第三十四章 ドライブと暗黒の城
そこで俺は自分の能力を少し過大評価していたことに気づいた。だが手榴弾はどこでも爆発した、ただ追っ手の中だけは除いてな。バギーがもうすぐ消えることについてはまだ触れてもいない。
一方でレイダーたちの射撃は相当なものだった。バイク乗りの武装が比較的貧弱でなければ、俺はとっくに穴だらけになっていただろう。とはいえ、あの物量なら、明らかに装甲の防御力は落ちている。敵のバギーにはロケットランチャーが搭載されていたが、まだ使ってこない。タイミングを計っているのか、味方を巻き込むのを恐れているのか。音楽がガンガン鳴り響き、エンジンが唸りを上げる――まるで狂気の逃走劇だ。
グレネードランチャーの弾を撃ち尽くすと、俺はジョニーに最高速度を出せと叫んだ。頷いて、軍人野郎はスピードを上げた。幸い今は平らな荒野を走っていて、石ころや茂みといった障害物もない。ただ怖いのは、見渡す限り基地も隠れ場所も見当たらないことだ。俺の作戦が成功すれば、脱出には時間がかかるだろう。
俺たちとレイダーの距離が少し開いた瞬間を見計らって、俺はジョニーにもうすぐ急ターンすると警告した。テクガンの運ちゃんが理解したのを確認してから、俺はクラスター地雷設置を発動した。うまく操作する方法も分からないまま、俺はただ目の前の一点を見つめた。
ジェット機の轟音が響き、数十メートル先の地面に無数の小型爆弾がばら撒かれた。そもそも航空機から投下されたのかすら怪しいんだが、あいつら確かそんなに飛び回ってなかっただろ。だが、そんなことを考えている暇はなかった。ジョニーが急ハンドルを切り、俺は車から放り出されそうになったが、これが実にタイミングが良かった。反応が間に合わなかったレイダーたちは地雷原に突っ込み、何十もの爆発が起こり、叫び声が響き、バイクの破片と肉片が宙を舞った。
一番離れた場所を走っていたバギーだけが、何とか反応する時間があった。一台は俺たちの後ろに続いて曲がり切り、もう一台は片輪で地雷の一部を踏んで吹き飛ばされ、宙を転がりながら破片を撒き散らした。あの中で生き残れた奴がいるとは思えない。
俺はライフルを手に取り、最後の追跡者の運ちゃんを狙ったが、全く当たらなかった。俺たちのバギーが点滅し始めた。そろそろ脱出の時間だが、ブレーキを踏んだらロケット弾でお出迎えされるのは確実だ。
「飛び降りるぞ!」
「え、ニコ、マジかよ?」
「ちょっと減速して飛び降りるんだ、さもないともっと酷いことになる!」
ジョニーは首を振りながらも俺の言う通りにして減速し始めた。追跡者はそれを見逃さなかった。俺たちに向けてロケット弾が飛んできたが、虚しく空を切った。バギーはもう消えていたからだ。
打ち身を作れるだけ作って、俺はようやく転落の勢いを止めた。ジョニーの姿はどこにもない。敵の車だけが砂漠を切り裂いて走っている。横から銃声が響き、車のタイヤが撃ち抜かれた。だが今回はスピードが出ていなかったから、運ちゃんは何とか車を制御したものの、もう走り回るのはやめて停車した。
車を盾にして、レイダーたちはどこか遠くに向けて撃ち始めた。そっちを見ると、ジョニーのシルエットが地面に伏せて派手に撃ち返しているのが見えた。
次々とレイダーたちが砂の上に倒れ込み、静かになった。だらだらと血を流しながら。
ジョニーが立ち上がると、その前で俺も見覚えのある石材が回転し始めた。ただ、今回は素早く色が変わった後、赤くなった。
遠くから再び無線越しの歪んだ声が聞こえてきて、俺のために用意された翻訳が届いた。
