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第二十八章 個人的勝利 その1

なんて素早い野郎だ、くそったれ。ほとんど反射的に、俺は無料の加速エンチャントを発動させた。


飛び退いた俺は、まだ新しいスピードに慣れていなくて地面に叩きつけられた。タクティカルナイトを発動させ、今度は上から飛んでくる刃を盾で受け止める。紫の光が盾に突き刺さり、上に引き抜かれて金属に太い貫通穴を残した。


相手は一瞬動きを止め、もう一度斬りかかることにしたようだが、俺はアサルトライフルを構えて直接撃とうとした――影を確実に捉えるために。刃は軌道を変え、突然俺の武器に飛んできて、ライフルの半分を切り落とした。使い物にならない半分を投げ捨て、俺は飛び上がって走り出した。


「拠点で復活させる」


ジェシーをここに現れさせるわけにはいかない。この野郎はあっという間に彼女を切り刻むだろう。


どうやらスピードのおかげで殺し屋を引き離したようだが、今度は俺の方が不利な立場だ――どこから襲ってくるか分からない。


林の中で周りを見回しながら、俺は木の幹に背中を押し付け、拳銃を握りしめた。静寂。聞こえるのは俺の荒い息だけだ。


感覚的には、エンチャントはもう切れた。ということは、一分くらい持つってことか。


視界の端で動きを感じ取って、よく見てみたが――何もない。木の幹が風に揺れているだけだ。でも待てよ、風なんて感じないんだが?


木の一本が地面から飛び出し、勢いよく俺に突っ込んできてヘルメットに鈍い音を立てて激突した。不意を突かれて弾き飛ばされたが、すぐさま別の木に殴られた。そしてもう一本、もう一本と、相当にふらついた俺の視界に、再び飛んでくる刃が映った。


「上位加速のエンチャント――寿命-5年(ボーナス残り8年)」


刃が急激に減速した。おそらく、これがなければ一秒後には突き刺さっていただろうが、今は四秒くらいかかる。


刃の発生源に向けて撃ち込むと、怒りに満ちた罵声が聞こえてきて、それがぶつぶつと混ざり合った。


軌道から外れて更に何発か撃ち込むと、もやが晴れ始め、俺の前に敵が姿を現した。若いエルフで、金属の補強が入った革鎧の一部みたいなものを着ている。とはいえ、鎧が覆っているのは胸の一部と肩と手首だけだ。黒いズボンとブーツを履いているが、腹と肩は剥き出しだ。こんな防具の意味がよく分からないが、今は他人の変な趣味を解明している場合じゃない。俺は更に撃った。


敵は目を閉じ、弾丸は空気に潰されて地面に落ちた。まだ速度で優位に立っているうちに拳を叩き込もうとしたが、拳は見えない障壁に阻まれた。


エルフは出血する肩の痛みに身を捩りながら、損傷した腕からナックルガードのようなものを引き剥がし、無事な方の腕に装着した。この一見格闘用の武器に付いた小板から、突如として紫色の刃が伸びた。


「上位加速のエンチャントを延長しますか? はい/いいえ」


いいえ。


「装甲兵員輸送車召喚――寿命-5年(ボーナス残り3年)」


近くで閃光が瞬き、その場所に突然装甲車両が現れた。無料の強化を発動させ、俺はそこまで走り寄って屋根に飛び乗った。


刃で切り裂かれたタイヤがいくつかパンクして破裂音を立てた。俺は機銃まで這い寄り、既に車両に攀じ登ってくるエルフに狙いをつけた。訓練は受けていないが、この距離なら当たるはずだ。


大口径弾が空中で潰れ始め、敵は眉をひそめた。額に汗が流れ、紫色の刃が明滅して消えた。鋭く息を吐いて、エルフは手を振るい、機銃が固定具から吹き飛んだ。敵がここまで接近した以上、もう一度距離を取ろうと決めた俺は装甲車を捨て、バギー召喚を発動させた。


「構成を選択してください:民間用;軍用:機銃/グレネードランチャー/迫撃砲/ロケット砲」


ロケットだ! 前方に車両が現れたので、俺は飛び込んで中のロケットランチャーを掴み、ほとんどここまで辿り着いたエルフに向けて発射した。


強烈な爆発――湿った音を立ててエルフが肉片に引き裂かれ、俺は吹き飛ばされて木の幹に激しく叩きつけられた後、下に落ちて意識を失った。


◇◇◇


気がついたのは、強烈な平手打ちのおかげだった。


「馬鹿! なんて馬鹿なの!」


俺の上に赤い髪が垂れ下がって、顔の肌を妙にくすぐっていた。顔をしかめて起き上がろうとしたが、彼女はしっかりと俺を押さえつけていた。無力さから周りを見回すと、バイクが見えた。ああ、つまり嫁さんは復活した後、バイクでここまで飛んできたんだ。なんて可愛いんだ!


