第12話:波乱の茶会と、王妃候補の洗礼
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平和が訪れたのも束の間、今度は社交界のティーパーティを舞台に、貴族の令嬢たちによるモナミへの嫌がらせ(王妃候補の洗礼)が勃発します。昔の孤独なトゲを脱ぎ捨てたモナミの余裕の対応と、そこへタイミング良く駆けつける溺愛全開のミカエルによる華麗な(?)撃退劇を、ぜひたっぷりとお楽しみください!
ロンファ王国の王宮で平和な蜜月の日々を過ごしていたモナミ・ロンファだったが、世間や貴族社会がそう簡単に「悪女と暗殺王子」の平穏を許すはずもなかった。
その日の午後、王宮のローズガーデンで開催された社交界のティーパーティ。色とりどりのドレスに身を包んだ貴族の婦人や令嬢たちが集まる華やかな空間に、純白と黒を基調としたドレスを纏ったモナミが足を踏み入れた瞬間、周囲の空気がピリと凍りついた。
(……やれやれ、相変わらず歓迎されていないことね)
モナミは心の中で小さく息をつき、完璧なまでの「冷酷な悪女」の笑みを顔に貼り付けた。周囲からは、「あのモナミ様がラザード王国の第一王子をたぶらかした」「いくら国のためとはいえ、あんな恐ろしい女が隣国の王妃になるなんて信じられない」といった露骨な陰口がひそひそと囁かれている。
そこに、普段からモナミに敵対心を燃やしている伯爵家の令嬢マリアが、わざとらしい優雅な笑みを浮かべて近づいてきた。
「あら、モナミ様。ご機嫌いかが? 最近、隣国のミカエル殿下にすっかりお熱だと伺いましたけれど……まさか、あなたのような冷徹で誰からも愛されない『悪女』が、本当に王妃の座にふさわしいと本気で思っていらっしゃるのかしら?」
マリアの意図的な挑発に、周囲の令嬢たちは面白がるような視線を向けて一斉に息を呑んだ。かつてのモナミであれば、これ以上の辛辣な毒舌で相手を完膚なきまでに論破し、その場で泣き崩れさせていただろう。
しかし、今のモナミの心には、以前のような孤独なトゲはなかった。ミカエルにもらった深い愛と絶対的な安心感が、彼女の心を穏やかに満たしていたからだ。
モナミは冷ややかに目を細めると、扇子で口元を隠しながら、ふっと余裕の笑みをこぼした。
「ふん……私を誰だと思っているのかしら、マリア。他人の恋路や噂話に夢中になっている暇があるなら、ご自分のすり減った知性とマナーをもう少し磨いてきたらどう? ……それに、私が王妃にふさわしいかどうかは、他でもないミカエル殿下が決めることよ。あなたのような小物に心配される筋合いは一切ないわ」
その洗練された冷徹さと、どこか余裕を感じさせる物言いに、マリアは顔を真っ赤にして悔しそうに歯噛みした。反論しようと口を開きかけたその時――。
「――おや、楽しそうな会話をしているね。僕の愛しい君に、何か失礼な真似をしている輩でもいたかい?」
ローズガーデンの入り口から、冷ややかな気高さを纏った漆黒の軍服姿のミカエルが、音もなく現れた。
周囲の貴族たちは、敵国の第一王子であり、恐るべき秘密組織の首領でもある男の突然の登場に、一斉に青ざめて息を呑んだ。
マリアは恐怖で足腰をガクガクさせ、「ひっ……!」と悲鳴を上げると、そのままその場から逃げ出すように走り去っていった。
ミカエルは周囲の視線などまるで気にせず、モナミの元へまっすぐ歩み寄ると、その細い腰に自然に手を回し、優しく引き寄せた。
「まったく、目を離すとすぐに虫けらどもが寄ってくる。大丈夫かい、モナミ?」
「……誰が虫けらよ。私一人でも十分に追い払えたわよ、ミカエル」
口ではそう言いながらも、モナミの頬はほんのりと赤く染まっていた。
周囲の貴族たちは、冷酷な悪女と恐れられたモナミが、隣国の王子に溺愛され、素直に甘えているその光景をただ呆然と見つめるしかなかった。
悪女と謳われた王女の周りで巻き起こる社交界の洗礼すらも、二人の揺るぎない絆の前には、ただの甘いスパイスにすぎないのであった。
第12話「波乱の茶会と、王妃候補の洗礼」いかがでしたでしょうか?
今回は、モナミの成長とメンタルの変化を描いてみました。以前ならトゲトゲの毒舌で完全武装していた場面でも、ミカエルという絶対的な味方と深い愛を得たことで、どこか大人の余裕を持って華麗にあしらえるようになっているのがポイントです。そして、やっぱりピンチ(?)には必ず駆けつけてしまう過保護なミカエルも含めて、二人のラブラブな日常を楽しんでいただけたなら幸いです。
周囲の嫉妬や嫌がらせすらも跳ね飛ばす最強カップルですが、次はいよいよ二人の将来に向けた、さらなる重大なイベントが動き出します……?次回も胸キュンと笑いが詰まったエピソードをお届けしますので、どうぞお楽しみに!




