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第九十九章 再び家へ、そして王家の秘密

急いで振り返ったが、何も見えなかった。いや、正確には「ターニャ」の姿は見えなかったが、接続されたロボットの何体かが動き出したのを感じ取った。ここはさっさと逃げないと、この金属野郎どもに袋叩きにされそうだ。


急いで帰還の石材を回すと、メッセージが表示された。


「敵が近くにいる間は帰還を使用できません」


あるフランスの警部補が言ってたっけな。「俺たちは詰んだ!」


加速と不滅の炎のモデルを起動し、俺は巨大なガラス窓に向かって突っ込んだ。背後でガラスの破片が降り注ぐ音が響き、俺は建物が建っていた丘の斜面を転がり落ちた。


平地に転がり出た瞬間、風の気配を感じた。横で煙が立ち上り、俺はとっさにその方向へ炎を放った。


モデムのような音が鳴り、煙は小さな人影を形作った。以前見た連中と比べると小柄で、俺より頭一つ分低い。女性的なシルエットをしたロボットだ。一見すると未来的なスーツを着た少女に見えるが、無数の接合部を見れば、これが完全な生命体でもなければサイボーグですらない(あるいは内臓が二、三個残ってる程度のサイボーグか)ことは明らかだった。


マットブラックの表面から薄い煙が立ち上り、身体の輪郭がどこまでなのか判別しづらくなっている。肩と「胸部」、それに頭部にわずかに白いパーツが見えた。ちなみに、目があるべき場所には鮮烈な赤を放つディスプレイがあり、後頭部からは黒い「髪」の束が生えていた――いや、髪というより配線に近い。絶えず蠢いている。


煙が黒い部分を完全に覆い、視界を遮ってくる。だが俺はすぐに、数発の強烈な打撃が身体を叩いたのを感じた。グバー装甲がなかったら、普通の鋼ならもうへこんでただろうな。


「コーリャ、水臭いじゃない。あたしたち、こんなに仲良しなのに!」機械音声でそう言ってきた女に、俺は試してみる価値のある手を使うことにした。


「繋がり――市民の統計情報。


名前:ラクターア(シャドウ)・ベスヴィン


種族:デスペランド/ヴィヴァメット


年齢:22(35/10011110101110)


役職:リンブの神官、第3位階


兵科モデル:サイバーゴースト


婚姻状況:独身


派閥:デウスレギオ、アルヴァー」


「殺す」


ロボットの姿が固まった。ディスプレイが点滅し、再び赤く光った。


「転移適用。解析……完了。応答生成……完了。死すべき者、いつになったら来るんだ?」


ボタンはもう反応しない。光っているのは蘇生だけだ。全部放り出して、ロボットが考えている間に俺はテスラ歩兵を起動し、一気に上空へ飛び上がった。石材を回し続けながら。


ヘルメットのセンサーに反応炉エンジンの音が届いたので、俺は推力をさらに上げた。


「推力増加自動ロック!」


「解除!」


「警告! 推力増加自動リミッターを解除しようとしています。続行しますか? はい/いいえ」


「はいだ、くそったれ」


「本当によろしいですか? はい/いいえ」


「は――い!」


スイッチがカチッと音を立て、俺は最大まで押し込んだ。過重負荷で気分が悪くなるのを感じながら。よし、成功だ! 軽い輝きとともに俺は消え、死すべき者の館の屋根裏に現れた。


体調不良はすぐに消えたが、それでも俺は急いで寝台の一つに腰を下ろした。


モデルを切って、俺は袖で汗を拭った。くそったれ実験め、自分で自分に問題を探してるじゃないか。だが、まあ、この走りは勉強になった。


まず第一に、デウスレギオが繋がりを遮断できることがはっきりした。これは今後奴らと対峙する時にも、他の死すべき者と衝突する可能性がある時にも、知っておくべき重要なことだ。王が俺の存在を見逃すとは思えない。それまで奴はここで好き勝手やってたんだからな。


