第二十二章 生き残りをかけた戦い
兵士たちは即座に反応し、開きつつあるポータルへと駆け出した。今回、楕円形のゲートは前回とは別の場所、およそ30メートルほど離れた位置に現れた。それに応じて、敵が身を隠せそうな残骸の類も遠ざかったわけで、まあ、悪くはない。
戦士たちはポータルの前、2、3メートルほど手前に撒菱を敷き詰めた。その後、自分たちは楕円の裏側へと身を隠した。俺の見立てじゃ、こいつらは鏡みたいなもんだ――機能する面は片側だけで、裏に回り込めば向こうからは見えないはずなんだ。
轟音と共に、ポータルから二台のバギーが飛び出してきた。先頭の車両のタイヤが派手に破裂し、運ちゃんは驚いてハンドルを切った。車体が激しく横転する。二台目はブレーキをかけようとしたが、土壇場でハンドルを切り、片輪だけ撒菱を踏みながら大幅に減速した。
「撃て!」俺は弦を放ちながら叫んだ。
バギーは極めて単純な構造で、金属製の保護フレームだけしかない。三本の矢が運ちゃんの頭を貫き、さらに二本が射手に突き刺さった。死体がペダルを踏み続けているせいで、車はどこか遠くへと走り去っていった。
俺たちが射撃している間に、兵士たちは横転した車に駆け寄り、這い出そうとしているテクガンの連中を始末した。
楕円から歩兵が雪崩れ込んできて、ベルトラムとレジナルド――俺たちの戦士たち――が再び楕円の裏に隠れる時間を与えなかった。二人は転覆した車の陰に身を潜め、その間に俺たちはさらに五本の矢を放ち、頭を下げてフェブリモール、ブレン、サユリの掲げた盾の後ろに隠れ、流れ弾から身を守った。
「散開しろ」
戦士たちは弓兵を一人ずつ連れ、銃兵の一斉射撃を避けるために散り散りになった。俺はセフィーナに合図を送り、残骸の方へ駆け出した。走りながらもう一本矢を放ち、騎士の姿に変身する。妻と自分を盾で庇いながら拳銃を引き抜き、遅れた奴らを狙って頭を撃ち抜いていった。
銃兵たちが兵士たちを押さえつけ、叫び声を上げる間もなく至近距離で撃ち殺した。
「市民ステータス:-2(35)。残存兵士13名」
「拠点で蘇生」
スナイパーの銃声が響き、ブレンの頭が粉々に吹き飛んだ。倒れた獣人がデリオを無防備にし、何発もの銃弾が射手の不十分な鎧を貫いた。
遠吠えを上げたフロルガはもうポータルの後ろに留まっていられず、前に飛び出して5人の腹を引き裂いた――が、至近距離からのショットガンの一撃が、革鎧しか着けていなかった彼女の胸を血まみれの肉片に変えた。
「市民ステータス:-3(32)。残存兵士10名」
「拠点で蘇生」
蘇生があるとはいえ、俺は自分なりのカウントを続けていた。
こちら側の狙撃手が敵の射手を仕留めた。次々とポータルから三台の装甲兵員輸送車が飛び出してきて、重機関銃で射撃を開始した。
強力な弾丸がサユリの装甲を紙のように引き裂いた。さらに数発が貫通し、彼女と一緒にもう一人の射手、リアレフも殺した。
「市民ステータス:-2(30)。残存兵士8名」
「拠点で蘇生」
俺はセフィーナが遮蔽物まで走り込んだのを確認してから、背中から使い捨てのグレネードランチャーを引き抜き、先頭車両に向けて発射した。この合図で、瓦礫の反対側からジェシーが後方車両に向けてロケット弾を放った。爆発が轟き、装甲兵員輸送車の砲塔が吹き飛び、中の歩兵は生きたまま焼け死んだ。最後の一台が機関銃を瓦礫に向けたが、酸の一撃が砲塔を溶かした。肌に酸がかかって悲鳴を上げながら装甲兵員輸送車から人が這い出てきたが、ジェシーの短い連射が全員を倒した。
野獣のような咆哮とともにポータルからオートバイと歩兵の集団が飛び出してきた。サイドカー付きのオートバイ二台が、遠くを移動する射手たちに向けて固定機関銃で射撃を開始した。