「神の石材を回収せよ――カオスポータル」
「マジでイカしてただろ、相棒?」テクガンの兵士が嬉しそうに俺に話しかけながら近づいてきて、ずっと石ころを眺めていた。「高そうなシロモノだよな?」
「かもな。俺はこんなの見たことない」
「おお、早く戻って祝杯挙げてえなあ? どう思うよ、ニコ? 石ころ売って奢ってやるから、心配すんな」
俺は装甲の手袋を外して、兵隊野郎に手を差し出した。驚いたジョニーがそれを握ったが、俺は離さなかった。
「ありがとうな、ジョニー。マジでイカしてたぜ。お前は最高の仲間だ。ここから脱出した後も、連絡を取り合って、一緒に遊べるといいな」俺はわざとゆっくりと、言葉を選びながら話した。ジョニーがもう一度そっと手を引こうとしたが、俺は離さなかった。
「市民ステータス:+1(67)」。
「おお、兄弟、めちゃくちゃやる気出てきたぜ! 山だって動かせそうだ!」ジョニーは喜んで、俺の装甲を拳で叩いた。小さなへこみができた。
ああ、絆の強化効果が相当効いてるな。
「俺って意外と演説うまいじゃん。で、どうする?」
「さあな。弾薬はほとんどねえし、車も失っちまった。つーか、そもそもあの車どっから出てきたんだ? お前らの何かか?」ジョニーは疑わしそうに俺を見た。
「『お前ら』って、誰のことだ?」
「ほら、アルヴァー派閥とやり合ってんだろ? もしかして、あいつらから魔法の技か何か盗んだのか?」
「ああ、まあそんなとこだ。だが、今の足の問題には大して役に立たねえな」
いや、装甲兵員輸送車はあるんだが、あれに乗ったところで遠くまでは行けない。
「わかった、じゃああの美人ちゃんをいじって、タイヤを付けてみるか」ジョニーは石材をポケットに仕舞いながら手を振った。俺は機械的に自分のポケットを確認した。散々振り回されたから、落としてるかもしれないしな。
でも大丈夫だった。
太陽の最後の光が地平線に沈む頃、ジョニーは車の修理を終えた。
「イェー、これでオッケーだろ、兄弟。ブルルン、さあ乗れよ」
ヘッドライトを点けて、テクガンの奴は前に突っ走った。エンジン音がうるさくて会話もできないから、結構退屈だった。俺はただ、あとどれくらいここにいなきゃいけないんだろうと考えていた。それと、女たちはどうしてるだろうか?俺は何も言わずに出てきちまった。でもまあ、もしもたもたしてたら、もっと早く殺されてたかもしれないし、そうなったら説明する機会もなかっただろう。
結局、俺たちは何もない砂漠を抜けて、山がちな地形に入った。巨大な岩の間を縫うように狭い道を慎重に進んで、ジョニーはもっと開けた場所に辿り着いた。ここには広い場所があって、戦闘用に作られたものらしい。以前、キルハイヴの奴がエクゾスケルトンと戦ってたあの場所みたいな感じだが、こっちはまだ無傷だった。上へと続く階段があって、山の中に黒い石で造られた本物の城が見えた。中世風で、かなり不気味な雰囲気だ。小さな塔がいくつもあって、窓ガラスのない暗い窓や銃眼、壁には棘。でも、まあ、何だかんだ言っても屋根のある場所だ。だから俺たちは車を降りて、あらゆるものを呪いながら上へと歩いた。まあ、シナジー発動後のジョニーは明らかに元気いっぱいだったが、一日中アーマーを着てた偏執狂の俺はそうじゃない。きっと脱いだ瞬間に修復に入るだろうし、この先何が待ってるか分かったもんじゃないからな。
上の方は砂漠ほど荒涼としてなくて、埃っぽい地面と貧弱な低木があった。城に近づくと、不気味な見た目の木まで生えてる。曲がりくねった醜い枝をした木だ。ここ、ドラキュラでも住んでんのか?
