帰れない帰り道~「おかえりなさい」をあなたに~
※2023 夏ホラー参加作品です!
私――帰らなくちゃ。
記憶をなくし、事故にあうすんでのところで助けられた私が、ただ強く思ったのはその一事だった。
少し思えば道が分かる。景色が分かる。
家の前に立てば作りが浮かぶ。歴史が浮かぶ。何年も前に亡くした飼い犬のことも、一緒に暮らした家族のことも。
きっと誰より、正確に。
けれど、いざその人を前にして分かるんだ。
違うのだと。ここは私の家ではないと。帰る場所ではないのだと。
一秒前の「我が家」は次の瞬間には「よそ」へと変わる。
あなたはだあれ? ここはどこ?
私はどこへ帰ればいい?
この先は我が家だと手招きをしてくる帰り道。それのどれに乗れば、裏切られることなく帰ることができるのだろう?
心よりの「おかえりなさい」を。
どうか私に。
私――帰らなくちゃ。
記憶をなくし、事故にあうすんでのところで助けられた私が、ただ強く思ったのはその一事だった。
少し思えば道が分かる。景色が分かる。
家の前に立てば作りが浮かぶ。歴史が浮かぶ。何年も前に亡くした飼い犬のことも、一緒に暮らした家族のことも。
きっと誰より、正確に。
けれど、いざその人を前にして分かるんだ。
違うのだと。ここは私の家ではないと。帰る場所ではないのだと。
一秒前の「我が家」は次の瞬間には「よそ」へと変わる。
あなたはだあれ? ここはどこ?
私はどこへ帰ればいい?
この先は我が家だと手招きをしてくる帰り道。それのどれに乗れば、裏切られることなく帰ることができるのだろう?
心よりの「おかえりなさい」を。
どうか私に。