イヴェットが矢で射手の一人を射抜き、エンディスが二人目を仕留めた。ドワリンとイングヴィルドが遮蔽物から飛び出し、動きの鈍った運ちゃんたちを斬り倒した。
突撃兵たちが新たな標的に気づいて発砲してきたが、すぐに怯えた様子で武器を投げ捨て、恐怖の悲鳴を上げ始めた。視界の端で、セフィーナが杖を振り回しているのが見えた。
また一発のスナイパーの銃弾がイングヴィルドの兜を貫通し、彼女は重々しく地面に倒れ込んだ。ドワリンは妻の剣を奪い取ると、まるで刃の竜巻のように回転しながら敵に突っ込んでいった。
正気を取り戻した兵士はほんの数人だけだったが、状況を把握することができた。至近距離から放たれた数発の連射がドワリンの殺人的な旋風を止め、その間に俺たちは敵の歩兵の数を減らすことができた。
「市民ステータス:-2(28)。残存兵士6名」
「拠点で蘇生」
またしてもスナイパーの一撃が、弓を構えるため身を晒したイヴェットの頭を吹き飛ばした。こちら側からの射撃が射手を仕留めたが、さらにもう一発の銃弾がエンディスをその場に倒した。
「市民ステータス:-2(26)。残存兵士4名」
「拠点で蘇生」
敵のスナイパーがどこにいるのか分からないまま、俺たちは身を隠した。フィールドはすでに敵の死体で埋め尽くされていたが、まだ15人ほどが生き残っていた。
フェブリモールは短距離ダッシュを繰り返しながら、瓦礫まで辿り着いた。
「ニコ、あいつら全員が臨戦態勢だから『恐怖』は無理。でも別の技なら試せる。もうちょっと近づかないとだけど」セフィーナが囁きながら俺のところまで這ってきた。
「フェブリモール?」
「はい、死すべき者」
エルフは盾を構え、自分と少女を庇った。合図を送ると、彼はセフィーナと一緒に走り出し、三台の撃破された装甲兵員輸送車の陰に隠れた。少女の頷きを見て、彼は遮蔽物から少しだけ身を乗り出した。スナイパーの銃声――血が飛び散り、エルフの腕がだらりと垂れ下がって盾を取り落とした。短い連射音が響いたが、俺とジェシーは応戦し、敵が顔を出せないようにした。
フェブリモールはハルバードを投げ捨て、痛みに叫び声を上げながら、傷ついた腕から盾を引き剥がすと、呪文を完成させようとしているセフィーナと自分を守るためにそれを掲げた。
何人かの突撃兵の武器が手から飛び出し、まるで見えない影に掴まれたかのように180度回転して、発砲を始めた。
フェブリモールは少女と一緒に隠れた。銃声が響いたが、土の塊が噴水のように爆発したのは、彼らがついさっきまでいた場所だった。
残った敵は遮蔽物に向かって突進したが、サソリの尾に串刺しにされ、静脈を流れる毒のせいで、狂ったように金切り声を上げて痛みに叫んだ。
ってことは、残ってるのはスナイパー一人だけか?
「奴をおびき出さないとな」
「俺が行く」とフェブリモールが弱々しい声で言った。まだ収まらない悲鳴のせいで、ほとんど聞こえないくらいだった。
「駄目、にゃ!」
セフィーナが再び魔術を唱え始めた。俺にも見覚えのある、命を吹き込まれた鎧の影が現れた。
フェブリモールは少女を物陰に寝かせ、鎧は敵が這い出してくる方向へと向かった。俺とジェシーは周囲の警戒を始めた。
発砲。キンという音とともに弾丸が装甲に弾かれた。岩陰にスコープの反射を見つけ、俺は連射を叩き込んだ。人影が動き、慌てて別の場所へ飛び込もうとする。ジェシーも加わり、制圧射撃で敵を顔も上げられない状態にしたまま、鎧が接近して剣で串刺しにした。
セフィーナの鎧がポータルの中へ走り込み、内部に消えた。またなんか失敬する気か?
