第百七章 賞金稼ぎ
状況は緊迫していたが、俺は別に心配していなかった。ああ、もし最悪の展開になったら、こんなクズどもに自己犠牲を使うのは勿体ないが、まあどっちにしろ今は夜の八時か九時頃だ。すぐにリチャージされる。
視界の端で素早い動きを捉え、娘たちの誰かが動き出したと悟った俺は、生きた壁を呼び出して倉庫への扉を塞いだ。ケイトがサブマシンガンを素早く構え、短い連射を浴びせてリボルバーを握るジョーの腕を撃ち抜き、その後カウンターの上に飛び乗った。俺も横に飛びのいたが、それは余計だった。武器は血まみれの切り株から落ち、鈍い音を立ててカウンターにぶつかっただけだった。あいつ、一体どんな弾を使ってるんだ?
カウンターの上を素早く駆け抜けた娘は、勢いをつけてバーテンの顔面にブーツを叩き込み、背後に並んだボトルの山に吹き飛ばした。
ガラスの砕ける音が、壁の向こうからの罵声と鈍い銃声をかき消した。ドローンを呼び出すと、何発もの銃弾で開いたキチンの穴に送り込んだ。その先から静かな羽音と悲鳴が響いてくる。
バーテンは慎重に身を起こし始め、無事な方の手で折れた鼻を押さえていた。ケイトはニヤリと笑いながら彼の上に覆いかぶさり、銃口を向けた。
「どうだい相棒、ついてない日ってあるもんだろ?」娘は楽しそうに尋ねた。明らかにこの状況を喜んでいる。
ジョーは怯えた目で彼女を見上げ、ガラスの破片が少ない場所へと床を這って後退した。
周囲を見渡して、俺はなかなか悪くない設備だと評価した。ビールも冷えていたし、どうやら最初の廃れた外観とは裏腹に、ブハロヴォはどこかのギルドの庇護を受けているらしい。
ジェシーとエンディスはケイトの振る舞いに少し衝撃を受けていたが、何とか平静を装って窓際に近づいた。
「ニコ、まだ客が来るよ」とジェシーが囁き、破壊工作員モデルを起動した。エンディスも彼女に倣い、戦闘態勢に入った。
「さあ、デカブツ、話してもらおうか。そんなに怒らなくてもいいだろ、自業自得なんだから」ケイトはカウンターに座り込み、クスクスと笑い続けた。
「あいつには懸賞金がかかってる。夜明けの守護者が首に報酬をかけたんだ」ジョーは歯を食いしばりながら絞り出すように言い、憎々しげにケイトを睨みつけた。
「いくらだ?」今度は俺が興味を持った。
「50000ゴールドだ」
ジェシーとエンディスの驚いた口笛から察するに、各派閥の相場はだいたい同じらしい。アルヴァー派閥の強力な装備でさえ数千ゴールド程度なのに、こんな額となると、まさに王侯級じゃないか。
「さてさて、じゃあ話してもらおうか。手早く頼むぞ」俺はそう付け加えた。エンディスのライフルが静かにカチカチと音を立てているのが聞こえたからだ。
「知ってたらこんなところにいねえよ!」ジョーは食ってかかったが、しかめっ面のケイトを見つめているうちにすぐに黙り込んだ。「わかった、心当たりはある。あいつは『夜明けの守護者』の拠点を一つ潰して、それから姿をくらました。だが二つ目には手を出さず、俺たちのところにも来てない。ってことは、たぶん南に逃げたか、北の山に潜んでるかだ」
「全部吐いたんだろうな? 嘘ついてたら今すぐ撃つぞ」ケイトは不満げな口調でそう言いながら、二丁目のサブマシンガンを引き抜いた。
ジョーは震えながら手で顔を覆った。
「も、もちろん! 全部だ!」
俺に視線を向けたケイトは、バーテンの方へ軽く顎をしゃくった。俺は首を横に振った。別にこの野郎が俺たちを脅したことを忘れたわけじゃない。
ギルを呼び出すと、ジョーの怯えた悲鳴に俺は顔をしかめた。
「おお、実に暑い! 思い出しますな、シベラの娘が火の魔法を習っていた頃も、こんな陽気でしたな……」ヴァンパイアが話し始めたが、俺は遮った。
「何か食わないか?」
助手はジョーを見て顔をしかめた。
「あら、でも彼、繋がりにすら入ってないわよ。それに夜中に食べるなんて、やーだー。私、体型に気を使ってるの、ご存知?」
バーテンは自分のことを話されていると気づき、恐怖で青ざめた。
「追加するから、明日の分も一緒に取るってのはどうだ? それとも貯蓄はできないのか?」