恐ろしげな城を眺めてる俺を見て、ジョニーは大笑いして肩を叩いてきた。
「まあまあ、そう怖がんなって。行こうぜ、そろそろ寝る時間だ。夜中にこの辺うろつくわけにもいかねえだろ」
「それもそうだな。そういや、弾薬のことだけど」
俺は支援物資の投下を要請して、しっかり梱包された大きめのキューブが目の前に現れた。
「いや、マジでお前らの派閥に移籍するわ。見ろよ、最高じゃねえか!」
ジョニーはブーツからナイフを取り出すと、夢中になって荷物を開封し始めた。中には弾薬、手榴弾が数個、救急キット、それにレーション(戦闘糧食)まで入っていた。
弾薬と手榴弾を補充したあと、俺たちは救急キットと食料も持っていくことにした。
大きな木製の扉が軋みながら開き、俺たちを暗闇へと招き入れた。なんとか壁に松明を見つけて、ライターで火をつける。周りは飾り気のない、無骨な石壁ばかりだ。タペストリーも絨毯もない。ただの、何の凝った意匠もない要塞って感じだった。
廊下をうろついた後、俺たちは結構広めの部屋に出た。牢獄みたいな場所ばかり見てきた後だと、ここには僅かながら居心地の良さが感じられた。質素なテーブル、椅子がいくつか、暖炉までついている。薪はないけどな。
テーブルに腰を下ろして、さっと軽食を済ませた後、薪を探しに隣の部屋を回ることにした。五分もしないうちに薪のある部屋が見つかったので、そこに落ち着くことにした。
炎が湿った冷たい空気を心地よく温めている。薪がパチパチと陽気な音を立てていた。すごく居心地がいい。すぐにでも眠くなってきた。
「おい、ヘルメットの下で寝息立ててんじゃねえぞ、兵士!」ジョニーが厳しい口調で言って、それからゲラゲラ笑った。「なあ、お前、鎧着たまま寝るつもりか?凍え死ぬぞ、畜生」
「でも、真夜中にナイフで刺される心配はないだろ」
「いや、それは確かにそうだが、俺たちは交代で寝るんだぞ。だから変なこと考えるな。横になれ、俺が最初に見張ってやる」
正直言って、完全に信用しているとは言えないが、俺たちはもう色々くぐり抜けてきたわけだし、そんな狡猾な計画だとは思えない。了承して、俺は暖炉の横に横たわり、鎧を脱がないまま、腕を頭の下に敷いた。
「頑固だな、お前?まあいいけどよ。想像してみろよ、どんな……あ、そうだ、お前、女はいるのか?」
「ああ」
「うお、やるじゃねえか、ニコ。で、その子はどうなんだ?お前のこと待ってるのか?」
「ああ、多分待ってるよ。猫娘なんだ」
「おおっ、マジで最高じゃねえか。俺、そういう娘が大好きなんだよ。なあ、尻尾で遊んでるか?付け根のあたりをぐっと押してみろよ、彼女びっくりするぜ」
「はは、サンキュー、覚えとくよ。で、ジョニー、お前の方はどうなんだ?戦果は?」
「おいおい、俺を基準にすんなよ。ジョニー・ザ・シーダーって呼ばれてんのは伊達じゃねえぜ!」
こいつ、色んな呼ばれ方してんだな。でも、このテクガンの野郎は明らかに俺の質問を待ってる様子で固まってる。
「で、なんでそう呼ばれてんだ?」
「あ、興味が出たか? 俺は尻尾のある女の子なら全員見逃さないぜ。まあ、狐娘の方が好きだけどな。尻尾がふわふわで、撫でるのが最高なんだ。付け根から先端まで撫でて、丁寧に戻る。すると女の子がとろんとしちまうんだ」
うーん、これじゃ眠れそうにない。
「わかった、わかったよ、ジョニー。もう寝るから」
どれくらい寝たかわからないが、誰かに体を左右に揺さぶられて目が覚めた。テクガンの男の大きな囁き声が聞こえる。
「ニコ、おい、起きろ。誰かいるぞ」
眠気は一瞬で吹き飛んだ。俺は鎧を鳴らさないよう気をつけながら飛び起きて、自動小銃を掴んだ。
静寂。薪が平和にパチパチと音を立てているだけだ。
突風のような何かが鎧の隙間からも感じられた。俺が振り返った瞬間、激しく吹き飛ばされて壁に叩きつけられた。すぐ近くでもう一つ衝突音がした――ジョニーも吹っ飛ばされて、頭を振りながらゆっくりと壁を滑り落ちている。俺は当てずっぽうに一斉射撃したが、何の効果もなかった。カチリと大きな音がして、ジョニーの首に紫色の奇妙な矢が刺さっている。兵士は立ち上がろうとしたが、すぐに力が抜けて床に倒れ込み、いびきをかき始めた。
俺はもう一度撃った。突然ヘルメットが吹き飛び、またカチッという音が響いた。その直後、首に痛みが走る。視界がぼやけて、俺は意識を失った。
◇◇◇
クリスティーナは考え込むように本を見つめていた。それから、もう一度指で押した。
文字が浮かび上がった。
「死すべき者の生命管理――『死すべき者の心臓』設置完了」
そして、すべての発動と強化のリストが続いた。
クリスティーナは手で口を覆い、ぴくりと震えた。
「パパはずっと、私たちを救うために自分の命を捧げてたんだ……そんな、こんなのおかしいよ!」
潤んだ瞳を晴らそうと強く目を閉じ、少女は首を振った。
「クリスタリットを改良に使うのか、だからこんなに大量に必要だったんだ。くそっ!」
それ以上新しいものを見つけられず、彼女は地下室から駆け出し、中央の書へと向かった。
指で触れると、大きな書物が素早くテキストで埋まっていくのが見えた。
「建設完了:石炭鉱山、アッペライト鉱山、クリスタライト鉱山、リクルートセンター、工兵兵舎。
新たなる偉大な建造物の秘密を公開します!
