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第百十四章 儀式

挿絵(By みてみん)

俺たちが入ってきたドアが勢いよく開き、衛兵たちがホールになだれ込んできた。だが、槍の輝きはラズのオーラの効果範囲に入った途端、消えてしまった。


伯爵夫人がまた金切り声を上げようとしているのを見て、俺は素早くアンデッドのスロットを切り替え、エリザベートを召喚した。


フリーダは叫び声を上げたまま咳き込み、荒い息をつき始めた。衛兵たちは役立たずになった武器を呆然と見つめ、ケイトが向けているサブマシンガンに釘付けになっている。


「みんな、落ち着こうじゃないか。な?」俺は穏やかで友好的な口調で言ったが、全員がリラックスしたいわけじゃなかったらしい。半裸のマッチョ連中の中から二人が俺に向かって突進してきた。女主人の前でいいところを見せようってわけだ。


「エリザベート」と俺は素早く言った。


「はい、ご主人様!」俺のアンデッドは大声で答え、ロングソードを鋭く振り上げると、その場でくるりと回転した。


二人の間抜けな襲撃者は、裂けた腹から溢れ出す腸を必死で押し戻そうとしながら、情けない悲鳴を上げ始めた。


武器を突きつけられ、衛兵たちは壁際に近づいておとなしく座り込んだ。ケイトが近づいて二人の頭を殴り、気絶させた。


ホールの反対側から新しい衛兵たちがなだれ込んできた。槍兵に加えてクロスボウ兵もいる。だが全員がエリザベートの能力の影響下に入り、哀れなアルヴァーもどきに変わり果てた。


「みんな、誤報だ。解散してくれ」俺は手を振りながら言った。部隊から一人の男が離れて近づいてきた。どうやら隊長らしく、フリーダに問いかけるような視線を向けた。


少女は手を振り払い、再び顔を両手に埋めた。衛兵たちはゆっくりと元来た隣の部屋へと戻っていった。


「どうして? 誰が死すべき者を私のところに連れてくるなんて思いついたの? 誰の、くそったれ、アイデアなのよ?」伯爵夫人がセレナとルビーに悪意を込めて尋ねた。脇に置かれたアーギの死体を見て、二人はほぼ同時に彼女を指差した。死人に口なし、いい手だ。


残念ながら、少女の自己犠牲はもう切れていたが、すぐに蘇生させたらあまりにも不自然だろう。そうしたらワオ効果が台無しだ。


「おい、舐めるのはそこまでにして、こっちに来い」俺はハーレムの筋肉男の一人に叫んだ。


近くに転がっている仲間たちの体を恐る恐る見て、男はゆっくりと俺に近づいてきた。


彼の腕を掴んで、アーギの死体の近くに引き寄せた。一分ほど待ってから、俺はそのマッチョを床に突き飛ばし、狐娘に蘇生を使った。


瞬きをしながら、少女はゆっくりと起き上がり、俺を見るなり、気持ち悪い虫を払うように俺を突き飛ばした。


「おい、そういう態度取るなら、またぶっ殺すぞ」俺は俺からできるだけ遠くへ這いのこうとする少女に悪意を込めて吐き捨てた。ルビーが慌てて彼女のもとへ駆け寄り、抱きしめて何か素早く耳元で囁いた。


徐々に周囲を見回し、伝えられた内容を理解したアーギは唾を飲み込んだ。動揺している伯爵夫人を見てから、彼女は耳をぴくぴくと動かし、四つん這いになって、顔をしかめながら額を床につけ、何とか絞り出した。


「お許しください……ご主人様」


「まあ、嘘くさいけど、いいだろう」


俺がいつでも彼女たちを殺すことも蘇らせることもできるという事実を噛みしめさせて、俺は静かにぶつぶつ呟いているフリーダのもとへ向かった。


「やあ。全然連絡くれないじゃん、一緒にお茶飲んだ仲なのに」


疲れた目で俺を見た少女は、玉座の背もたれに体を預け、足を組んだ。その仕草が、誘惑的に露わになった太腿を強調している。


「ニコ、会えて嬉しいなんて言ったら嘘になるわね。何の用?」フリーダは手で髪を直しながら、長い前髪越しに俺を見つめて尋ねた。


「俺は嘘つかずに言うぜ。お前、すごくいい感じに見えるから、会えて嬉しいってのは本当だ。でも残念ながら、そのためだけに来たわけじゃない。まあ、それだけじゃないってことだが。くそ、この連中どっか行ってくれねえかな、マジでうざい!」