第二に、正確には何が目的だったか分からないが、手の込んだ方法で俺を殺そうとした試み自体が多くを語っている。前回の試練で、少なくともこの大陸にいる全員に俺の存在がバレた。つまり、俺の存在が気に食わない他のハンターどもが現れる可能性もあるってことだ。


考えてみれば、確かに、俺が死にかけてると思い込ませる試みは、俺を本当に殺せたかもしれない。繋がりは思考で制御してるから、もしかしたら脳の活動と何らかの形で結びついてるんだろう。これがなければ、普通のやり方で奴らは俺を何度も何度も殺さなきゃならなかっただろうし、俺の寿命が何年あるかにもよるが、それ以前に俺が逃げ出すことだってできたわけだ。


宗教の話での失敗は、どうやら奴らの内輪のこだわりらしい。ところで、あの女司祭だが……


考えた末、俺は彼女をその場で蘇らせた。もう一度殺すのはいつでもできる。だが、どんな状態で現れるかは分からない。結婚って項目があった以上、どうやって子供を作るんだって色々な考えが頭に浮かんでくるんだが?


下品な妄想を振り払って、俺は立ち上がり階下へ向かった。音を立てずに戻ってきたつもりだ。だからまだ誰も気づいてないだろう。


足音を忍ばせながらリビングに入ると、ケル、ジェシー、ブレン、そして悲しげなセフィーナがいた。どうやら彼女はさっきまで泣いていたらしく、今は腫れぼったい目で座っていた。


そもそも、ここにいる全員が喜んでいるわけでもなく、床に視線を落としたまま座り込んでいた。俺は静かに近づき、肘掛け椅子に腰を下ろして同じように床を見つめた。


「はあ……」ジェシーがため息をついた。


「ああ、まったくな」俺も悲しげに続けて、首を振った。


全員が、それまで誰も座っていなかった方角から聞こえた声に、勢いよく振り返った。


「あなた!」セフィーナが甲高い声を上げて、俺に飛びついてきた。「ああああ! ニコ!」


他の女子たちも彼女に続き、ブレンは満足げに微笑んで部屋を出て行った。


窒息しそうな抱擁の中で死にかけながらも、なんとか抜け出して息を整えた。それから、セフィーナを送り返した後に何があったのかを手短に話した。


黙って俺の話を聞いていた二人は考え込んだ。沈黙を破ったのはジェシーで、羨望の色を滲ませた声でこう言った。


「で、セフィーナ、ニコの家はどうだった? あいつの世界は?」


意気揚々と、猫娘は話し始めた。どうやら自分が「可愛い人の家を訪れた」最初で唯一の存在だと自覚したらしい。


「ああ、とにかく巨大だったわ。石造りの建物がたくさんあって、道路も石で、ほとんど全部が石か金属なの。ちょっと悲しいわね。可哀想な木々があの石の世界で息苦しそうにしてて……」


考え込みながら、俺は各派閥の娘たちがどう受け止めるか想像してみた。もちろん、緑豊かなアルヴァーの世界で育ったセフィーナには、あそこは少し退屈だろう。一方、砂と数カ所の基地以外ろくに自然を見たことがないジェシーなら、驚かないはずだ。ケルの派閥については想像するしかないが、あそこが粘液と胞子だらけじゃないことを祈るばかりだ。


「それに、色んな機械があったわ。テクガンみたいな感じの。でも、軍用の機械は一台も見なかったの。武器を持ってる人もほんの少しだけ。ニコの世界はとっても平和なんだと思う、にゃ!」セフィーナはそう叫んだ後、急に悲しそうな顔になった。「きっと、あっちの方が良かったのよね。こんな問題ばかりの場所より。呼んじゃって悪かったかも……」


「そんなことない!」俺はすぐに言った。これについては既に考えていたからな。「じゃなきゃ、お前たちに会えなかっただろ」


もちろん、それだけが理由じゃないが、この辺にしておこう。それに、俺たちの世界にも戦争が山ほどあって、死んだ奴を蘇らせる術もないから、どんな小競り合いも悲劇に終わるなんてことは、あいつらに知らせる必要はない。


