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悪女と謳われる王女は、国を滅ぼそうとした暗殺王子の愛に気づかない  作者: 凪塩 未来


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第6話:王宮の激震と、毒舌王女の真意

第6話をお読みいただきありがとうございます!


公開プロポーズの余波で王宮中が大パニックになる中、モナミの元へ懲りずに(そして堂々と)やってくるミカエル。周囲の陰口や反対をよそに、二人の距離がさらに深く縮まっていく心温まるエピソードです。ツンデレな毒舌王女の本音が少しずつ零れ落ちる瞬間を、ぜひお楽しみください!

ロンファ王国の王宮に響き渡ったミカエル王子の公開プロポーズから数日。

王城の廊下やテラス、そして貴族たちのサロンは、その話題一色で持ちきりだった。


「聞いた!? 隣国の第一王子が、あの『悪女』モナミ様に公開であんな愛の告白をするなんて……!」

「正気とは思えないわ。モナミ様が呪術でも使ってあの王子を骨抜きにしたに違いないわよ。だってあの方、普段はあんなに冷酷で毒舌なのに!」

「でも、もし本当にあの二人が結ばれたら、国同士の関係はどうなってしまうのかしら……」


女生たちの嫉妬と驚愕が入り混じった陰口や噂話は、もはや隠される様子もなく城中のあちこちに飛び交っていた。しかし、その当事者であるモナミ・ロンファは、自室の執務室で頭を抱えていた。


(……あの馬鹿王子、本気で何を考えているのかしら! あんな大勢の前であんな大それた真似をして、おかげで私の計画がめちゃくちゃじゃない!)


机に向かうモナミの頬は、いまだにあの時の熱を帯びて赤く染まっていた。

どれだけ冷徹な「悪女」の仮面を被ろうとも、あんな風に真っ向から感情をぶつけられ、公開の場で求婚されてしまっては、周囲の反応を処理しきれない。いつもなら鋭い毒舌で一蹴するところだが、ミカエルの真剣な瞳と、自分の孤独をすべて受け止めると言った言葉が、どうしても頭から離れなかった。


コンコン、と控えめなノックの音とともに、執務室の扉が静かに開いた。

入ってきたのは、モナミの側近であり、数少ない彼女の味方である若き騎士団長レオンだった。彼は複雑な表情を浮かべながら、一枚の書状を机に置いた。


「モナミ様……各所の大臣や老舗貴族たちから、ミカエル殿下の件で抗議の書状が山のように届いています。また、ラザード王国内の強硬派も、この急な縁談に猛反発しているとの情報が……」


レオンの言葉に、モナミはふっとため息をつき、いつもの冷徹な美笑を顔に貼り付けた。

「分かっているわ。私たちが長年対立してきた国同士だもの。一筋縄でいくわけがないわね。……で、父上は何て?」


「国王陛下は……『若者たちの情熱も悪くはない。モナミが納得しているなら反対はせん』と、意外にも面白がっていらっしゃるご様子です」


(父上まで面白がってどうするのよ……!)

モナミは心の中で盛大にツッコミを入れたが、表情には出さない。


「ふん、周囲がどう騒ごうと、私の進むべき道が変わるわけではないわ。あの男の真意がどこにあるのか、もう一度この手で確かめてみせるわよ」


モナミがそう呟いた瞬間、窓の隙間から、まるでタイミングを見計らっていたかのように、例の聞き慣れた軽やかな足音が飛び込んできた。


「おや、僕の噂をしてくれていたのかな、愛しい悪女殿?」


振り返るとそこには、公式使節団の正装を少し崩したミカエルが、悪びれもせず窓枠にもたれかかっていた。相変わらず神出鬼没すぎるその姿に、モナミは呆れたように羽根ペンを机に置いた。


「あなたね……。ここがどこだか分かっているの? 王宮の警備兵を呼びつけて、今度こそあなたを地下牢送りにしてもいいのよ?」


「呼びたいなら呼んでもいいが、その前に君のその可愛い顔を見に来たんだ。あの謁見の間のあと、君がどんな顔をしているか気になって夜も眠れなくてね」


ミカエルはふっと柔らかく微笑み、モナミの目の前まで歩み寄ると、自然な仕草で彼女の髪を一房すくい上げた。その優しすぎる眼差しに、モナミは心臓の跳ねる音を隠すように、わざといつもの棘のある毒舌を放った。


「夜も眠れない? 自業自得だわ。あなたのせいで、城中の愚か者どもが連日大騒ぎして、私の執務仕事が三倍に膨れ上がったのよ。どう責任を取るつもり?」


「責任の取り方なら決まっているさ」

ミカエルは微笑みを変えぬまま、モナミの背後に回り込み、彼女を包み込むようにして机の上の改革案の書類に手を添えた。


「君がこの国のために抱えている重荷も、周囲から向けられる心なき陰口も、すべて僕が半分……いや、僕がすべて引き受ける。だから、もう一人で無理をして『悪女』を演じる必要はないんだよ、モナミ」


ミカエルの低い、しかし確信に満ちた声が、モナミの耳元で優しく響く。

その瞬間、モナミがどれほど長い間、誰にも頼れず一人で戦い続けてきたかという孤独が、スッと雪解けのように消えていくのを感じた。


強がる必要などない。この男の前では、素直な自分でいてもいいのかもしれない。


モナミは震える唇を噛み締めると、ゆっくりと振り返り、ミカエルの胸元にそっと額を預けた。


「……本当に、調子のいい人ね。でも……今回だけは、あなたのその勝手な我が儘に付き合ってあげてもいいわ」


モナミの素直な言葉を聞いたミカエルは、驚いたように目を見張った後、愛おしそうに彼女を強く、しかし優しく抱きしめた。

王宮を揺るがす大スキャンダルの中で、悪女と暗殺王子の絆は、もはや誰にも引き裂けないほど堅いものへと結ばれていくのだった。

第6話「王宮の激震と、毒舌王女の真意」いかがでしたでしょうか?


今回は、モナミが抱える孤独と、それをミカエルが包み込んでいく甘いやり取りを丁寧に描いてみました。いつもは周囲を鋭い毒舌で圧倒しているモナミが、ミカエルの前だけで見せる素直な姿や、少しずつ甘えていく様子は執筆していてとても愛おしいポイントです。


周囲の反対や、ラザード王国の強硬派など、まだまだ乗り越えるべきハードルはたくさん待ち受けています。果たして二人は無事に結ばれることができるのか? 次回も波乱と胸キュンが詰まった展開をお届けしますので、ぜひ楽しみにお待ちください!

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