フリーダはフンと鼻を鳴らし、男どもをうるさい蠅でも追い払うように手を振った。マッチョどもが扉の向こうに消えると、少女は続きを待つように俺を見つめた。


「まず最初に聞きたいんだが、クリスタリットは持ってるか? 買ってもいいぞ! おい落ち着けって、見ての通り、お前の城をぶっ壊しに来たわけじゃねえんだから」


驚いたように俺を見た少女は、自信なさげに頷いた。


「多少はあるわ。で、何で払うつもり?」


「金だ」


「んー。でも、それを持ってきたわけじゃないんでしょう?」落ち着きを取り戻したフリーダは顎を撫でながら言った。


「ああ、残念ながら小遣いとしては最適な通貨じゃないんでね。インゴットは持ち歩くと重くてズボンが下がっちまう」


フリーダはくすくす笑うと、足を組み替えて興味深そうに俺を見た。


「それで、結局何を企んでるの?」


「いや、大それた計画は立ててないぜ。あっちでうまく立ち回って、こっちで交渉して。少しずつ動いてるだけさ。ところで、聞きたいことがあるんだが。試練の時はほとんど黙ってたけど、見た感じ、お前はそこまで筋金入りの男嫌いってわけじゃなさそうだな?」


微笑むと、彼女は少し身を乗り出して囁くように言った。


「実を言うとね――あたしはあんたが大嫌いなの。他の男どもと同じように。でも、性別に関係なく、実力でも人間性でも強い人間がいるのを否定するのは馬鹿げてるわ。あんたを敵に回すのは損だと思ってるから、できるだけ愛想よくしてるのよ。評価してくれてると嬉しいわ」


「ああ、ありがとうな。計画について言えば、もう一つ――お前からあの杖を譲ってもらいたいんだ」


驚いたように眉を跳ね上げて、彼女は訊いてきた。


「ん? ここに拠点を作るつもり? それとも家に持って帰るの?」


謎めいた笑みを浮かべて、俺は言った。


「協力しないか? お前、俺を敵にしたくないって言ってただろ。味方ってのはどうだ?」


「魅力的だけど、保証が……」


「俺と結婚してくれ」


フリーダは言葉を言い終える前に、唖然として俺を見つめた。


「え、何?」


「だから、俺と結婚しろって言ってるんだ。そうすりゃ保証になるだろ。拠点はここにあるし、俺は必要なら移動する。フレムテック攻撃にも協力するつもりだし、他にも何かあればな」


考え込んだ伯爵夫人は、足を肘掛けに投げ出して、俺に対して横向きに座り直した。


「ねえ、ニコ、あんたって本当に変わってるわね」ようやく少女が答えた。「でも、信じたくなるのよね。確かに血縁関係は良い証明になるわ」


「ただし――お前の浮気は一切なしだ」


「ちょっと、何よそれ。あんたは女を何人も囲ってるくせに、私は男がダメってわけ? え?」少女は目を光らせて憤慨した。


「そういう俺は最低野郎だ。まあ、お前はここに残らなきゃいけないだろうし、伯爵夫人がいなくなったら領地が潰れるだろうから、完全に縛り付けることはできないけどな。でも確認するぞ! 絶対に確認する!」


「んー、わかったわ」少女は温かく微笑んで言った。「じゃあ式の準備しなさいよ。花婿さん、あはは」


大まかに説明してくれた少女は、期待に胸を膨らませて手をこすり合わせた。俺は準備に取りかかり、一部の情報を女の子たちに伝えた。


王座の間からかなり離れた部屋の一つに入ると、俺は騎士形態を発動させて鎧を脱ぎ始め、やってきた奴隷たちから受け取った腰布一枚だけの姿になった。短剣を手に取り、フリーダのところへ戻る。まったく、この格好は昔を思い出させるな。


「儀式」の他の参加者たちはすでに準備を終えていた。アイゼンヴェルド家の屈強な男たち、完全なクズ扱いされていない唯一の連中で、アーギやルビー、セレナでさえ彼らにはほんのわずかな敬意を示していた。


俺たちは全員、城内に作られた小さな見世物用の広間に集まった。


伯爵夫人は俺の妻たちや娘たちと一緒に、他より高い位置にあるVIP席に陣取っていた。残りの者たち、人数合わせで呼ばれた奴隷たちも含めて、数多くの石のベンチに座っていた。


檻から出ると、俺は大きな円の中央に近づいた。何人かの男たちが俺に向かって歩み出てきた。鎧を着た者もいれば軽装の者もいたが、全員が光る刃を持っていた。どうやらこいつらの能力をブロックしちゃいけないって条件らしい。連中も昔はこうやってこの地位を勝ち取ったんだとか。確かめようがないが、もし嘘だったら力ずくで解決すればいいだけだ。


