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猫と横浜  作者: のらしろ
第一部 猫に引っかかれて明冶にまいる …

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22/75

第22話 猫~~



「この猫、一様が飼っていられるのですか」


「いや、そうではないが、前に保護したんだよ。

 それが、気がついたらいなくなっていたのだが、しばらくここで保護しようと思う」


「え、飼って良いのですか」


「この猫の持ち主がわかるまでだが。

 多分、どこか良い家で飼われていたんじゃないのかな」


「そうですわよね。

 やたら人馴れしていますしね」


「しかし、どうしてまた俺の前にいるかはわからない。

 今までどこにいたのかな」


 猫を飼うとなると水やり一つで困る。

 俺は買ったばかりで、昨日煮沸消毒を済ませたシャーレを一つ猫のために開放することを決めた。


 そういえば、食器類はまだ買っていなかったから、今度買い物ついでに猫用にも色々と買い足しでもしておくか。

 しばらくはあるもので間に合わせよう。


「これに水を入れて猫にあげよう」


「それは良いお考えで」


 皆は早速猫のために色々と世話をし始めた。

 まあ、ここの掃除も昨日からしているので、今のところほとんどやることもなかったようで、二人はいそいそと猫の世話を始めた。


 それにしても不思議な話だ。

 この時代に飛ばされるきっかけになったとも思えるのだが、この横浜で新たな生活を始めようかとしたら、いなくなったはずの猫がもう一度俺の前に現れるなんて、どう考えても恣意的なものを感じる。


 この屋敷にあの猫が現れたということは、ここで俺に何かをさせようとする意思が働いていると考えられる。

 う~む、こんな感じで推論していく姿はハードボイルドっぽくはあるが、いや、推理小説風か、どちらにしてもカッコが良いはずなのだが、どうしてもそうは思えない。


 猫が関与する推論というのも物語ではあっても不思議のないものだが、時代を遡っての転移なんか、ハードボイルドや推理小説というよりもラノベ定番にしか思えない。

 俺のことをかわいがってくれた第二文芸部の先輩の専門分野になる。

 まあ、その御蔭で、すぐにまとまった時間をホテルで過ごすといったヒントを思い出せたのだが、それにしてもこの先なにかがあるようには思われる。


 どちらにしても、あの猫は大事なキーになるはずなのだが、俺がこの時代にいきなり送られたときに姿をくらましたことも考えると、何時いなくなっても不思議はないが、今のところはあの毛並みの良い猫をモフって精神を落ち着かせよう。

 今のところそれくらいしかあの猫には使い勝手がわからない。


 まだ昼には時間はあるが、そろそろここでの自炊も考えないといけないし、自炊するための準備も整ってきた。

 幸い、二人も掃除するのにも一段落が着いたようなので、二人にお金を渡してお使いを頼んだ。


「早速で悪いが、お使いを頼めるかな」


「お使いですか」


「ああ、そろそろここで自炊したいので、まずは昼の準備だが、材料ともし、ここで足りないものがあればそれも合わせて買ってきてほしい。

 だから、二人で行ってきてほしい。

 荷物が増えても困るし、何より二人の生活基盤を合わせる意味もある。

 これから、度々二人にお使いなど、仕事を頼むな」


 二人を買い物に出してから、俺は先の猫について考えている。

 しばらくシャーレで水を飲んでいた猫が水飲みに飽きたのか俺に近づいてきたので、俺は猫を抱き上げてしばらくモフタイムを堪能した。


 猫をモフリながら先の続きじゃないが、俺が飛ばされた理由や、その先での使命などを考えているが、何も思いつかない。

 どう考えてもハードボイルドっぽく無いし、絶対第二文芸部の扱うラノベの範疇で、俺はほとんどそれらを読んだことがない。


 唯一俺をかわいがってくれた第二文芸部の先輩との飲み屋での会話だけが頼りだが、あの先輩の専門は異世界ものばかりで時代転生モノはあまり聞いたことがない。


 堂々巡りの末に俺の膝から猫が逃げていったことで、非生産的な考えをやめて、できることから始めた。


 俺は二階に上がり、書斎にこもりこの先のことについて考え始めた。

 俺がわざわざ高い金を使ってここに拠点を置いたのは、この世界での生活の安定のためだ。


 使命が何かを考えずに、とにかく安定して収入を、それも楽に得る方法を考えてこのことで、漫画からヒントをもらい、この屋敷でペニシリンを作ることにした。

 そのために、俺は研究の準備を始める。


 まずは、俺がこの世界に持ち込んだPC類の恒久的な使用ができる環境つくりだ。

 そのためにはどうしても100ボルト電源の確保が必須で、高い金を出して電気の契約まで済ませた。


 この世界での家庭での電気の使い方などは明かりくらいしか無さそうなのだが、それでも明治も20年にもなれば家庭に100ボルトが供給されている家もある。

 この家もそうなのだが、あいにく先の例にも漏れずどこにもコンセントが見当たらない。


 ひょっとしたら、明治時代では、まだコンセントなどが発明されていないのではと、バッテリー残量が半分を切ったPCを立ち上げて調べてみた。


 そこには何と、大正期から昭和期にかけて壁にコンセントがという表記を見つけ俺は焦った。

 だが、さらに読み進めていくうちに俺にとって幸運とも思える記載があった。


 そこには、電球ソケットを使い電球以外にも電気を供給しているような表記を見つけた。

 ならば、俺もソケットから使えないかと調べてみた。


 電球ソケットには、テスターで調べてみる限り100ボルト近い電圧は来ている。

 100ボルトが部屋の電球ソケットの所まで来ているのならばそれを使うしか無い。


 そういえば、先の説明文に電球ソケットから電気を使うのに便利グッズとして二股ソケットの発明についての説明があったが、これは電球用のソケットにコンセントをはめ込んで電気を取り出す仕組みのようだ。


 ならば俺も電球ソケットを使えないかと考えてみた。

 そういえば電気屋に交換してもらった電球があったな。

 切れた電球もそのまま預かっているから、あれを使って電気を取り出せないか調べてみるか。


 どうせ、電球の切れているのはガラス電球内のフィラメントという光る部分だ。

 ソケットそのものはそのまま使えるはずなので、工具から防刃手袋を取り出して、ガラスを割ってみた。


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