第百一章 家を失った王族
俺が最も期待していた客というわけじゃないな。ゴーストヴィルの連中には、誰彼構わず入れるんじゃなくて、ちゃんと話をつけておくべきだと言っておかないと。俺たちの場合、王族だって必ずしも善意で来るとは限らないんだから。
とはいえ、今回に関しては、シアディンは明らかに俺の能力を知っているわけで、こんな少数の「軍隊」で攻撃を仕掛けるはずがない。ということは、何か問題が起きたんだろう。もしかして、あの陰険な旦那がアキルズへの援助のことを嗅ぎつけたのか?
気まずい沈黙が流れたので、俺は急いでそれを破り、センターへ通すことにした。あそこにはホールがたくさんあるから、全員を収容できる場所があるはずだ。
目の端で、あちこちから好奇心旺盛な顔が覗き始めているのが見えた。特に目立つのは、猫耳の三人だ。まあ当然か、皇子たちがここにいるんだからな。それにマルコもいる。どうやら試練が彼に人生の切符を与えたらしい。
光の戦士たちは兵舎に泊まることを選び、フェブリモールたちが案内していった。残りの者たちは俺と一緒についてきた。
全員が可能な限り快適に落ち着いたところで、俺は女王に問いかけるような視線を向けた。シアディンは付き添いの者たちを振り返ると、素早く言った。
「二人きりで話さなきゃいけないほど秘密の話じゃないと思うわ。それに、私は子供たちに秘密なんてないの」
金髪の弩兵が咳払いをすると、シアディンは不機嫌そうに顔をしかめてから続けた。
「ああ、それとマルコからもね」
猫耳姉妹は俺にくっついてきて、一緒にソフィアもやって来た。アルヴァーの集まりだ。
はっと気づいたシアディンは、礼儀からか、それとも俺の娘たちの好奇心に満ちた視線のせいか、慌てて自分の子供たちを俺たちに紹介し始めた。
どうやら後者らしい。というのも、長男の皇子は船で既に会っていたからだ。今も相変わらず無表情で、まるで話題が自分のことではないかのように壁のどこかを見つめている。マラカイトの皇子――女王が俺に教えてくれた唯一の新情報がこれだった。それからようやくイソルトゥール皇子は頷いた。まるで「そうだ、間違いない、私がここにいることを光栄に思え」と確認するかのように。
何気なく振り返って、娘たちの反応を見てみた。どうやらこの態度には少しがっかりしたようだが、見た目は彼女たちにとって悪くなかったんだろうな。
弟のアラランの方が背が高かった。明るい色の髪が無造作に四方八方へ跳ね、一部はかなり長い尻尾に結われていて、頭が動くたびにあちこちに揺れている。この奔放な髪型を締めくくるのは頭の装飾品で、王冠と角の中間のような代物だ。まあ、誰にでも変わった趣味はあるもんだ。
皇子が身に着けているのは、ダークグレーの重装甲だった。時折、グバーの色合いが煌めく。鎧の一部は金属と同じ色をした旅装束のようなもので隠され、さらに一部のプレートは明るい色をしていた。いずれにせよ、大きな肩当てと頑丈な防護襟は俺に快適さなんて微塵も感じさせなかったが、この男は平然とその重装束に身を包んで座り、まるでガラスで作られたような巨大な両手剣を脇に立てかけていた。クリスタライトも似たような見た目だが、まさかあれで強度を失わずにこんなに大きな刃を作れるのか? モデル名は「クリスタルプリンス」、もしかしてそこに全ての答えがあるのかもしれない。
青年は自分について語られることに素直に頷いていたし、どこか興奮した様子だった。宮殿では好き勝手に歩き回れる場所なんてそう多くなかっただろうから、今起きていることは彼にとって冒険なんだろう。エヴィナとソフィアは興味深そうに末っ子を見ていたが、俺はそう、ぱっと見では何も言えないな。面構えは悪くないし、それだけだ。
皇女たちは当然、女の子たちには興味がなかったが、ここでは礼儀が働いたんだろう。まあ、息子たちがもっと年上だったら、俺が目にしたものを見て喜んだに違いないが。二人とも旅のマントを脱いだら、かなり軽装だった。
