第11話:嵐の後の、甘やかな蜜月
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国境の騒乱が綺麗に片付いたあと、ついに訪れた平和な日常と、二人きりのプライベートサロンでの甘い蜜月を描いたエピソードです。完璧に仕事をこなしたモナミが、ミカエルの前でだけ見せる素直な甘えと、溺愛全開のミカエルのやり取りをぜひたっぷりとお楽しみください!
国境でのクーデター未遂および強硬派の粛清劇から数日。
両国を揺るがした緊迫の空気は嘘のように霧散し、ロンファ王国およびラザード王国内は、驚くほど穏やかな平和ムードに包まれていた。表向きは敵対国の王子と悪女の政略結婚というスキャンダルでありながら、結果として両国の和平交渉はかつてないスピードで進展を見せている。
王宮の奥まった場所にある、モナミ・ロンファ専用のプライベートサロン。
午後ティーの香りが漂う優雅な部屋の中で、モナミはソファーに腰掛け、山積みにされていた書類の最後の一枚をパタンと閉じた。
(ふう……これで、国内の貴族たちからの面倒な抗議書状もすべて処理し終えたわね)
一連の政治的騒乱の片付けを一手に引き受け、完璧にこなしたモナミは、ほっと小さな息を吐いた。普段の冷徹な「悪女」の仮面を外し、一人きりになった執務室で紅茶を口に運ぼうとした、その時――。
コンコン、と軽やかなノックの音が響くのを待たずして、窓枠がスライドして開いた。
「おや、愛しい悪女殿は今日も美しく、そして仕事熱心だね」
「っ……! あなた、何度言ったら正面の扉から入るのよ!」
モナミが思わず声を荒らげると、そこにはいつもの漆黒の軍服をラフに着崩したミカエルが、ふわりと優雅に部屋へと降り立っていた。その顔には、ふざけた笑みではなく、どこか甘えたような、しかし圧倒的に深い愛着の色が浮かんでいる。
「正面から入ると、あの堅物な近衛騎士団長が色々とうるさいからね。それに、君の顔が今すぐ見たかったんだ」
ミカエルは自然な足取りでモナミの隣へと歩み寄り、ソファーの背もたれに手をかけると、そのまま彼女を包み込むようにして隣に腰掛けた。
拒絶する間もなく、ミカエルはモナミの細い肩を引き寄せ、自分の胸元へと優しく引き寄せる。
「ちょっと、ミカエル! まだ書類の整理が……」
「もうしなくていい。君がどれほど頑張ったか、この僕が一番よく知っている。……本当によくやってくれたね、モナミ」
ミカエルの低く優しい声が、耳元で心地よく響く。
その瞬間、モナミの体から緊張の糸がスッとほどけていった。これまで誰にも頼れず、すべてを一人で背負い込み、周囲からは「悪女」と蔑まれながらも歯を食いしばってきた彼女にとって、この男の腕の中だけが、世界で唯一の安らぎの場所になっていた。
モナミは小さく唇を尖らせながらも、結局その広い胸にそっと額を預けた。
「……当たり前よ。私の邪魔をする愚か者どもを一掃したのはいいけれど、そのせいで私の仕事量が倍増したんだからね。すべてあなたのせいなのだから、しっかり責任を取りなさいよ」
「ああ、喜んで一生かけて償わせてもらうさ」
ミカエルは愛おしそうに微笑むと、モナミの柔らかな髪にそっと口づけを落とした。
外の世界では「悪女と暗殺王子」として畏怖され、数々の政治的謀略の中心にいる二人だったが、この小さなサロンの中では、ただお互いを深く求め合う一組の恋人同士にすぎなかった。
静かな午後の光の中で、二人の甘やかな蜜月は、誰にも邪魔されることなく静かに溶け合っていくのだった。
第11話「嵐の後の、甘やかな蜜月」いかがでしたでしょうか?
これまでの政治的緊張や裏社会の粛清といったシリアスな展開から一転して、今回は徹底的に甘々でリラックスした空気感を意識して執筆してみました。いつもは強気で毒舌を貫いているモナミが、ミカエルの腕の中ではすっかり骨抜きにされているギャップが、書いていてとても微笑ましいポイントです。
平和を取り戻した二人の関係はここからさらに深まっていきますが、周囲の貴族たちや宮廷内では、そろそろ次の「大きなイベント」の噂が持ち上がり始め……?次回も胸キュン必至のエピソードをお届けしますので、ぜひお楽しみに!