新規基幹施設:希少金属の鍛冶場(魔法の製錬所が必要)。
新規エリート施設:魔法の製錬所(魔術師の塔が必要)、グバー・ドリル。
新規兵科モデル(ランク2):エンジニア。
新規兵科モデル(ランク3):攻城スペシャリスト、防衛スペシャリスト」
しっぽを弄りながら、彼女はあまり馴染みのない名前に目を通していた。
「ああ、パパならどうしただろう?ここって別に建てるものもないし……そうだ、パパはいつも訓練してたじゃない!」クリスティーナは額を叩くと、足早に端末から離れた。
一、二分ほどで野営地に辿り着くと、兵士たちは彼女の訪問に明らかに驚いた様子だった。
「クリスティーナ、どうした?何かあったのか?」隊長が心配そうに尋ねた。
「あ、いえ、大丈夫です」少女は不安げに微笑み、できるだけ落ち着いて見えるよう努めた。「フェブリモール、父が訓練につけた今日の兵士たちは、もう終わりましたか?」
「ああ、もちろん。でも、なぜ……」
最後まで聞かずに、少女は訓練用ベッドへ駆け寄り、書かれた内容を確認し始めた。ランク、時間、それとも金。まあ、そんなに複雑じゃない。それからクリスティーナは戻ってきた。
「誰か、もうランク3を取った奴はいるか?」
「いや」兵士たちは驚いた様子で答えた。若い娘がそんなことに興味を持つとは思っていなかったのだ。
「じゃあ、行きましょう。えっと、フェブリモール、イヴェット、それから……デリオ!」クリスティーナは指をぴしっと向けながら、澄んだ声で言った。
「え、俺? なんでだよ?」弓使いは驚いた顔をした。
「だって最近来たばっかりだから、あなたのこと覚えてたのよ! 言い訳なし、お願い!」
「まあ、我々は本来、死すべき者さまに直属なんですがね……でも、可愛らしいクリスティーナさんからのお願いとあれば……」フェブリモールは優雅にお辞儀をしながら、娘の姿を眺めた。
「はい、本当にお願い、フェブリモールちゃん! ね?」クリスティーナは長い睫毛をぱちくりさせ、唇をぷっくりと膨らませた。
エルフは嬉しそうに微笑むと、訓練の代わりに寝る気満々だったデリオをほとんど耳を引っ張るようにして連れて行った。イヴェットも後に続いた。
少し不安そうに、耳をせわしなく動かしながら、クリスティーナは全員にランク3を選んで訓練に送り出した。その後、外に出て中央施設へ向かい、ベッドに横になって寂しげに溜息をついた。
「ちゃんとできてるといいんだけど、パパ」
◇◇◇
「現在の残存寿命――15+(67)。能力発動用ボーナス年数:13(8)(係数1.2)」
「倉庫。状態:
木材――475単位――採取中、収支+400(20単位/時×2);
石材――440単位――採取中、収支+200(40単位/時)(-200石工の工房);
加工石材――250単位――生産中、収支+200(20単位/時);
道具――595単位;
鉄――470単位――採取中、収支+200(20単位/時×3)(-200製錬所);
石炭――50単位――採取中、収支+0(20単位/時)(-100製錬所);
鋼――100単位――生産中、収支+200(20単位/時);
高品質鋼――65単位――生産中、収支+100(10単位/時);
クリスタリット――218単位――採取中、収支+15(1.5単位/時);
アッペライト――100単位――採取中、収支+100(20単位/時)(-100製錬所);
クリスタライト――50単位――採取中、収支+100(10単位/時);
金――150単位――採取中、収支+50。
アルヴァー派閥とのシナジー(100/100)。
テクガン派閥とのシナジー(60/100)。
キルハイヴ派閥とのシナジー(40/100)。
フレムテック派閥とのシナジー(15/100)。
死すべき者の現在の兵科モデル:ヘビータクティカルナイト、スナイパーアーチャー。
現在の建設:なし。
軍隊:
ランク2:15体。シールダー、ロングボウ射手×3、戦士×4、闘士×3、スナイパー、セフィーナ、ジェシー、ケル。
ランク1:3体。闘士×3。
ランク0:4体。闘士×4。
訓練中:3。
待機中:0」




