第9話:国境の狼煙と、共闘の決意
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甘い夜の余韻が一瞬で吹き飛び、ラザード王国の強硬派によるクーデター未遂とも言える国境での軍集結が発覚しました。モナミとミカエルは動じるどころか、阿吽の呼吸で「敵と味方の両方を欺く共闘作戦」を立案します。最強の悪女と暗殺王子が本気を出したとき、邪魔者たちにどんな結末が訪れるのか――緊迫感と爽快感が入り混じる第9話をぜひお楽しみください!
王宮の静寂を切り裂いた伝令の叫び声は、瞬く間に城内を緊張の渦へと引きずり込んだ。
大広間に駆けつけたモナミ・ロンファの表情は、一瞬にして冷徹な「悪女」のそれへと戻っていた。しかし、その瞳の奥には、先ほどまでの甘い余韻ではなく、鋭い政治的闘争心が燃え盛っている。
「詳しく状況を報告しなさい。国境付近の状況はどうなっているの?」
モナミの問いかけに、近衛騎士団長レオンが険しい顔つきで一歩前に出た。
「はっ! ラザード王国軍の強硬派――我が国との即時全面戦争を唱える一派が、独断で国境の要塞周辺に軍を集結させています。奴らの狙いは、ミカエル殿下の婚約破棄、および我が国の武力制圧にあるようです」
レオンの報告を聞きながら、モナミの視線は自然と隣に立つミカエルへと向けられた。
漆黒の軍服に身を包んだミカエルは、すでに私情を完全に断ち切った「暗殺組織の首領」にして「王国の第一王子」の顔に戻っていた。その冷ややかな眼差しには、自分の名を勝手に語って暴走する国内の反乱分子に対する怒りと、冷徹なまでの粛清の意志が宿っている。
「……僕の留守をいいことに、好き勝手やってくれる連中だな。あの愚か者どもは、僕がこの国をも変えるという意志を、まだ理解していなかったらしい」
ミカエルの低く冷たい声に、周囲の騎士たちがわずかに息を呑んだ。
モナミはフッと冷笑を浮かべ、羽根扇を軽く手元で動かす。
「おもしろいわ。私の国を荒らし、挙句の果てには私たちの邪魔をしようというのなら、容赦する必要なんてなくてよ。ミカエル、あなたの国内の『ゴミ掃除』、私の知恵を貸してあげましょうか?」
「ふっ、頼もしいことだ。だが、掃除をするのは君の仕事じゃない。僕の愛する女性を脅かした愚か者どもには、この手で地獄を見せてやるさ」
ミカエルは不敵に笑うと、モナミに向かってきびきびとした指示を出した。
「モナミ、君はロンファ王国の軍と国内の強硬派貴族たちを抑えてくれ。表向きは僕と敵対している姿勢を見せ、奴らの油断を誘うんだ。その間に、僕は影の者たちを使って、ラザード軍の強硬派の首謀者たちを根絶やしにする」
「……ふん、私をただの守られるだけのヒロインだと思ったら大間違いよ。あなたの計画、完璧にサポートしてあげるわ」
二人の間に言葉はなくとも、阿吽の呼吸で戦術が組み上がっていく。
お互いの能力を心の底から信頼し合い、敵と味方の両方を欺くこの作戦こそ、悪女と暗殺王子にしか成し得ない離れ業だった。
「では、出番だね、愛しい悪女殿」
「ええ、派手に散らしてあげましょう、私の邪魔をする愚か者どもを!」
国境の狼煙が上がる中、二人はそれぞれの戦場へと駆け出していくのだった。
第9話「国境の狼煙と、共闘の決意」いかがでしたでしょうか?
甘いラブストーリーから一転、一気に本格的なポリティカル・サスペンス&謀略劇へとギアが入る展開を描いてみました。お互いを守られるだけの存在ではなく、対等な「最高の相棒」として信頼し合っているからこそ成立するこの共闘スタイルは、執筆していて非常に熱くなるポイントです。
いよいよ物語は第1部のクライマックス、強硬派との決着へ向けて大きく動き出します。二人の完璧な作戦の行方は――?次回、第10話もぜひ楽しみにお待ちください!