考え込んだギルは天井に寝そべり、長い指で顎を撫でた。
「いいだろう、親愛なる友よ、そうしよう。だが一週間分は要らないぞ! 一日分なら――まあ、いいだろう」ギルはしわがれた声でそう言い、牙を剥き出しにして満面の笑みを浮かべた。
俺はカウンターを飛び越えてジョーを掴んだ。繋がりに加え、その直後――文字通り一瞬で――ジョーはギルと一緒に消えた。
弱々しい銃撃の様子から見て、俺たちを襲おうとしている連中は少数だった。さて、これからどうするか考えないとな。
一方で、ウルカストがどこかに潜んでいることは確実なんだから、基地で殺して蘇らせるのが一番手っ取り早い。そうすれば、領域全体を駆け回る必要もない。ついでに、同じやり方で賞金も受け取れるかもしれない。あれだけの金があれば、強化を一気に進められる。五位は明らかに時間がかかるだろうし。それにクリスタリットとか、何でも買えるしな。
とはいえ、夜明けの守護者を完全に潰した方がいい気がする。一石何鳥にもなる。まず、そうすれば確実に攻撃してこなくなる。もちろん、代わりの連中が現れるかもしれないが、すぐにってことはないだろう。
次に、そうなれば奴らの資源を手に入れられる可能性がある。それに、他の勢力のロートクを奪う実験も悪くない。
三つ目は、基地が二つあるなら、新しいロッドが二本手に入る。
ただ、人数が足りないんだよな。俺の能力を考慮しても……いや待てよ、そういえば同じものを大量に召喚するのはちゃんと試してなかった。節約ばかり考えてたからな。試しに、娘たちが敵がいないことで油断しているのを見て、俺は外に出て補給を二つ同時に呼び出してみた。おお! 同時に発動した。つまり、制限はないってことか。
配給を掴んで、俺は再び中に入り、みんなに配った。
俺たちが食事をしている間、ケイトが見張りを買って出てくれたので、俺は娘たちに話を聞くことにした。
「で、俺が気になるのは、『夜明けの守護者』の拠点ってどれくらいの戦力なんだ?」
ジェシーがすぐに答えた。
「実を言うと、防衛面ではかなり脆弱なの。資源は全部部隊に注ぎ込まれてるから。ギルド自体はそこまで裕福じゃなくて、中堅どころだからね。だから大手には相手にされないし、小さいところは恐れて襲撃の時は協力するけど敵対はしない。民間人も少ないし、フレムテックとのあの事件の後はさらに減ったわ」
「で、それだけ部隊が多いのに防衛が脆いってことは、どんな戦力を持ってるんだ?」
「軽装備、歩兵、獲物をさっと掴んで逃げられる連中ね。支援用に少し装甲車両があって、あとは航空戦力として数機のヘリコプターがあるわ」とエンディスが報告した。
実際のところ、けっこう立派に聞こえる。それにこの二週間で状況が変わった可能性もある。まあ、最後の襲撃を見る限り、状況が好転してるとは思えないが。おまけにウルカストが暴れ回ったしな。
軽く食事を済ませた後、俺たちは何の妨げもなくブハロヴォを後にした。その前にさっと辺りを見て回ったんだが、残念ながらトラックより速い乗り物は見つからなかった。燃料の缶が数個あったくらいで、まともなものはなし。だから他には何も持っていかないことにした。集落の備蓄といえば、基本的に酒ばかりだったが、それを積んでどうするんだ? まあ、デフールなら喜ぶだろうけど。帰り道に寄れたらな。
「で、ケイト、お前のバイクって速いのか?」
「そんなもんじゃないよ、パパ!」少女は誇らしげに宣言すると、トラックに飛び乗った。
「で、燃料はどうなんだ?」
「自動で補充されるの」少女はさらに誇らしげに答えると、指輪を撫でた。
「じゃあ、悪いんだけど戻ってワイを拾ってきてくれないか? 俺たちは先にこの直線ルートで進む。たぶん途中で合流できると思う。この線を目印にしてくれ」俺はそう言って、地図の上にイカレ野郎どもの元基地と夜明けの守護者の基地の推定位置を結ぶ線をざっと引いた。
「あ、わかった」少女はあまり嬉しそうではなかった。砂漠を行ったり来たりするのは気が進まないのだろうが、それでもモデルを起動させると、エンジンを唸らせて信じられないスピードで遠くへ走り去った。このペースなら三十分もあれば基地まで戻れるだろう。