「まあ、ニコ、それって素敵、にゃ!」セフィーナは再び花開いたように明るくなり、ジェシーとケルも満足そうに微笑んだ。


「本当本当! 全然後悔してないから、そんなこと考えないでよ!」


みんなの質問攻めが落ち着くのを待ってから、俺は話題を変えた。


「他には何もなかったか?」


「あ、そうだ、クリオシタがまたガウディと何かやってるぐらいかな」とジェシーが報告した。


ブレンはキューのことを持ち出した。俺は急いで彼女を殺して蘇生させ、狼娘に頼んで彼女を解放してやるよう伝えた。急に閉じ込められて怖がってるかもしれないからな。


他に特に報告がなかったので、俺は上の階へ向かった。どうやらそれほど時間は経っていなかったらしい。あの世界に長時間閉じ込められたんじゃないかと心配してたんだが。


クリオシタを見つけた俺は、またいつもの好奇心全開の質問攻めを覚悟していたので、先手を打ってスティレットのことを訊いてみた。


「おお、ニコ、ずるいぞ! いやあ、見事だったな、あのバカ女の調子を完全に狂わせやがって!」


「まあいいじゃん、後で俺が話すからさ、ほら、白状しろよ」


不機嫌そうな顔を作って、エルフの娘はできるだけ早く俺の話を聞きたいがために急いで話し始めた。要するに、その隠れ家は派閥の境界近く、一番北にあるらしい。ゲフールの村あたりから行けば、遅かれ早かれ見つかるだろう。まあ、どのみち空からなら結構簡単に見つけられるみたいだ。


娘に礼を言ってから、また一つ冒険譚を語り、それから考え始めた。もしそこにシャドマーがいるなら、夜はもちろん危険だ。だが逆に言えば、連中も気が緩むかもしれない。そうなればドラコニドでなぎ払うのも楽になるだろう。


先延ばしにしないと決めて、俺は考えを巡らせた。要するに、徒歩で行くには時間がかかりすぎる。だから本格的に出撃するのは無理だが、まあ、今のところ急ぐ必要もないんだけど……


考えた末、誰を連れて行くのがベストか判断して、俺は下へ降りた。どうやら祝宴も徐々に終わりつつあり、残っているのは最もタフな連中だけだった。周囲を歩き回って、俺はドリームチームを編成した。


ラズをシャドマー対策としてもう一人、ジェシーを運転と、いざという時の潜入作戦と空爆用に。ケルは生存力の高い近接戦闘要員として。この三人がバギーで行く組だ。俺は飛んで行くし、ケイトは自分のバイクで並走する。


素早く準備を整えて他の連中に伝えてから、俺たちはかなりの速さで村まで辿り着き、さらに先へ進んだ。


左手遠くにそびえ立つ血の要塞を通り過ぎると、俺たちはあまり注意を引かないようスピードを落とした。俺は推力を切ってバギーに乗り込んだ。


それから一直線に北へと車を走らせた。遠くには、まるで難攻不落の壁のようにそびえ立つ山々が見えていた。


◇◇◇


「もう、なんでそんなに疑り深いのよ!」シアディンは素早く言った。返事など期待していない。作り笑いは夫には何の効果もなく、アネンクレトゥスは急に立ち上がり、ほとんど王妃を振り払うようにした。


「そろそろ自分が何をしているのか考えた方がいいんじゃないか。調子に乗りすぎだ。お前たちのくだらない血縁関係が俺に何か影響を与えるとでも思っているなら、お前も他の二人と同じくらいの馬鹿だな」王は冷たく言い放ち、妻を見据えた。


「待って、何をするつもりなの!? あなたたちはもう家族でしょう! そんな簡単に全部放り出すなんて!」


生気のない笑い声が響いた後、王は答えた。


「お前のしみったれた街に帰って、そうだな、クリスタリットを一万個持ってくるまで戻ってくるな」


「でも、アン、どうしてそんな……」シアディンは呆気に取られて言い始めた。誰に対してもこんな条件を突きつけたことはなかった。何かが変わったのだろう。こんなにも突き放すような態度を取るなんて。