とはいえ妙だ。前回は片が付いた時点で全部閉じたんだが。
動きを察知して見ると、ポータルから人の群れがなだれ込んできた。普段着姿で、顔には恐怖を貼り付けて、まるで死そのものに追われているかのように走ってくる。鎧がそんなに怖かったのか?
「民間人、どうする?」ジェシーが訊いた。
「まとめて拠点まで連れてく」
ジェシーとフェブリモールが群衆のもとへ駆け、脅しをかけて強引に止めさせた。
「違う、俺たちみんな終わりなんだ、分かってないのか! バカども!」と叫び声が響いた。
ポータルから轟音を立てて戦車が全速力で飛び出してきた。激しく煙を吹きながら前方へ突進し、呆然としていた者たちをキャタピラで巻き込んでいく。煙に炎が加わり、戦車は爆発して周囲の者たちを装甲の破片で殺していった。
ジェシーは喘ぎながら貫通した喉元を掴み、血を止めようとした。胸の貫通穴のせいでまともに息を吸うこともできない。力尽きた彼女は倒れ、荒い呼吸をしながら地面に足を擦りつけていた。拳銃を取り出すと、自ら撃って静かになった。
フェブリモールはもっと運が良かった――吹き飛んだ砲塔に潰されただけだ。
「市民ステータス:-2(24)。残存兵士2名」
「拠点で蘇生」
ポータルから無数の箇所が溶けて穴だらけになった鎧が転がり出てきた。
剣を取り落とし、その存在は膝をついて這い始めた。それから、瓦礫の山の向こうへ金属の杖を投げ捨てると、崩れ落ちた。
俺はセフィーナに駆け寄った。彼女の顔には笑みが張り付いたまま、真っ白な肌を伝って鼻から血が流れ続けている。俺は手袋を脱いで脈を確かめたが、何も感じなかった。
「市民ステータス:-1(23)。残存兵士1名」
「拠点で蘇生」
「ふざけんな!」
だが俺の叫びに答える者はいなかった。ただ重々しい足音を響かせ、身をかがめながらポータルから巨大なロボットが現れた。高さは6メートルはある。人型で、両腕両脚があり、膨らんだ胴体に小さな「頭部」がついている。肩には四基の回転式機関銃が据えられ、左のマニピュレーターは威嚇的な四本指のクローで終わり、右腕には見慣れない平たい武器が取り付けられていた。ロボットは地面を踏みしめながら進み、周囲を見回した。その頭部に酸の塊が飛んできたが、50センチ手前で止まった。青白いフィールドが煌めき、酸の塊は地面にぼとりと落ちて石を焼いた。
向きを変えると、巨体は四基の機関銃から一斉に射撃を開始した。右腕の武器が重々しい音を立てて充填され、やがてエネルギービームを発射した。光の槍は一瞬でロボットと残骸の山の間の距離を貫き、強烈な爆発を引き起こした。
ロボットは再び頭部を左右に動かしたが、ケルはすでに俺の隠れ場所まで気づかれることなく無傷で辿り着いていた。
ポータルから4人の人間が出てきた。黒のアクセントが入った白い制服を着た、男2人と女2人だ。
白髪の長髪で眼帯をした男が退屈そうに腰の鞘に手を添えている一方、ぴったりとした制服を着た女は逆に、刃が虹色に輝く巨大な剣を取り出して、せっかちに振り回していた。
眼鏡をかけてヘッドセットを装着した女がドローンを起動し、4人をシールドで覆った。赤毛の男が何か彼女に囁くと、彼女は頷いてアンテナ付きのドローンを何機か追加で飛ばした。ピッと音を立てて、機体は俺たちの方へ飛んできた。




