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猫と横浜  作者: のらしろ
第一部 猫に引っかかれて明冶にまいる …

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第23話 必須の電源



 しばらく、壊れた電球と格闘していると、どこからともなくまたあの猫が書斎に入ってきた。

 書斎の扉はしまっているから、常識的には窓からの侵入になるが、怪しいものだ。


 まあ、俺は令和から明治いや明冶に転移したくらいだから、あの猫は扉をすり抜ける、いやこの部屋にいきなり転移するくらいはしても驚きはしない。

 その猫は俺のすることをじっと見ている。


 俺のしている作業は、この猫のお眼鏡にかなったのかな。

 もし、猫の希望というのもおかしな話だが、俺をこの世界に送り込んだ意思と反する行為ならば猫は邪魔してくるのだろうが、それをしていないところから、どうやら問題は無さそうだ。


 なので、部屋に入ってきた猫を無視して、作業を続けた。

 流石に何時までもあの猫にかまってはいられない。

 気を許すと、どこまでもモフる気がしてならないのだ。

 一種の麻薬だな、猫というのは。


 俺は気を取り直して、作業に集中する。

 電球を壊したので、電球用のソケットを壊すこと無く、電気を取り出せそうだが、あいにく部品が足りない。


 考えた挙げ句、危険だが直接ケーブルを家電類のプラグに繋いでみることにした。

 幸い、充電用のUSBは複数あったので、そのうちで一番安そうなものに裸に剥いた電線を巻き付け、壊した電球の方には半田で繋いで、一応の仕組みはできた。


 テスターで、通電確認後にソケットに電球改を繋いでみてUSB電源を使ってみたら、充電はできそうだ。

 一旦、そのままにはできないので、電球改をソケットから外して、工具類を片付けた。


 気がつくと、書斎から猫はいなくなっていた。

 まあ、猫は気まぐれと言われるだけあって、行動が読みにくいから、気にしないで作業を続けた。


 片付けが終わる頃になって、二人は屋敷に戻ってきた。

 坂を降りるだけでも時間がかかるのに買い物までしているはずだから一時間以上は経ってしまったようだ。


 二人に簡単な昼食の準備をしてもらい、三人で昼食を取った。

 その後は、仲良く治療ごっこの続きだ。

 今日は、治療室で治療を行うので、俺は書斎から成り切りセットを使って白衣と聴診器を持って治療室に降りていった。


 治療室では、二人とも立ったままで俺のことを待ってた。

 俺はすぐに二人に服を脱ぐように命じた。

 二人を全裸にして、治療ベッドに座らせていつものようにバイタルチェックを行った後に聴診器で、胸のあたりを弄ぶ……もう、セクハラの域を超えているな。


 その後に、携帯のカメラを使って患部の撮影をしてから、じっくりと観察する。

 明日香さんには病気の痕跡が見当たらない。

 だが、流石に昨日今日ではイルサさんが治るはずもなく、しかし、昨日見つけた痕跡は心做しか小さくなっているようだ。


 俺は、患部から膿のようなものを採取して、用意してあるシャーレに移した。

 後で培養でもするつもりだ。


 100ボルトの件も重要だが、俺はとりあえずペニシリンを作って梅毒治療を成功させないといけないはずなので、梅毒菌の培養の方がより大切のはずだったが、培地の準備すらまだしていないことにこの時に気がついた。


 まあ、イルサさんは今日明日では治らないだろうから、どうにかなるとは思うが、とにかく治療の後はすぐに培地の準備にかかろう。


 イルサさんには患部に軟膏を付け、治療を終える。

 明日香さんにおいては患部の確認とマッサージというなのセクハラ……もう良いか。

 それを済ませて、治療を終えた。


 その後、先の買い物で買ってきた寒天を溶かしてシャーレの中に入れて培地もどきを作り、先にイルサさんから取り出して膿の一部をそこに移す。

 今はこれだけ済ませて、ここでの生活基盤の整備にかかる。


 イルサさんの引越の手伝いを明日香さんにしてもらい、今日からここで生活をしてもらう。

 イルサさんの今まで住んでいた所は彼女から聞く限りお世辞にも問題ないとは言えないような場所だったらしい。


 そういう意味では明日香さんのほうが恵まれていた。

 娼妓楼での生活だが、客商売をしているだけあって、この時代の基準から見ても清潔な場所のようだ。


 だが、イルサさんはいきなり放り出された事もあって、始めはホテルや宿屋などを使っていたようなのだが、お金がかかることもあり。部屋を借りていたと話してくれた。


 だが、いくら日本語が話せる外人だとしても、まだこの時代ではまともな借家など借りられるはずはなく、裏稼業の伝などを通して借りた借家は貧民とまでは行かなくとも、俺の基準ではダメなものなので、すぐにでもそこを引き上げさせた。


 せっかく病気の治療を始めたのに、梅毒が治っても別な病気を貰ってはたまらない。

 それにこの屋敷は十分に広く、さらには離れすらあるのだ。


 後10人はここに住まわせても、問題ないくらいだし、何より今の俺には人手が足りない。

 そういうこともあり、イルサさん位は今日からここで生活してもらうことにした。


 流石に、イルサさん一人をここで夜一人にはできないので、今日から明日香さんにもお泊りをしてもらうように頼んだ。

 俺は、ホテルに前金を払っているので、俺は今日もホテルに戻る。


 二人も、ここには猫もいることで喜んで世話をしながら泊まると俺の提案を受け入れてくれた。


 あの猫は麻薬にもなるが、万能だな。

 そのうち、この時代でも猫カフェでもやるか……流石にわざわざお金を出して猫を触りに来る客がいるとは思えないので、その考えはすぐに却下した。


 夕食について、どうするかを尋ねると、自分たちで作るから大丈夫だと言っていた。

 ついでに俺の分をどうするかを聞いてきたので、俺はホテルで食べるので構わないとだけ言い残して夕方の関内に向かって屋敷を後にした。


 日没はとっくに過ぎてもしばらくはまだ明るいが、それですら怪しくなる頃に俺はホテルに付いた。

 あたりは完全に暗くなってきており、ホテルのラウンジあたりには、イルサさんや明日香さんの同業者が、ご出勤し始めている。


 一人くらいは相手をお願いしたくはあったが、二人の病気を知る俺にとってここでの買い物はあまりにハードルが高く、諦めて食堂で久しぶりのひとり飯を食べた。


 そういえば、俺はこの時代に転生してから、ひとり飯はこの地に着いたその日を含め二日くらいしかしておらず、それこそ令和日本時代よりは恵まれた食事風景だったと、この時に俺の惨めな令和日本時代の境遇について考えさせられた。


 食事後に部屋に戻り、この後について考えた。

 今日、問題だった充電についての件に決着が着いたこともあり、今まで明日香さんがいたこともあるが、それ以上に電源が切れることを恐れてあまり使わなかったPCを使って色々と調べてみた。



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