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シンデレラにお願い  作者: 高遠 泉
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闇夜に輝く花⑤


「金剛だって言っているでしょおおおおお!!!!!」


そこに、正座して座りやがれ!

この!誘拐犯!


役立たずの金剛です!!!隊長!聞こえていますか!!

私!

疑われていますうううー!!!!

指輪にコメントを伝えるのを忘れない。

悔し涙を浮かべながら、絶対にお前、金剛じゃないな!?と疑う誘拐犯を前に

早く助けに来て、この疑いを晴らしてくださいよ!

と、隊長に助けを求める私。


絶賛、疑われ中。


やだ、もう、この世界。


王子には鼻で笑われるし。

隊長にはグーで拳骨くらわされる事もあるけれど。


だからと言って何故に、第一声が!

「お前、金剛じゃないな!?」

なんだよおおおお!!!


いや、まぁ正確には、金剛の代役ですけれどもですね。

ですけれどもですね?

代役とはいえ、金剛なわけよ。

王子承認の!


なのに何故、第一声が金剛じゃないな!になるんだ!


顔か!

顔なのか!やっぱり!


ええ、ええ、役ただないただの阿呆ですけれども!

金剛だっちゅうの!


腹ただしさに任せて、荷馬車を走らせていた誘拐犯に怒鳴りつける。

先ほどから、じゃあ証拠は!とうるさい。


証拠なんてあるわけがない。

例えどこぞの王女だったとしても、自分が王女だとどうやったら証明出来るというのだ。

というか、私が金剛じゃなかったらどうするつもりなのだ!

…ん?

自分が金剛でなかったら、この場合どうなるか。を、考えた私は青ざめて

誘拐犯なる男を見た。


「…ちょっと…お尋ねいたしますがー。」

「…なんだ?」

「私が金剛ではなかったとしましょう。」

男が無言で一歩前に出る。

「…。」

勿論、私も一歩下がる。

「…そうではなかったら…私、どうなりますかね?」


きらりと光る男の眼が怖い。

いや、そうですよね。

分かります。

私が金剛では無い場合。

誘拐犯の顔を見て、尚且つ馬車の後ろのドアが解放された瞬間に

「でやぁぁぁぁぁ!!!!」

と、誘拐犯に魔法で強化した飛び蹴りをかました私ですから。

ええ。

えーと。

周りには人っこ一人いない鬱蒼とした森が広がっている。

誰もいない。

こうなると、飛び蹴りをくらわせて外に出たのは正解だったな。


そう思いつつ、私は男の右手に握られている物騒な物に目を向ける。

これは、あれよ。

あれだ。

そう。

殺されるやつだ。

誰もいない森の中で殺されて捨てられるパターンだ。


んー。どうしよう。

私、戦闘とか本当マジ勘弁なんですけど。

いや、まぁ身代わりどんと来い!と引き受けている時点で、まぁこうなる事は分かれよって話しですよね、分かります。

うーん、うーんと唸っていたら男がしびれを切らしたのか更に距離を縮めてきた。


「…金剛でないとしたら、お前には悪いが俺にも守りたいものがあるんでね。」

ちっやっぱりか!と、小さく呟きながら男が舌打ちをする。


えー。

金剛なのにー。と思いながらも、やっぱり殺されるやつかぁとげんなりした。

はぁと溜息をつきながら、男に向かって提案を投げかける。

吹っ飛ばすのは簡単だけど、やっぱり打ちどころが悪かったりして誤って殺したりするのは避けたい。


「あのおー。提案なんですけどー。」

「…。」

「金剛じゃないとしてですね。だとしても、私、めっちゃ強いんで余裕であなたを吹っ飛ばせるかと思うんです。」

ぎろりと更に強い力で睨まれる。

あー。こわ。

「で、提案なんですけど、一緒に悪い奴、やっつけませんか?

貴方の仕事は『金剛』を移送することだとお見受けします。殺そうが、生かそうが条件は分かりませんが、これからどうするつもりだったんですか?」

「お前には関係ねぇ!お前、やっぱり金剛に変装した魔道士なんだろ!」

「…ん?」

「俺も魔道士にかなうなんざ思っちゃいねえ!」

「ん??ん??」

ん?ちょっと待って。今、魔道士って言った?


「だが、このままって訳にはいかねえ!男らしく勝負しやがれ!」

!!

ほらああああ!!!

やっぱりかああああ!!

魔道士って男しかなれない職業として認識されてるやつだよね?

世の中には私=金剛=魔道士見習いは認識されていないみたいだし。

えー。

絶望を感じながら男に向き合う。

譲れない戦いが私にもあるのだ。


「ちょと、訂正させてくださいませんか。」

「何をだ!」


「何をって・・・。」

だって悔しいじゃないか。

男の変装をしている訳でもない私にむかって。

まぁ、確かに魔道士見習いの制服は来ていますよ。

動きやすいし、第一お金もないので服も制服しかないし。

だからって間違えるかね。

百歩譲って、顔を見て金剛ではないと判断した事は許そう。

だけれど、まさかの性別!

まさかの性別!!

いや、よく考えてくれ。

例えばこれが本当に身代わり大作戦だとしてもだ。

普通、男性を『金剛』の身代わりとしてたてますかっての。

あー。

なんかイライラしてきた。


「あなた!!」

すぅううと息を吸い込み左手で男を指さす。

「私が魔道士にみえますか!!」

長い髪を見せびらかす様に右手で持ち、男に見せつける。

「この、長い髪!この、声!」

「…な、なんだよ。」

動揺しているのか、目が泳いでいる。

「私はれきっとした、女です!!!」


言ってやった!

言ってやったわ!!


男の目線が私の全身を再度見た後、胸に止まる。

次の瞬間、男が私に向かってきた。


「そんなわけねーだろうが!!!!!」


よし、吹っ飛ばそう。


遠い目をして手に魔力を込めた。


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