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悪女と謳われる王女は、国を滅ぼそうとした暗殺王子の愛に気づかない  作者: 凪塩 未来


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シーズン2 第2話:自由都市の算段と、王妃の冷笑

シーズン2第2話「自由都市の算段と、王妃の冷笑」をお読みいただきありがとうございます!


今回は、ロンファ王国の魔導鉱石の利権を奪おうと企む自由都市連合の特使が、王宮の謁見室へ乗り込んできた場面を描きました。モナミの圧倒的な政治的威圧感と、それを後ろから完璧にサポートしつつ容赦なく牙を剥くミカエルの最強タッグが織りなす、スカッとする政治的駆け引きの行方をぜひお楽しみください!

午後の陽光がステンドグラスを通り抜け、ロンファ王国の広間を金色に染め上げていた。

謁見室の中央に立っていたのは、自由都市連合から派遣された特使――名をガルト・ヴェーバーという、肥え太った腹と打算に満ちた小賢しい目を隠そうともしない男だった。


ガルトはこれ見よがしにふくよかな体を揺らし、特権階級特有の傲慢な笑みを浮かべながら一礼した。


「モナミ王妃殿下、そしてラザード王国のミカエル閣下。本日は、我が自由都市連合との今後の交易協定について、重要なお話があって参上いたしました」


モナミは玉座に似せた高貴なチェアに深く腰掛け、ルビーの髪飾りを揺らしながら冷ややかに見下ろした。その視線は、ガルトの心の内にある浅ましい計算をすべて見透かしている。


「ほう、『重要なお話』ね。わざわざ国境を越えてやってきたのですから、さぞ我が国に利益をもたらす素晴らしい提案を用意しているのでしょうね?」


モナミの低く通る声には、相手を圧倒する冷徹な威圧感が満ちていた。ガルトはわずかに冷や汗をかきながらも、強欲な笑みを崩さずに言葉を続けた。


「はっ。我が連合は、貴国が保有する南部鉱区の魔導鉱石の採掘権の『半分』を、我が方に譲渡していただきたいのです。もちろん、それ相応の仲介手数料は支払います。貴国としても、管理しきれない遠方の鉱山を手放すのは悪くない話かと……」


謁見室の空気が一瞬で凍りついた。

それは「交渉」ではなく、一方的な略奪の要求だった。背後に控える近衛兵たちの顔色が怒りで険しくなる中、モナミはふっと冷ややかな鼻息をもらした。


「……管理しきれない、ねぇ」


モナミはゆっくりと立ち上がり、ドレスの裾を揺らしながらガルトへと歩み寄った。その圧倒的な美しさと底知れない圧迫感に、ガルトは一歩、また一歩と後じさりを余儀なくされた。


「我が国の南部鉱区は、大陸全体の魔導エネルギーの心臓部。その半分を、どこの馬の骨とも分からぬ自由都市の商人風情が、二束三文の仲介手数料で買い叩こうなどと……よくその口でそんな下劣な言葉が吐けたものだわ」


「なっ……! 王妃殿下、これは経済合理性に基づく……!」


「経済合理性?」


モナミの隣に、音もなくミカエルがすべり出た。

漆黒の軍服を纏った暗殺王子の琥珀色の瞳には、冷酷なまでの殺意と、妻を侮辱されたことへの容赦ない怒りが宿っていた。ミカエルがわずかに指先を動かしただけで、ガルトの首筋に冷たい死の気配が這い上がった。


「君たち自由都市連合の商人どもが、裏で我が国の旧貴族残党と手を組み、密貿易のルートを確保しようとしていた証拠は、すでにすべて我が方の手元にある。……商売の交渉に来たのではなく、自ら処刑台の列に並びに来たの間違いじゃないのかい?」


ミカエルの低く囁くような声に、ガルトは耐えきれずその場に膝をついた。顔面は真っ青になり、過呼吸のように肩を大きく揺らしている。


モナミは冷ややかな瞳で、地面に這いつくばる男を見下ろした。


「命まで取ろうとは言わないわ。ですが、今後我が国の領土に足を踏み入れること、そして自由都市連合での貴方の商会がどうなるか……よく考えてから返答することね。お引き取りなさい」


ガルトは青ざめた顔で這うようにして謁見室から逃げ出していく。

静けさが戻った部屋の中で、モナミはふっと小さく息をつき、隣に立つミカエルの腕にそっと手を添えた。


「やれやれ、最初から最後まで退屈な虫けらだったわね」


「あぁ、でも君の冷徹な政治的制裁、相変わらず最高に見惚れてしまったよ」


ミカエルは微笑みながら、モナミの細い手を優しく包み込み、その指先にそっと口づけを落とすのだった。

シーズン2第2話「自由都市の算段と、王妃の冷笑」いかがでしたでしょうか?


強欲な特使の浅ましい計算を、モナミが冷徹な言葉と気高さで完膚なきまでに叩き潰し、さらにミカエルの圧倒的な殺気で追い詰めるという、まさにこの夫婦ならではのコンビネーションが存分に発揮されたエピソードでした。ビジネスの交渉の場を、一瞬にして冷酷な制裁の場に変えてしまう二人の圧倒的な存在感を楽しんでいただけたなら幸いです。


逃げ帰った商人たちの裏で、旧貴族残党との繋がりというさらなる火種を抱えた自由都市連合。この一件の裏に隠された、さらに大きな陰謀の影とは――?次回、シーズン2第3話もお楽しみに!

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