「ジェシー、聞いてくれ……」


「あーあーあー、何も聞きたくない! あんたはまた私を生き返らせて、自分はもう少しで死ぬところだったじゃない。これがいつまで続くの!?」――彼女の顔には複数の感情が入り混じっていた。喜び、怒り、絶望、そして同情。


「静かに、静かに、愛しい人」俺は囁いて、ジェシーの頬を撫でた。彼女は静かになり、俺の手のひらが突然湿り気を感じた。俺は妻の涙を拭い、その後彼女は優しく俺の手を自分の手に取った。


「分かった」とジェシーは弱々しく微笑み、俺の手袋を引っ張って脱がすと、俺の指先に小さくキスをした。


「とりあえず立ち上がろう。俺、ここでかなり派手にやらかしたから、村の誰かが興味を持ってもおかしくないだろうし」


頷いた彼女は俺の上から降りた。俺は全身の痛みを感じながら立ち上がり、タクティカルナイトを解除すると、機体は修復モードに入った。


周囲をうろついて破片を探し回り、肝心の、あのナックル型の武器を見つけた。触れてみると、予想通りの拒否メッセージが表示された。


「シャドマー派閥の武器を使用するためのデータが不足しています」


確か5番目の派閥だったか。ケルが何かそんなことを話していた気がする。ただ、隠密性だけじゃなく、こんな戦闘力も持ってるなんて言い忘れてたな……それにしても、どこから現れたんだ? まさかまた赤いポータルか?


しかし、住民たちは間違いなく全部聞こえていたはずなのに、運試しをする気にはならなかったようで、誰も来なかった。だから俺とジェシーは自分たちから村へ向かった。


「お前らの殺し屋は片付けた。行って、ちりとりで集めてくればいい」


群衆が疑わしげに囁き始めた。そう、さっさと話を決めるんじゃなくて、ゲフールはわざわざ集会なんぞ開いたわけだ。


「おお、よくやったべ、死すべき者! 朝日が昇りゃ、わしらもすぐそっちへ向かうからな!」ドワーフは満足そうにそう言うと、大きくあくびをした。


朝日が昇りゃ、ね。信じられるかよ。しかし俺は疲れ果てていた……。


だるそうに別れの挨拶をして、俺は空いてるベッドを探しに行った。ジェシーが追いついてきて、俺の腕を掴んだ。


「どこ行くつもり?」


「ああ、寝る。もう夜中の三時くらいだろ、多分」


「あんた相当やられたのね。まだ真夜中にもなってないわよ」


俺は驚いて彼女を見て、考えてみた。うーん、まあ確かに、ありえる話だ。日没が夜の十時頃で、あのクソ野郎が襲ってきたのはほぼ直後。まさかあいつとの戦いがそんなに長引いたとも思えない。はあ。


女の子は俺が考え込んでいる様子を興味深げに眺めていたが、やがてくすくすと笑って言った。


「あなたっていつも真面目な顔してるけど、考え込んでる時なんか特にそう――まるで知識人みたいなのよね。でも実際は、大切な人のためならなんでもする馬鹿なんだから」


「そうか、お前はそれが馬鹿げてると思うのか?」


女の子は真顔になったが、その後優しく温かい笑みを浮かべた。


「馬鹿げてるわ。でも、素晴らしいことでもある。ねえ、家に帰りましょうか?」


おお、もう村のことを自分の家と呼んでいるのか。いい進歩だ。


「夜中だけど大丈夫か? 木にぶつかったりしないか?」


「ふふっ、私を信じて。私があなたを信じているようにね」


ファリンとゲフールに報告を済ませると、俺たちはバギーに乗り込んで家路についた。


◇◇◇


「現在の残存寿命――17+(64)。能力発動用ボーナス年数:13(3)(係数1.2)。


死すべき者の現在の兵科モデル:タクティカルナイト(回復中)、マスター・シューター」

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