人懐っこく微笑むサファイアの皇女シェフィカは、青みがかった長くて豪華な巻き髪で、すぐに好感が持てる。前髪から控えめに覗き、長いまつ毛をぱちぱちさせながら、黒と白の短いドレスのスカートを整えていた。その装いはどこか修道女を思わせ、金の装飾が施された黒と白の「帽子」がそれに一役買っていた。とはいえ、修道女らしい慎ましさは彼女には足りなかった。豊かな胸が、狡猾にそれを包むドレスの生地から今にも飛び出しそうだったからだ。彼女は長い杖を持っていて、その先端はコウモリの翼のような二股に分かれていた。
妹のウィトナは、見た目はかなり無邪気そうだったが、その明るい黄色の瞳に宿る虚ろな視線ですぐに化けの皮が剥がれた。何を考えているのか分からないが、心ここにあらずといった様子だ。兄と同じように、頭には角のような装飾品を付けていた。ただし彼女の場合は、こめかみの辺りから生えている。一瞬、これは装飾品じゃないんじゃないか、という考えが頭をよぎったが、シアディンを見る限りでは、見た目は普通の人間だ。そんな推測をするのも妙な話だ。それに、繋がりも何も言ってこない。
長いストレートの真っ白な髪を振ると、ウィトナは足を組んで、ぴったりとした赤白のズボンに包まれた魅惑的な太ももを見せつけた。少女の首には、赤い色をした小さなふわふわのジャボのようなものが巻かれていて、縞模様のリボンで結ばれ、そこには黄色く光る小さな石が付いていた。
上半身には、小さな胸を覆うだけの軽いトップスを着ているだけで、肩と引き締まったお腹は露出していた。黄色い石を身に着けているにもかかわらず、皇女はルビーだった。俺は彼女の刀を見た。鞘に収められている。もしかしたら、武器にこの不一致の謎を解く鍵があるのかもしれない、と思った。
娘たちを紹介し終えて、俺は皇子たちが平静を装おうとしているのに気付いた。だが、それでも動揺が、あの冷静な長男にさえちらついていた。なんだか、この状況、妙だな。
紹介が終わるのを待って、新しい名前の半分はもう忘れたな、と心の中で思いながら、俺は女王の向かいに腰を下ろした。大切なお客様のお話を聞く準備ができている、という態度を全身で示しながら。
外見の王族らしい威厳を幾分か失って、シアディンは言った。
「とにかく、私はあなたの力になりたいの」
それじゃ物足りないな。だから俺は疑問げに眉を上げた。
「うーん、つまり、その、今は宮殿の外にいるというか」シアディンがようやく絞り出すように言った。子供たちは眉をひそめたが、何も言わなかった。マルコは拳を握りしめた。本当に忠誠を誓うようになったのか、それとも失脚した女王に仕えるのが気に入らなかったのか――今のところ判断は難しい。
「いや、宮殿から誰かが協力してくれるのは嬉しいけどさ。でも、襲撃の日まではまだかなり時間があるし、今のところ他に戦う相手もいない。それが唯一の理由だって本当に言えるのか?」俺は結論を述べ終えると、扇子で扇いでいる女王をじっと見つめた。中心部は確かに暖かかったが、そこまでじゃないはずだ。
「ニコ、私はここに、あなたの村にいたいの」シアディンは短い沈黙の後、俺の目を見て決然と言った。「そうすれば、もっと仲良くなれるし、子供たちも家族を作れると思うから」
背後から驚いたようなにゃあという声が聞こえ、ソフィアが咳き込んだ。皇子たちは真面目な顔で刀身を確かめ始め、動揺を隠そうとしている。ああ、多分、彼らの異性との交流は姉妹で終わったんだろうな。青髪の皇女はくすくすと笑い、ルビー色の皇女は無表情のまま胸の前で腕を組み、天井のどこかを見つめていた。
「長期計画だな。後半を除けば、自分の街の何が不満だったんだ?」
俺を物分かりの悪い子供でも見るような目で見てから、シアディンははっと我に返り、弱々しく微笑んで言った。
「ロートクの快適さに匹敵する街なんてほとんどないわ。だから、ここは言うまでもないでしょう」
まあ、論理的だ。それに俺もそんなに損するわけじゃない、飯がタダなんだから。問題は、この裏に何か別の思惑が隠れてないかどうかだ。
「わかった、別に俺は構わないぜ。お前ら全員を繋がりに追加するってのはどうだ?」
女王の顔に一瞬浮かんだ笑みが消えるのを見逃さなかった。これが狙いか? もしかして、旦那の「殺害スイッチ」で脅されてないのか?
