第16話:星空の戴冠式と、永遠の契り
第16話(最終話)をお読みいただきありがとうございます!
ついに「悪女と謳われる王女は、国を滅ぼそうとした暗殺王子の愛に気づかない」は完結を迎えます。冷たい政略結婚と敵対から始まった二人が、数々の謀略と障害を共に乗り越え、満天の星空の下で永遠の愛を誓い合う感動の最終回。最強のパワーカップルが歩み出す新しい未来の始まりを、ぜひ心ゆくまでお楽しみください!
すべての政治的謀略が打ち砕かれ、敵対する強硬派の残党が一掃されたラザード王国。その王宮の最も高い場所にある見晴らしの良いテラスに、二人の姿があった。
夜空には満天の星が広がり、眼下には穏やかな光を放つ二つの国の街並みがどこまでも続いている。
冷たい夜風が吹き抜ける中、純白のドレスに身を包んだモナミ・ロンファは、隣に立つミカエルの手を見つめていた。
「まさか、本当にすべての障害が綺麗になくなってしまうなんてね」
モナミがふっと小さく呟くと、漆黒の軍服を纏ったミカエルは優しく微笑み、彼女の手をそっと自分の大きな手に包み込んだ。その琥珀色の瞳には、冷酷な暗殺組織の首領としての色はなく、ただ一人の愛する女性に向けられた底知れない愛着と熱情だけが宿っている。
「当然の結果さ。君を脅かすもの、僕たちの未来を邪魔するもの――この世界から不要なものはすべて、僕が綺麗に掃除したからね」
ミカエルはそう言うと、胸元から一際美しく輝く小さな小箱を取り出し、それを丁寧に開けた。中に入っていたのは、夜空の星をそのまま切り取ったかのような、二つの国を結ぶ純白の宝石があしらわれた美しい指輪だった。
「……モナミ。出会った頃の僕たちは、互いに利用し合うだけの敵対関係だった。君は僕を『国を滅ぼす暗殺王子』と警戒し、僕は君を『冷酷な悪女』だと思っていた」
ミカエルは真っ直ぐにモナミの目を見つめ、静かに、しかし力強い声で続けた。
「だけど、いつしか君のその強さと気高さに惹かれ、君の隣に立つことが僕の唯一の居場所になった。……世界中が僕たちをどう呼ぼうと構わない。この国の王妃として、そして僕の生涯唯一の伴侶として、永遠に僕の隣にいてくれないか」
モナミの胸の奥が、熱い感情で激しく揺さぶられた。
かつて孤独の中で「悪女」の仮面を被り、誰も信じずに一人で戦い続けていた彼女にとって、この男の言葉は世界で何よりも温かく、確かな救いだった。
モナミはふっと柔らかく、これまでにないほど愛しい笑みを浮かべると、自らの左手をそっと差し出した。
「……本当に、回りくどいプロポーズね。あなたがそんな風に私を独り占めしたがるなら、仕合わせなことだけど」
モナミが言葉を紡ぐと同時に、ミカエルはその指にゆっくりと指輪を通した。冷たい金属が肌に触れた瞬間、温かな体温が心地よく広がっていく。
「私を『悪女』と呼ぶ世界がどうなろうと知ったことではないわ。あなたが『闇の王』として生きるというなら、私はその隣で、世界で最も誇り高き女王を演じてみせましょう。……一生、私を逃がさない覚悟をしなさい、ミカエル」
「あぁ、誓おう。永遠に君を愛し、君のすべてを守り抜くことを」
ミカエルはモナミを引き寄せ、満天の星空の下でその唇に優しく口づけを落とした。
それは二つの国の和平を越え、二人の魂が完全に一つになった瞬間だった。
悪女と謳われた王女と、国を滅ぼそうとした暗殺王子。
恐れられた二人は今、誰よりも強い愛と絆を纏いながら、二人だけの新しい未来へと歩み出すのだった。
第16話「星空の戴冠式と、永遠の契り」――そして、本編の完結までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!
最初は「冷徹な悪女」と「危険な暗殺王子」という、お互いに警戒し合いながら利害の一致で結ばれた二人でしたが、いつの間にかお互いにとってなくてはならない存在になり、世界中を敵に回してでも守り抜く最強のパートナーへと成長していきました。モナミの誇り高き強さと毒舌、そしてミカエルの揺るぎない溺愛のバランスを楽しんでいただけたなら、作者としてこれ以上の喜びはありません。
二人の物語はここで一度幕を閉じますが、彼らが治める国と、甘く激しい日常はこれからもずっと続いていきます。長きにわたる応援、本当にありがとうございました!