普通の見世物とは違い、ここでは誰も狂ったように叫んだりせず、全員が極めて静かに座り、起こることすべてを完全に評価しようとしていた。


闘技場の石床で軽く足踏みしてから、俺はナイフを逆手に持った。どこかでドラが大きく鳴り響き、相手たちが突進してくる。どうやらテレキネシスやパイロキネシス、その手の能力も使用禁止らしい。だから俺たちは接近戦で激突することになった。お互い、己の力だけが頼りだ。とはいえ、こんな大勢を相手にするのは骨が折れる。だから俺は最上級の加速と強化を発動させた。敵は九人だ。


光る刃の一撃を屈んでかわし、俺は急激に体を起こして拳を相手の腹に叩き込んだ。そして二人目、空振りした後にアッパーカットをお見舞いする。三人目と四人目は一緒に来た。一人には足元に飛び込み、宙で腱を切り裂いて倒れ込ませ、素早く跳ね起きると回転しながら蹴りをもう一人の顔面に叩き込んだ。


残りの五人が俺を囲んだ。全員が棍棒で武装している。見た目にはサイオニックエネルギーのチャージすらないようだが、ただのフェイクの可能性も十分ある。


まるで合図でもあったかのように、五人が一斉に俺に襲いかかってきた。俺が怯んで別の場所に移動しようとするのを期待しているんだろう。その間にボコボコにするつもりだ。だが俺は、タイミングを見計らってその場で回転し、手にしたダガーを握りしめた。三人が負傷し、残る二人はタイミングを計って接近し、ほぼ同時に殴りかかってきた。


バランスを崩して倒れたが、すぐに跳ね起きた。痛ぇ。まあ、残りは二人だけだ。


二人の男が俺を左右から挟むように徐々に近づいてきて、突然俺の方に走り出した。


棍棒の一撃――切り落とされた間抜けの手首が石の床に転がったが、俺はもう気を取られていて背中に一発食らってしまった。とはいえ、加速の力で何とかもう一撃を避けて身をよじり、相手の手首をひねって鼻をへし折り、床に沈めた。


俺は観客たちを見渡した。明らかに俺を応援している者もいれば、がっかりしている者もいる。ジェシーとエンディスが手で口を覆って俺を見ているのが見えた。ケイトは目から何かを拭い、ラズは自分の背中を指差していた。


実際、俺自身、痛みが引かないことに気づき始めていた。肌の上を温かい何かが流れていて、手のひらで触ってみると、血まみれの手を見つめることになった。


ああ、そのうち治るだろ。伯爵夫人の玉座に近づくと、俺は疑問の眼差しで彼女を見た。静寂の中、フリーダが席を立ち、髪を整えながら微笑んだ。


「ニコ、おめでとう。あなたは今日からアイゼンヴェルド家の一員よ。あなたには我が家から一人から三人の妻を娶ることが許される。あなたの妻たちには他家から一人から三人の夫を持つことが許される。もう花嫁候補は見つけたの?」


「兄弟、ようこそ!」負傷し、俺に打ちのめされた連中が小さく囁いた。


場がさらに静まり返った。どうやら、この規模の婚姻はかなり珍しいらしい。まあ、貴族の家系だけの話かもしれないが。俺が理解した限りでは、この場合の「家族」というのは血縁者というより、家長の下に集まった共同体みたいなものだ。とはいえ、関係性はかなり密接で、どこか親族関係に似ている。


「ああ。俺はフリーダを妻に迎える」


表情を変えずに、彼女はざわめきが起こる中、かすかに頷いた。


「承諾するわ。他には?」


「市民ステータス+1(297)」


「ステータス更新中……完了」


「新たな妻として登録されました:フリーダ、シャドマー派閥」


「シャドマー派閥妻スロット使用数:1/3」


「シャドマー派閥とのシナジー+15%(15/100)」


「フリーダ、ランクなし兵科モデル2が利用可能:ハイバンシー」


「セレナ」


「にゃっ!?」観客席から絶望に満ちた猫の鳴き声が聞こえてきて、周囲の連中が一斉に、必死に目立たないようにしようとしている猫娘を凝視した。


「構わない。他には?」


「ステータス更新中……完了」


「新たな妻が登録されました:セレナ、シャドマー派閥」


「シャドマー派閥の妻スロット使用状況:2/3」


「セレナ、新しいランクなし兵科モデルが利用可能:(???)『サイオニック、近接戦闘』ラインでランク2を取得すると開放されます」


「以上です、奥様。貴族の家の男が使用人を持つことは許されますか?」


フリーダは黙って頷いた。


「では、ルビーとアーギを使用人として雇いたいのですが」


「構わないわ」


観客席から苛立ちに満ちた溜息が聞こえたが、皆がその場所を振り向くと、そこには二つの空席があるだけだった。ラズが自分の席から立ち上がり、近くまで歩み寄ってきた。俺を睨みつける狐娘たちの姿が皆の目に晒された。