黙って立ち上がったシアディンは、腰を揺らしながらゆっくりと俺に近づいてきた。俺の方に身を屈めると、他の誰にも聞こえないように囁いた。
「私がここにいる間は、好きにしていいわよ。文句は言わないから」
そう言い終えると、彼女は俺にいたずらっぽくウインクした。思わず顔をしかめたが、すぐに作り笑いで隠した。その後、女王の手を取った。
浮気についてどうなのかは知らない。結婚をあれほど守るシステムが、そういう関係にどこまで厳しいのか、正直興味もなかった。だが、仮に何の罰則もないとしても、何かあったらすぐ別の男に擦り寄るこの女の態度は、あまり気分のいいものじゃなかった。確かに俺が一夫多妻制だから、色々な関係を批判できる立場じゃないが、それでも俺の女たちは全部わかった上でやってる。もし反対してたら、俺だってこんなことしてないと思う。
まあ、繋がりに追加するだけなら問題ない。続いて皇子たちが近づいてきて、進んで篭手を外し、俺の前に恭しく頭を垂れた。まるで今から俺を自分たちの王として認めるかのように。弟の方の手は驚くほど冷たかった。緊張で汗をかいてるんだろう。
次に青い髪のシェフィカが近づいてきて、恥ずかしそうに柔らかくて温かい手のひらを差し出してきた。笑顔で励ましてやってから、最後の皇女を待った。何の感情も言葉もなく、ただ氷のように冷たい手が触れただけだった。俺が指を少し長めに握っていると、彼女は鮮やかな黄色い瞳で俺をじっと見つめてきた。非難も嫌悪もなく、ただ俺が次に何をするのか待っているだけだ。手を離すと、ウィトナはさっと振り返り、ぴったりしたズボンに包まれたお尻に手を滑らせながら、元の場所へ戻っていった。みんな俺のことをどう思ってるんだ?
彼女たちがここに住むことを了承してから、俺は娘たちに客を見送るよう提案し、シアディンだけを引き留めた。二人きりになったところで、俺は確認することにした。
「戦闘の支援だけじゃなくてさ、俺だって強力な戦闘員はたくさんいるんだ。資源や労働力での支援はどうなんだ?」
女王は同意するように頷いて言った。
「ええ、全部手配するわ。今日からここに隊商が来るようになる。それにあなたにも私の街を助けてもらいたいの。余剰分はいい値段で買い取るわ。それに加えて、アルドの元仲間から傭兵を二、三人貸してあげられる。きっと気が合うと思うわ」
「わかった、ありがとう。結婚とかそういうのは……子供たちに任せといていいか?」
シアディンはため息をついて、少しイライラした声で答えた。
「今の若い子たちはぼんやりしてるのよ、背中を押してやらないと。今日か、あなたの都合のいい時に舞踏会を開きましょう。知り合う機会を作らないと」
もちろん、もう小さくもない村で結婚式自体が少ないことを考えれば、彼女の言い分も一理ある。もしかして俺は無意識に娘をやるのが惜しいだけなのか?
俺を見て、今のところこれ以上は何も聞かないと悟った女王は礼を言って立ち去ろうとしたが、ドアのところで俺は彼女を呼び止めた。
「シアディン」
「ん?」
「何かやらかそうと思ったら、気づく間もなく死ぬぞ」
女王の顔に満足げな笑みが浮かんだが、彼女は何も答えずにそのまま去っていった。
まったく、あいつら全員わけがわからん。みんな勝手に何か企んで、こっちはそれに振り回されてリスのように輪の中を走り回る羽目になる。
とにかく、朝の予定が狂っちまった。少しでも計画を立て直さないとな。どうやらウルカストはまだ持ちこたえているようだが、それでもテクガンの連中のところへ行くために人を集めた方がいいだろう。ついでに近隣のギルドがどんな様子か探れる。それは午後にでもやるか。カオスポータルの方は今となっては少し怖気づいているが、まあ、いつもあんな面倒な場所に飛ばされるわけじゃないだろう。試してみる価値はある。それから当然、拠点の方も引き続き様子を見ていくことになるな。
一番直近の予定は――妻たちと子供たちの残りのステータスをチェックして、それからようやくピクニックに出かけることだ。
死すべき者の館に戻った俺は繋がりを開いて、残りのメンバーを確認した。ああ、フロルガがランク4に上がってる。さらに育成できるな。それにエンディスもそろそろアップデートの時期だ。
幸い、二人ともここにいたから、まとめて呼び寄せた。
まずはフロルガから。引き続き癒し手のツリーで育成していく。神官、金貨200枚。
「変換完了。フロルガ、ランクなし兵科モデル――神の使徒――クリスタリット50、クリスタライト100が利用可能」
「オーケー」
そして次は――神の伝令者。クリスタリット75、クリスタライト150。
