↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪女と謳われる王女は、国を滅ぼそうとした暗殺王子の愛に気づかない  作者: 凪塩 未来


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/30

シーズン2 第7話:東方からの使者と、海原の思惑

シーズン2第7話「東方からの使者と、海原の思惑」をお読みいただきありがとうございます!


自由都市連合の件が片付いたのも束の間、今度は東方の海域から「オルトリア王国」の使節団が王宮へとやってくる場面を描きました。表面上の「技術提携」という美辞麗句の裏に隠された新たな陰謀と、それをモナミの鋭い知略とミカエルの不敵なサポートで迎え撃つ最強夫婦の姿をぜひお楽しみください!

王宮の特別謁見室。

数日前の自由都市連合の時とは異なり、室内に漂う空気はどこか洗練されていながらも、ぴんと張り詰めた緊張感を孕んでいた。


中央に立つ使節団の代表――オルトリア王国の特命全権大使を名乗る男、レイヴン・フォックスは、海の男特有の日焼けした肌に、精悍な三つ揃いのスーツをまとっていた。彼の胸元には、東方海域の覇者を示す黄金の錨の紋章が輝いている。


レイヴンは深く一礼すると、どこか余裕を含んだ笑みを浮かべて顔を上げた。


「ロンファ王国の王妃殿下、そしてラザード王国のミカエル閣下。東方の海原を治めるオルトリア王国より、我が国王の親書をお持ちいたしました」


玉座に似せた高貴なチェアに座るモナミは、ルビーの髪飾りを揺らしながら、レイヴンを冷徹な瞳で見据えた。


「わざわざ東方の海を越えて、我が国に何の用かしら。我が国の南部鉱区の利権を狙っているなら、先日の自由都市連合の末路を思い出すことね。あなたたちに分け与える鉱石など一グラムたりとも存在しないわ」


モナミの先手を打つ鋭い言葉に、レイヴンは微動だにせず、むしろ面白そうに口角を上げた。


「流石は大陸全土を震え上がらせた『冷酷な悪女』殿、警戒心が強い。ですが、ご安心ください。我が国は自由都市連合のような強欲な商人どもとは違います。私たちが求めているのは、鉱石の略奪ではなく――『対等な技術提携』です」


「技術提携?」


隣に控えていたミカエルが、漆黒の軍服の袖を軽く払いながら、低く冷たい声で問いかけた。琥珀色の瞳には、相手の言葉の裏にある打算を品定めするような殺意めいた光が宿っている。


「そうだ。我がオルトリア王国は独自の魔導造船技術と海運網を持っているが、貴国の誇る高品質な魔導鉱石の安定供給が喉から手が出るほど欲しい。我が国の造船技術と、貴国の鉱石資源を融通し合う。これほど互いに利益をもたらす同盟はないはずだ」


レイヴンの提案は、表面上は非常に合理的で魅力的なものだった。だが、モナミの鋭い政治的勘は、その言葉の裏に隠された別の意図を敏感に察知していた。


(……魔導造船技術と鉱石の融通。一見してWin-Winの同盟だけど、裏を返せば、我が国の鉱石を使って彼らが海上の軍事力を急拡大させようという算段ね。大陸の中央に位置する我が国に対して、海の向こうから新たなプレッシャーをかけるつもり?)


モナミは優雅に微笑みながら、冷ややかに言い放った。


「面白い提案ね。だが、技術の開示範囲や、海上貿易の主導権をどちらが握るかという肝心な細部が一切見えてこないわ。そんな曖昧な言葉だけで、我が国の貴重な鉱石を差し出せと言っているのかしら?」


レイヴンの表情にわずかに焦りの色が浮かんだ。モナミがこれほど早く本質を見抜くとは予想していなかったらしい。


「……流石ですね、王妃殿下。では、正式な条約案を持ち帰って精査していただきましょう。我が使節団はしばらく王都の迎賓館に滞在します。前向きなご検討を期待しておりますよ」


レイヴンは丁寧に一礼すると、部下を引き連れて謁見室を去っていった。

重厚な扉が閉じると、モナミは小さく息をつき、椅子にもたれかかった。


「……ふう。なかなか食えない男ね。あのおとなしい提案の裏には、確実に別の思惑があるわ」


ミカエルはモナミの背後に回り込み、その強張った肩を優しく揉みほぐしながら、冷酷な笑みを浮かべた。


「心配いらないさ。もし彼らが変な企みを持っているなら、今夜のうちに僕の配下の者たちをオルトリアの宿舎に忍び込ませて、すべての裏帳簿や秘密の計画書を洗いざらい奪い取ってこようか?」


「相変わらず手際が良すぎる提案ね……。でも、それじゃあ面白くないわ。まずは彼らのボロが出るのを待ちつつ、こちらも水面下で裏をかいてやりましょう。私たちが主導権を握るのよ、絶対にね」


モナミの瞳に宿る不敵で鮮やかな野心の光を見て、ミカエルは愛おしそうに彼女の髪に口づけをした。

「あぁ、君の望む通りに。東方の使者たちがどんな手を使ってきても、僕たちがすべて叩き潰してあげよう」

シーズン2第7話「東方からの使者と、海原の思惑」いかがでしたでしょうか?


海原の覇者であるオルトリア王国が持ちかけた「技術提携」の裏を瞬時に見抜き、主導権を渡すまいと闘志を燃やすモナミの王妃としての頼もしさが存分に発揮されたエピソードでした。そして、そんな妻の野心的な姿を誰よりも愛おしみ、裏での実力行使をいつでもスタンバイしているミカエルの過保護な溺愛ぶりも健在です。


迎賓館に滞在する使節団の隠された本当の目的とは――?次なる駆け引きが動き出す、シーズン2第8話もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。