俺たちは先に進み、約一時間後、バーテンダーが言っていたらしい山岳地帯に到着した。
山の中にはかなり高い峰もあったので、俺は日陰に車を停めて外に出ると、テスラ歩兵を起動させて上空へ舞い上がり、比較的平らな頂上に着地した。すでに少しずつ暗くなり始めていて、暑さも徐々に和らいできてはいたが、岩肌はまだ文字通り熱気を放っていた。
スナイパーを起動させて目を凝らしたが、当然ここから基地を見つけるには足りなかった。それに、走行中は地面がかなり平坦だったとはいえ、時折高低差があったからな。
だから俺は山々を眺めることに集中し、ウルカストが現れることをほんの少し期待していた。目だけじゃ信用できないから、コマンドに切り替えて熱感知フィルターを選択した。何も映らない。弾薬を入れ替え、信号弾を発射した。真上じゃなく――余計な注目を集めたくないからな――角度をつけて、ここに誰かいるってわかるように撃った。
ドラゴニドの感覚なんてもっと起動する気はない。幸い、運が良かった。すぐに走ってくる人影が見えた。テスラ歩兵に戻って、慎重にウルカストのところへ飛び降りた。
挨拶の代わりに聞こえてきたのは、ただこれだけだった。
「お前、急いでなかったみたいだな」
鼻で笑って、俺はすぐに答えた。
「そもそもお前が勝手に始めたことだろ。誰も他の勢力の縄張りに突っ込んでくれなんて頼んでないし、事前に計画すら話し合ってなかっただろうが」
ウルカストの顔に不満の影が走り、何か言いたげだったが、俺は続けた。
「お前が自分の世界で何者だったかは知らないが、今は指示に従ってもらって、勝手な真似はやめてくれ。お前がタイタンだろうとなかろうと、それが何を意味するのかも知らないが、お前は俺を殺せないし、俺はお前を殺せる。簡単にな」
「了解。やっぱりすごい奴なんだな? もう繰り返さないよ」兵士はヘルメットのバイザー越しに俺を見て、口の端を上げながら言った。「それと、率直に言ってくれてありがとう」
彼が俺の言葉を本気で信じたとは思えないが、これなら簡単に実行できる。特に今は、攻撃計画に新たな要素が加わったからな。まあ、新たなと言っても大げさだが、古典は決して色褪せないものだ。
下に降りると、警戒していた女の子たちを落ち着かせた。ウルカストはジェシーとエンディスには目もくれず、敵軍を壊滅させた後、徒歩で移動することにしたが、突然の疲労で山中で待機することにし、その間に敵の動きを追っていたと話し始めた。どうやら彼の能力は本当に優れているようだが、ここに召喚した連中は明らかにかなり制限をかけているらしい。
「ああ、悪くないな。だが拠点がやられた夜明けの守護者たちはまだぴんぴんしてて、お前の首を狙ってるぞ」
ウルカストは答えず、肩をすくめた。俺は手短に、拠点は俺が制御を奪うまでは基本的に機能し続けると説明した。だから単に殺したり設備を破壊したりするだけでは何も解決しないんだ。
そんな話をしているうちに、ケイトが到着した。本当に速かったな。ワイに至っては顔色一つ変えていなかった。
大まかな作戦を説明し終えると、俺は補給を呼び出した。中には服もあって、ワイはテクガンっぽい見た目になったし、他の連中も、もちろんウルカストを除いて、マントを羽織ってフードで顔を隠した。なんといってもジェシーとエンディスはこのギルド出身だし、俺も試練で顔を見られた可能性がある。ドルフとマディが正確にどこにいるのかは分からないんだ。
全員がトラックに乗り込んだ。俺が運転席、ワイとケイトが助手席、ジェシーとエンディスが荷台でウルカストを「見張って」いる。
山を迂回して、さらに一時間ほど走ると、かなり高いコンクリートの壁に囲まれた基地に近づいていた。イカレ野郎どもと違って、ここでは誰も前もって出迎えに来なかった。ただ、壁の上の機銃、照準を合わせられたサーチライト、銃眼から突き出た武器の数々は、ゴロツキの群れよりもはるかに威圧的だった。
ゲートが開き、中からライフルで武装した十数人の突撃兵が飛び出してきた。先頭には迷彩パンツにタンクトップ姿の、機関銃を持った筋肉ダルマが歩いている。まあ、ジョニーみたいなコマンドーだろうな。