「変換完了。神性の指輪を受け取ってください。新たな成長ルートが開放されました――フロルガの兵科モデル――アルヴァーの聖女。クリスタリット200、クリスタライト300」
俺を見て興奮した様子の狼娘は、コンバーターから出ようとしていたが、俺が確認の言葉を言うと、その場で待った。全員で処理が終わるのを待ってから、フロルガは新しい指輪を受け取り、興奮で尻尾を床に擦りつけながら、くるりと振り返った。
ドレスは確かにフリフリしてるが、少女の見た目に心地よい体型を引き立てている。デコルテが大胆すぎるし、上半身自体がほとんど水着みたいな見た目だ。リボンで飾られたふんわりしたスカートがなければ、これをドレスと呼ぶのは難しかっただろう。
首には宝石付きの金の装飾品、頭には小さな帽子型の王冠。武器は、見た感じクリスタライト製の、かなり長い刃。
「それで、どんな感じだ?」真っ赤になった狼娘が自分の服を見ている間に、俺は確認することにした。まあ、俺も見てたんだけどな。エンディスがいなかったら、その場で頂いてたところだが、やることがあるんだから、少しは自制しないとな。
「あっ、ニコ、これ、最上級の治癒魔法だと思う。もしかしたら、蘇生までできるかも!」フロルガは興奮して話し始め、喜びと興奮が入り混じった表情で俺を見つめた。
「それってすごいじゃない!」エルフの娘は叫び、フロルガから俺へと視線を移した。「もしあなたがニコを治癒できたり、蘇生さえできるなら……」
フロルガは緊張して唇を噛んだ。もちろん、彼女もそんな力があったら嬉しいだろうが、俺は自分の推測を口にした。
「死すべき者たちの話は、そう単純じゃない気がするんだ。だって、俺の理解が正しければ、もう何人もいたわけだろ? で、ほとんど全員が死んでる。きっと、蘇生させようとしたり、ネクロマンシーで起き上がらせようとしたりしたんじゃないか?」
女の子たちは考え込み、しぶしぶ頷いた。
「充分あり得るわね」
フロルガの耳がしょんぼり垂れ下がったが、俺は慌てて彼女を励ました。
「たとえ他の奴らを蘇生させることになっても、いざって時にお前は俺の命を救ってくれるんだ! それだけで最高じゃないか」
少し落ち着いた狼娘は、微笑みを浮かべた。
「そういや、ここには病人がいるじゃないか。試してみようぜ」と俺は提案し、俺たちは揃ってもう少し下のクリオシタの部屋へ降りて行った。
エルフの娘は、こんな行列を見て少し驚いた様子で、可愛らしく首を傾げ、疑問の眼差しを向けてきた。
「ちょっと横になってもらえるかしら?」とフロルガが優しく言うと、エルフの娘は素直に従い、フロルガはその傍らに腰を下ろした。
クリオシタは目を閉じ、狼娘はゆっくりと白い光を放つ手をエルフ娘の頭上にかざし始めた。ほんの少しの時間、文字通り数分が経過した後、エルフ娘は勢いよく目を開き、微笑んでこう言った。
「わあ、ありがとう! 後でどうやったか教えてくれる? 私のセクシーなもふもふちゃん、ちゅっ! ちゅちゅちゅー、また一緒だね!」
苦笑いを浮かべて、フロルガは急いで距離を取った。
おお、本当に治ったのか? 興味本位で俺は繋がりを開いてみた。情報が表示されるかどうかが答えになるだろう。
「繋がり:市民の統計情報
名前――クリオシタ・リビ・ガウディ
種族――エルフ―天使(インペル/ディッファー/ディッファー)
年齢――21(1450)
役割:ポータル研究者
兵科モデル:テルシア(コントローラー・リストアラー/チャーミング・キラー/カオティック・バーサーカー)
婚姻状況:未婚
派閥:アンジュヘル、アルヴァー」
もう一度フロルガに礼を言って、少女は再び目を閉じた。フロルガとエンディスが部屋を出て、俺ももう出ようとしたその時、天使ちゃんが突然飛び起きて俺の方に突進してきて、俺に飛びつき脚で抱きついた。両手で俺の首に回し、すぐさま唇を重ねてきた。全体的に、今の彼女はリビほど強引じゃないけど、かなり積極的で、すぐに舌を俺の口の中に侵入させようとしてきた。キスに夢中になって、少女はさらに強く俺に押し付けられ、小さな翼をぱたぱたさせている。そうして多分一分くらい経った頃、クリオシタがゆっくりとキスから離れた。
「おお、唾液交換ってすっごく気持ちいい! まさか、ははっ。あの処女の言うこと聞くなよ、ニコ、続けようぜ! わーい、ラブラブだー!」
「ちょっと待て。つまり、お前は結婚する覚悟があるってことか? 俺たち、約束したよな?」
「おお、わかったわかった」
優しく微笑むと、少女は目を閉じて三体の分身に分かれた。
◇◇◇
「現在の残存寿命――51+(210)。能力発動用ボーナス年数:84(84)(係数0.4)(捕虜――34)」




