第百十五章 なんて儀式だ!
戻ってみると、彼女たちはもう行ってしまったあとだった。まあ、俺も行くか。そもそも、俺のせいで始まった話なんだしな。
玉座の間には新しいテーブルが用意されていて、ジェシー、エンディス、ラズ、ケイト、セレナ、アーギ、ルビーが席についていた。
俺にちらりと目をやったシャドマーの娘たちは、すぐに皿へ視線を落とした。俺は、二つ残っていた空席の片方、テーブルの上座へ向かった。腰を下ろすより早く、フリーダがやってきて、もったいぶった顔で俺の隣の席についた。
給仕たちが駆け寄ってきて、脂っぽいソースのかかった肉料理を少しずつ取り分け、グラスに酒らしき飲み物を注ぐと、さっさと姿を消した。
フリーダはグラスを掲げて、にっこり笑った。
「さて、ニコ、それからお嬢さんたち。あなたたちは私たちの慣習なんて知らないでしょうけど、優れた男が一族を強くしてくれたときの儀式は、かなり盛大に祝うのよ。それに、気づいたかもしれないけど、私たちの雄に対する扱いは、はっきり言って褒められたものじゃない。でも、今回だけは例外。さあ、乾杯しましょう!」
みんなでグラスをぶつけ合い、一気に飲み干した。渋みのある酒だが、後味は悪くない。体の中にじんわり熱が広がっていく。
「例外だって言ったでしょう」フリーダが続けた。「アーギ、これ以上新しいご主人様をそんな嫌そうな目で見るなら、私が自分の手であんたの首をへし折ってやるわよ、この雌犬」
「申し訳ございません、お嬢様! 二度といたしません!」
狐娘は慌てて口走り、耳がへなへなと垂れた。
「それでいいの。ひとつだけ確認しておきたいんだけど、新しい男がすでに家族持ちなのは初めてなのよね......娘さんたちはどうするの? 普通は女だけの宴なんだけど、あなたさえ構わなければ......」
「いやいや」俺は慌てて言った。「娘たちのことは可愛がってるけど、そういう意味じゃない。本人たちが何をしたいか、自分で決めさせてやってくれ」
フリーダはケイトとラズに視線を向けた。青い髪のケイトは落ち着かない様子で、恥ずかしそうにフォークで料理をつつき始めた。
「えっと、私は、そういうの一度もなくて......でも、やっぱり楽しんでみたいかな。そういえば、お母さんがセフィーナおばさんと一緒に......」
「ちょっと、それは昔の話でしょ!」ジェシーが即座にさえぎり、自分のグラスに注いで、すぐに飲み干した。
「それで?」フリーダが先を促す。
「ええと、ロマンチストの馬鹿だと思ってくれていいんですけど、男の人との初めては......夫としたいんです。だから、もし許されるなら、その、女の子相手だけで......」
ケイトはテーブルに身を乗り出したまま、自分の言葉に真っ赤になった。
「あたしは姉貴に賛成。アルヴァーにもテクガンにも、ここにも、居場所なんて感じないからね。あるものでいいや」
ラズは素っ気ない声でそう言い、肉を平らげた。
「じゃあ、計画どおりね」フリーダが楽しそうに言った。「もう一度、乾杯しましょう!」
今度は給仕を呼ばず、自分たちで注いだ。なんだか妙な気分だ。
「面白いでしょう? 実は飲み物に媚薬を混ぜさせてもらったの。うちの特製、シャドマー秘伝のやつよ」
バンシー伯爵夫人はくすくす笑いながら、火照った頬をさすった。
「効き目は抜群。あ、そうだ、ラズだったわよね? ごめんなさい、少し離れたところに座ってもらえるかしら。気を悪くしないでね」
「あ、いいよ、全然。むしろ興味あるし」
ラズも目に見えて赤くなりながら答えた。あのラズでこうなんだから、他は推して知るべしだ......。
「うちの英雄さん、もう臨戦態勢じゃない!」フリーダが楽しげに言って、俺のズボンの上を手でなぞった。「そろそろ始めましょうか」
......
◇◇◇
宴は、そのまま夜更けまで続いた。
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