小さな笑い声が漏れたが、伯爵夫人の次の言葉でぴたりと止まった。


「これをもって、式典の終了を宣言する」


負傷者たちは治療師に引き取られ、俺は部屋に戻って普段着に着替えた。その前に自分に治癒をかけておいた。


ちょうど着替え終わった頃、俺のところに女の子たちがやって来た。


「ニコ、結局どういうことなの? あの人たち、あんなに男を憎んでるのに、あなたにはこんなに特権を与えるなんて」ジェシーが不思議そうに訊いてきた。


「いくら男どもに酷い扱いをしてても、繁殖は必要だからな。だから強い男を儀式で選び出して、それなりに良く扱う――いや、扱うフリをするんだ。一族はそれで得をするし、不満があっても共同体に残りたいなら従うしかない」


「そういうことか。でも私たち、心配してたのよ! それに大体、あなたが新しい女を探すのを手伝わなきゃいけない理由って何? 私たちにだってもうほとんど構ってくれないくせに」エンディスが不満をぶつけてきた。


「君の言う通りだ。ちなみに、儀式には続きがあるんだが、正直言って、俺はちょっと恥ずかしいんだよな」


「パパでさえ恥ずかしがってるなら、私はもう怖いよ」とラズがぼそっと呟いた。ママから聞かされた話の後じゃ、一体何なのか想像もつかない。


「ああ、ケルはそんなことまで君に話すのか?」


ラズは顔を背けながら頷いた。まあ、娘でさえ知ってるなら、恥ずかしがることもないか。俺がどんな奴かってことを。


手短に娘たちに話してやった。エンディスは真っ赤になって、何やら鼻の下で呟き始めた。ジェシーは嬉しそうに髪をほどいた。


「ああ、そういうことなのね。試してみる価値はあると思うわ」とラズが静かに言った。


「パパとママの前で? うーん、なんていうか……どうなんだろう」とケイトが恥ずかしそうに言いながら、胸の前で腕を組んだ。「まあ、いつかは試してみる価値があるとは思うけど」


俺自身もまだ照れくさかったので、とりあえず話題を変えることにした。


「とりあえずお前らはパーティーの準備をしてろ。俺は拠点の件を片付けてくる。だってもう夕方だし、帰る手段は考えとかないとな?」


「ええ、もちろん、行ってらっしゃい」ジェシーが微笑みながら言った。他の連中はまだ想像の世界に浸りきっていた。


フリーダが俺を待っていた。俺はエリザベートとどこでも一緒に行動すると決めていた。余計な奴に頭の中を読まれたくなかったからな。


「よくやったわ。まあ形式的なものだけどね、あなたが全員をぶちのめすなんて最初から分かってたわ」伯爵夫人が俺を眺めながら言った。


「おお、そりゃどうも高評価をありがとうございます。で、拠点の件は?」


フリーダはにやりと笑って言った。


「いい? うちのロートクを一つ使って死すべき者の塔を建てるか、あるいはあなたが望んでいた通り新しい拠点を建設するか。でも正直言って、後者には意味がないわ。だったら自分のところで拠点を発注した方がよっぽど手っ取り早いもの。うちは今のところ採掘量が上限に達してるし、新しい拠点を作れば追加の資源源にはなるけど、大した効果は期待できないわ」


「ふむ、分かった。お前の情報を信じるよ。じゃあクリスタリットの件は?」


「今のところ千だけしか出せない。いくらで引き受ける?」


「あら、私たち今や家族じゃない。お互い無料で助け合わないとね」俺は図々しく笑いながらそう言った。


フリーダがくすくす笑った。


「まったく、ずる賢いんだから。でもごまかさないでよ、約束したんだから。一万よ」


「いいだろう」


まつ毛をぱちくりさせて驚いた様子の彼女が笑い出した。


「くそ、もっと高く言っとくべきだったわ。まあいいわ、取引成立ね。それで儀式はどうするの? あなたの娘たちは同意してくれた?」


「ああ、してくれると思う」


「じゃあ、よろしくね」フリーダは唇を舐めながらそう言うと、腰を揺らして立ち去った。


◇◇◇


「現在の残存寿命――53+(297)。能力発動用ボーナス年数:148(122)(係数0.5)(捕虜――43)」


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