いた。その中心に地面に埋め込まれた押しボタンパネルを見つけ、指で押した。
「識別中……アルヴァー派閥の参加者が最初に石を集めポータルに到達。記録完了」
「従者のポータルを開きますか? はい/いいえ」
はい。
「ポータルの位置を全参加者に送信。開放まで残り時間00:59:55」
実に素晴らしい。誰かが来るまで、ここで一時間も見張りをしなきゃいけないのか?
◇◇◇
「クリスティーナ、全部終わったよ!」
少女たちは姉のところへ駆け寄り、建物にチェックを入れた紙を手渡した。クリスティーナは三枚の紙を全部受け取り、ターミナルへと向かった。
「ん、あれ、リバーサイト鉱山がない! たしかデフールが何かそういうのくれたはずだけど、きっと重要なやつだよね」
少女は指で画面に触れてみたが、何も起こらなかった。
「親愛なる友よ、建設には魔力の環を使ってくれ!」
「魔力の環? ここ全部丸いじゃん。あ、もしかしてそういうこと!」
クリスティーナはターミナルから離れ、一番近い円をじっくり観察し、パネルを見つけた。押すと、パネルが上へ動き出し、彼女は驚いて耳をぴくぴく動かした。ターミナルが本のような形になると、少女は近づいてリストを眺めた。不満げにむすっとした顔で本から離れると、他の鉱山がある場所へと走っていった。同じ操作を繰り返すと、クリスティーナは嬉しそうに耳を揺らし、建設する鉱山を選んだ。木材400、石材450、道具120。そして骨組みから転がり出たロープを見た。
「みんな、デフールを探してきてくれない?」少女は自分の動きをじっと見守っていた妹たちに頼んだ。
アルビとエヴィナは頷くと、別々の方向へと走り去った。クリスティーナは骨組みを見つめながら、どうして建設が進まないのか理解できずにいた。
「昨日パパは新しい住民たちと一緒だったわね、うーん……そうだ、確かドワーフたちが建設を手伝ってくれてたはず。今どこにいるのかしら」
クリスティーナはセンターへ駆けて行くと、ファリンとゲフールが何やら熱心に話し込んでいるのを見つけた。
「おじいちゃん!」ファリンに駆け寄ると、クリスティーナは叫んで長老の頬にキスをした。
「おお、なんと美しいお孫さんじゃ、ファリンよ!」ドワーフは娘を眺めながら笑顔を浮かべた。
「ああ、それには異論はないな。クリスティーナちゃん、こちらはゲフール、隣人たちの長老で、今やもっと近しい仲になったんだ、へへ」
「お会いできて光栄です、ゲフール様」
「おお、そんな、その、なんじゃ、ああ、ありがとうございます!」
「あの、建設作業をしている人たちがどこにいるか教えていただけますか?」少女は今度は二人の男を見ながら尋ねた。
「でも何で?」ファリンが理解できないという様子で聞いた。
「おじいちゃん、にゃ!」クリスティーナは怒って足を踏み鳴らし、眉をひそめた。
「わかったわかった、今すぐ探すから」長老は両手で顔を覆いながら慌てて呟いた。
少女は微笑むと、作業員たちを鉱山に向かわせるよう言い残して走り去った。
クリスティーナが戻ってきたとき、デフールとアルビはすでに鉱山の骨組みの近くに立っていた。デフールは言うことを聞かない髭を撫でつけようとしながら、フラスコをどうしても隠せず、背中に隠そうと必死になっていた。
「おお、クリスティーナ様、これは驚きです!」ドワーフは深々とお辞儀をして、変な形の帽子を落としてしまった。拾おうとしている間にフラスコを落とし、結局少女の前で固まったまま、散らばった物を盗み見していた。
「リバーサイトがどこにあるか見せて!」
驚いたように瞬きを繰り返したドワーフは、嬉しそうに微笑むと、岩場の方へ背を向けて歩き出し、娘たちを手招きした。クリスティーナはロープを掴んで彼の後を追い、アルビはため息をつきながらドワーフの荷物を拾い上げ、皆の後に続いた。
鉱床にロープをうまく配置して鉱山の建設を呼び出すと、クリスティーナは嬉しそうに飛び跳ね、ドワーフに駆け寄ってぎゅっと抱きしめた。
「おお、たいしたことじゃねえ、礼には及ばねえよ!」顔を赤らめたデフールが、頭にない帽子を直そうとしながら言った。
荷物を返してもらい、アルビとクリスティーナは戻ってきて、ラズに出くわした。彼女はこの間に明らかに成長していた。白い長髪をほぼ腰まで伸ばしている。角は長くなって後ろと少し横に伸び、すでに肘まで届く長さになっていたが、動きの邪魔にはなっていなかった。
小ぶりな胸は紫色の布で隠され、少し丸みを帯びた腰回りも同様だった。
「やあ、姉さんたち」ラズは無関心に言い、猫娘たちを目を細めて見つめた。
「こんにちは」クリスティーナは精一杯明るく答えた。
「私の知ったことじゃないとは思うけど、あなたたちがここで一番重要なんでしょうし、そういうことなんだけど――父さんがどこに行ったのか教えてくれない? なんでもう丸一日近く、父さんを感じられないの?」リカが不満そうな声で尋ねた。
姉妹は顔を見合わせてから、近づいて言った。
「わかった、話してあげる! でもあんたも手伝ってもらうからね。それと、『感じる』ってどういう意味なのか説明してもらうわよ」
◇◇◇
「現在の残存寿命――15+(68)。能力発動用ボーナス年数:13(8)(係数1.2)。
アルヴァー派閥とのシナジー(100/100)。
テクガン派閥とのシナジー(60/100)。
キルハイヴ派閥とのシナジー(40/100)。
フレムテック派閥とのシナジー(15/100)。
死すべき者の現在の兵科モデル:ヘビータクティカルナイト(回復中)、スナイパーアーチャー。
現在の建設:リバーサイト鉱山。
軍隊:
ランク2:15体。シールダー、ロングボウ射手×3、戦士×4、闘士×3、スナイパー、セフィーナ、ジェシー、ケル。
ランク1:3体。闘士×3。
ランク0:4体。闘士×4。
訓練中:3。
待機中:0」




