外伝 第2話:潜入捜査の甘い罠
外伝第2話「潜入捜査の甘い罠」をお読みいただきありがとうございます!
今回は本編の緊張感ある調査シーンから一転して、王宮の地下アーカイブ室という密室を舞台にした二人のスリリングで甘い駆け引きを描きました。危険な任務の最中であってもモナミを翻弄し、自分だけの特別な時間に変えてしまうミカエルの過保護な執着と、それに少し照れながらも絆されていくモナミのキュートなやり取りをぜひお楽しみください!
ロンファ王国の王宮地下、かつて歴代国王の秘密文書や危険な魔道具が保管されていた薄暗いアーカイブ室。
重く閉ざされた鉄の扉の向こう側で、二人の人影がひそひそと声を交わしていた。
「……ねえ、ミカエル。本当にこの地下室に、例の裏社会の残党が隠したという『旧王家の機密文書』があるの?」
冷やりとした石造りの通路を進みながら、モナミ・ロンファは漆黒のドレスの裾を持ち上げ、警戒した足取りで周囲を見回した。
今回は公式の調査ではなく、宮廷の裏でくすぶっていた小さな火種を完全に消し去るための「極秘の潜入捜査」だった。
先頭を歩いていたミカエルは、周囲の気配を完璧に殺した足音で立ち止まると、振り返ってふっと不敵な笑みを浮かべた。
「あぁ、間違いない。ラザード王国の情報網と、僕の直感がそう告げている。……もっとも、そんな難しい話は今日のメイン目的じゃないけれどね」
「……どういう意味よ」
モナミが怪訝そうに目を細めた瞬間、ミカエルは素早い身のこなしで彼女の腕を引いた。
次の瞬間、モナミの背中が冷たい石壁にふわりと押し当てられ、ミカエルの長身が彼女の逃げ道を完全に塞ぐ形となった。
薄暗い空間の中で、二人の距離は息がかかるほどに近かった。
「っ……! あなた、何をしているのよ! ここは王宮の地下通路よ? いつ近衛騎士団のパトロールが来るか分からないというのに……!」
モナミは顔をわずかに赤らめながら、冷徹な悪女の仮面などどこかへ吹き飛んだ慌てた声で抗議した。しかし、ミカエルの琥珀色の瞳には、ふざけている色ではなく、ひそやかな熱情が揺らめいていた。
「だからこそさ。誰にも邪魔されない、僕たちだけの秘密の空間だ。……知っているかい、モナミ。君がこうして僕と一緒に黒いドレスを着て、危険な潜入任務に同行してくれる姿……昔の僕たちからは想像もつかなかったけれど、今の僕にとっては最高にご褒美のシチュエーションなんだよ」
ミカエルの低い声が、狭い空間に甘く響く。
モナミは胸の鼓動が高鳴るのを必死に抑えながら、いつもの毒舌で彼の胸を軽く押し返そうとした。
「……変態的なことを言わないでちょうだい。私たちは遊びでここにいるわけじゃないのよ。早く目的の文書を見つけて、さっさと部屋に戻るわよ」
「そうだね。じゃあ、早く見つけて、そのあとは二人きりの甘い時間をたっぷり楽しむとしよう」
ミカエルは悪戯っぽく微笑むと、モナミの額に優しく口づけを落とした。
その温もりに、モナミは思わず小さくため息をつきながらも、彼の背中にそっと腕を回した。
地下室の冷たい空気など忘れてしまうほど、二人の間には甘く熱い空気が満ち満ちていたのだった。
外伝第2話「潜入捜査の甘い罠」いかがでしたでしょうか?
冷たい石壁に追い詰められる「壁ドン」という王道かつ危険なシチュエーションの中、いつもの冷静な悪女の仮面がスルリと剥がれてしまうモナミの人間らしい可愛らしさが、執筆していてとてもお気に入りのポイントです。不穏な空気や裏社会の残党の気配さえも、最強カップルにとってはただの二人の距離を縮めるスパイスになってしまうという、最高に甘々な空間をお届けできたなら嬉しいです。
静かな地下を後にした二人を待ち受ける、次の日常のエピソードとは……?次回、第3話もお楽しみに!