表情を変えず、王は妻から視線を逸らし、まるで目の前の何かを見つめるように。手で幾つかのジェスチャーをした後、再び王妃へと目を向けた。


シアディンは自分の力が弱まっていくのを感じた。つまり、彼は彼女の繋がりも断ち切ったということか……悔しい言葉を飲み込んで、少女は立ち上がり、薄手のジャケットを羽織ると、自分の部屋から飛び出した。


唇を噛みしめながら、彼女はずっとそこで待っていたニヤついているザラの脇を駆け抜け、隣の廊下の一つへと向かった。


一方、王は部屋を出ると、頭を垂れている狼の少女の元へと近づいた。


「よくやった、いい子だ」アンは、少女の頭を強く撫でながら言い放った。「骨でもくれてやろうか」


そうして終えると、ゆっくりと廊下を歩きながら、使用人たちを見下すように見つめ、王は自分の居室へとたどり着いた。衛兵たちは慌てて扉を開け放つと、遠くへと下がった。もっとも、アネンクレトゥスは彼らに一切注意を払うこともなく、ただ扉を閉め切った。


豪華に調度された部屋をゆっくりと歩き、王は壁にかかった絵画の前に立った。もちろん、例えば掃除中などに好奇心が強い者なら、その裏に窪みがあることを発見できただろうが、その知識には何の意味もなかった。なぜなら、唯一の鍵は王自身しか持っていなかったからだ。首から青い宝石を外すと、アネンクレトゥスはそれを窪みに配置し、微細なレーザー光線が表面を走るのを待った。


静かなシューという音とともに石の壁が横に滑り、その後、力場が解除された。


窪みから宝石を取り戻すと、王は内部へと進み、壁の小さな端末に数字の組み合わせを入力して再び力場を起動させた。


螺旋階段を真っ暗闇の中かなり長い時間下り続けて、王はようやく広々とした洞窟に出た。床には石板が敷き詰められ、整備されている。


床の模様の上に置かれた青いクリスタルに近づくと、王はそれに触れてメニューを呼び出した。球体のホログラムが目の前に浮かび上がる。空中で両手を使ってそれを回転させながら、王は建造物の個別メニューを選択した。


「プロジェクト『昇華』


プロジェクトデータを開きますか?」


丸い記号をクリックすると、アネンクレトゥスは新しいメニューを凝視した。


「本体:6/6


推進システム 3/3


生命維持システム 1/1


冷却システム 0/1


武装システム 2/2」


冷却関係のデータを個別に表示させると、アネンクレトゥスは苛立たしげに片方の拳をもう片方に叩きつけた。


振り返って、薄闇の中でかすかに光る流線型の船体を見上げた。全長百メートルほどはあるだろう。足早に近づいて、小さな金属プレートに手を触れると、左右に開いたハッチの中へと入っていった。


操縦席の方へ進んで椅子に腰を下ろすと、王はホログラムを展開し、「スキャン」のメニューを選んだ。


「座標アルファ――未確認」


「座標ベータ――未確認」


「座標ガンマ――確認作業中。残り時間――63時間」


「座標デルタ――検証が必要。待機中」


記録の下には、軌道軌跡が描かれた惑星が表示されており、その中の一つの大陸が赤く強調されていた。その上空、宇宙空間には、リング状のいくつかの幽霊のようなシルエットが浮かび、そのそばにはクエスチョンマークと、ゆっくりと切り替わる完了パーセンテージの数字が表示されていた。


少し目を細めて、王はホログラムを切り、出口へと向かった。


「三つ目の座標も間違っていたら、あの出来損ないが謁見に間に合ってしまうかもしれん」アネンクレトゥスは静かに独り言を呟きながら、暗い階段へと戻っていった。「そろそろ手を貸すとするか」


自室に戻った王は、金庫を確認し、黄色に輝く神の石材がまだそこにあることを確かめると、首元に通信石のついた指輪を近づけた。


「やあ、アレックス。君にとっておきの提案があるんだ」


◇◇◇


「現在の残存寿命――48+(173)。能力発動用ボーナス年数:69(66)(係数0.4)(捕虜――4)」

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