キャビンに近づくと、その兵隊野郎は逆立った髪を撫でつけ、砂の上にツバを吐いてから、怒鳴った。
「何しに来た、おい?」
「賞金稼ぎだ。金色の目をしたガキを探してて、5万払うって言ってるのはあんたらじゃないのか?」
テクガンの男は急に表情を変え、驚いたように俺を見た。
「マジで?」
「これ以上マジなことはないぜ」
頷いて俺に外に出て見せるよう促すと、兵士はトラックの後部へと向かった。
心の奥底でどこか裏があるんじゃないかと疑いつつも、俺はキャビンから降りて彼の後を追った。幌を跳ね上げると、俺は歓迎するような仕草で暗い荷台の中を指し示した。
ライフルのライトを点けて、テクガン派閥の兵士が中を照らした。ああ、縛られたウルカストが憎々しげに彼を睨みつけたが、すぐさまジェシーに銃床で脇腹を殴られた。
「おおおお、オーケー、そいつを引きずり出して上に連れてくぜ」再び砂に唾を吐いて兵士が言ったが、俺は否定するように首を横に振った。
「こいつはすばしっこいんだ。今はトラックに座らせておいた方がいい」
第二基地で起きたことを聞いていたらしく、テクガン派閥の兵士は素早く頷くと、門へ走って指示を出し始めた。すぐに通路が広く開かれ、俺たちはゆっくりと中に入り、案内人に従って司令部まで辿り着いた。
そこで念のため身体検査を受け、武器を渡すよう求められたが、俺もケイトもモデルを起動していなかったので、何も持っていなかった。ワイも一緒に連れて行き、俺はもう一度トラックを囲む兵士の群れを見た。裏があるんじゃないかと不安だった。近くには装甲兵員輸送車が配置され、戦車も二台ほどいた。それ以上は見えなかったが、ロートクは俺のところよりも明らかに建て込んでいた。
中に入り、最初に出迎えてくれたマッチョに案内されて、見慣れた配置のホールをいくつか通り過ぎ、管理者の部屋に辿り着いた。そこにいたのは若い男で、その隣には傷だらけの白髪の男が座っていた。目つきと鼻の形からして、どうやら親子らしい。
「おやおや、君たちが俺たちのヒーローってわけか?」若い男が机から立ち上がりながら陽気に言った。
「まあ、そういうことだな」俺は無関心な口調で答えた。くだらない世間話には興味がないという雰囲気を装いながら。
「へえ、どうやら名声には興味なしか。じゃあ金も要らないのかな?」
誰も冗談を評価しなかったので、男はただ手を振った。
「まあいいや。で、間違いないんだな、ビリー? こいつが俺たちの連中をやった野郎か?」
マッチョは肯定的に頷いた。
「で、証拠は? 証拠あるのか、ビリー?」男は不安そうな兵士を笑顔で見ながらしつこく聞いてきた。
「いや、大丈夫だって。こんなの毎日見られるもんじゃないしな」
「わかった、わかったよ。じゃあ、金はここにある」
外に出ようと言った青年と残りの連中が、俺たちと一緒に付いてきた。部屋の一つを開けると、金の入ったコンテナを見せてくれた。こういうことに詳しくない俺は、間抜けにも金の延べ棒を見つめていた。まあ、何千枚もの硬貨が出てきたら逆におかしいけどな。どうやら延べ棒一本が2000に相当するらしく、5つの小さなコンテナに合計25本入っていた。
「仕事ご苦労さん。武装護衛を用意しようか? たったの6000でどうだ!」青年は笑顔でそう言ったが、その顔を見れば分かる。これは頼みごとじゃなく、押し売りだ。ゴロツキほどじゃないが、やってることの本質は大して変わらない。「それとも何か買っていくかい?」
「いや、結構だ」俺は笑顔で返した。「逆にあんたたちが買わないか? 今まで見たこともないものがあるぜ!」
興味を引かれた青年が近づいてきて、ケイトが指輪に手を伸ばした。
「で、それって何だ?」
こんな風に大げさに発表したい自分の欲望がどれだけバカげて見えるか、心の中で苦笑しながらも、俺はメカの重さで崩れ落ちる建物の床を笑いながら見つめて叫んだ。
「トロイのタナトスだ!」
◇◇◇
「現在の残存寿命-51+(227)。能力発動用のボーナス年数:90(50)(係数0.4)(捕虜-35)」




