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シンデレラにお願い  作者: 高遠 泉
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23/30

お茶会開催③

「…本当にやらなければいけないか?」

「出来れば、お願いします。」

「…。」

「…うまくやり終えたら、ご褒美が欲しい。」

「はあー?何、子供みないな事言ってんですか!」

「…。」

「…。」

「わかりました!わかりましたから!もー。」


***********************************

「胸糞が悪い。」

金髪碧眼でいいところの青年騎士と一目でわかる風貌をした青年が一緒に行動を共にしている従者につぶやく。

「まぁまぁ、仕方がないですよ。」

「何が仕方ないだ!王子主催とは名ばかりの、あの見てくれも頭も悪そうな女の主催したつまらんゲームに付き合っている暇は僕にはないんだ!」

「そう、おっしゃられましてもねぇ。王子主催と書いてあるからには出席はしておいた方が良いでしょうし。こんなお遊びのお茶会も、そろそろ王子が見つかってゲームも終了する頃ですし。」

こそこそと二人で話さなければならない状況も、頭にくる。

開始早々、くだらん課題を出され、農具の使い方や修理の方法などの説明を受ける羽目になった挙句に農具磨きをさせられたのだ。


一体なんだというのだ。

僕は領主の息子だというのに。

農具の使い方などを教わっても、何の役に立つものか!

それよりは、まだ自分の城でつまらん経営学やらを学んでいた方がましだ!

それに、部屋を移動させられた挙句にこの僕が一部屋しか使えないなどと!

この僕が!だ!


こんな意味のないゲーム早々に脱落してやる!と付き人と共にゲームの会場から脱出しようとした所、同じチームの魔道士見習いに腕をつかまれ強引に連れ戻された。

挙句、この目立つ腕章を外そうとしたら、やんわり顔で今度は聖職者見習いとやらが手を掴んできた。

何なんだ、こいつらは!

僕をあのテイオス領主の息子と知っていての行動なのか!

このゲームが終わり次第、必ずこの者たちの名前を親父に報告してやる!

僕はあのテイオスの息子なんだぞ!

魔道士見習いや聖職者見習いが親しく声を掛けていい身分ではないのだ!

そればかりか、あの金剛や生花と名乗りだしたあの女どもでさえ、この僕には敬意を払って頭を下げるべきなのだ。

無礼にもほどがある。


「アルヴァン様、お怒りはもっともですが、ここは抑えられて当初の目的を達成しませんと。」

「…分かっている。」


そんな事は分かっている。

金剛か王花を僕の魅力でその地位から引きづり下ろす事。

もしくは…。

強引にでも傷物にすること。


そうすれば、僕の可愛い妹セリーナが王子の妻の座を射止められる。

確かに王花を名乗る女は魅力的だったが、あの金剛と行動を共にしている所からみて、あの女の知能もたかが知れている。

だが、あの王花は何となく嫌な予感がする。

何が。という訳ではないが。

とりあえず、王花、金剛、どちらかをどうにかすればいいのであれば、やはりあの見た目も知能も金剛にふさわしくない女をどうにかすればいいだろう。


本来なら、王子でさえも僕にひれ伏すべきなんだ。

王都を支えているのは東の首都とも言われている、このテイオスの領地なのだから。


「最後の課題は自分の住んでいる場所の問題点と利点をルーカス様に提出するんだそうだ。どうやらこのお茶会に参加した者は必ずこの課題を書かされているらしい。」

魔道士見習いにしては歳のいった大男が僕に紙とペンを渡してくる。

何が楽しいのか、にやりと笑いかけられる。


魔道士見習い風情がこの僕に気軽に話しかけるな!

そう思ったが、感情を押し殺しその男から課題の紙を受け取った。

くだらない。

もう王子だってどこかのグループが見つけた頃だろう。

昼には終了すると言っていた。

それなのに、課題だと?

何が最終課題だ!

もう王子が見つけられ、ゲームが終了したならゲームの課題なんぞ、誰がやるものか!

こんなもの、適当に従者に書かせて提出させてやる。

それよりも、この混乱にまぎれてあの女どもに接触しなければ。


毎日開かれるお茶会で何度も接触を試みてみたものの、あの女どもときたら軽く僕をあしらったのだ。

この僕を!

だが、ルシウス王子が出てくるとなると話は別だ。

何せ、王花はルシウス王子の婚約者。

となれば金剛は一人になるはず。

魔道士の館へは、魔道士しか入る事は許されておらずお茶会でしか金剛、王花には近づけないが今日は一日中央の館にあの女どもはいるらしい。

これは願ってもないチャンスだ。


まずは、あの女だ。

幸いにして今日は夕刻までこのくらだんお茶会は続くらしいからな。


従者でもいい。

誰でもいいからあの女を傷物にできれば、それでいいのだ。


****************************************


「本当にやるのか…。」

「もー。腹をくくってくださいよぉ。」


一番のりのチームが他のチームの歓声の中、ルシウス王子と共に庭園に現れた。

やっと外に出られて本当に嬉しいのか、普段のしかめっ面は何処へ行ったのか今のルシウス王子は満面の笑みを浮かべている。

一位になったチームが王子を取り囲み、誇らしげだ。

素晴らしい。

用意されていた最終の課題をまじめに解答すると、ルーカス様からご褒美の暗号が贈られ、それをさらに解くと王子の居場所が浮かびあがる仕掛けだ。

もちろん、最終問題は私の頭では作ることが出来ないのでルシウス王子専属のルーカス様率いる若手頭脳派軍団の皆様の御手製だ。


つまり、とっても難しい。


仲良く料理を作るだけのコミュニケーションの高さといい、高い知識がなければ解けない問題を解いた頭脳といい、彼らは最高のチームなのだ。

これを機に、お近づきになりたいチームである。


ご褒美に王子とお食事もされるんだし、王子と仲良くなってくれれば頼もしい。


そんな事を思いながら特設ステージの横で彼らの姿を眺める。

一位のチームがステージの横にスタンバイする間、ルシウス王子が一足先に檀上に上がって王花役であるセルの手を取った。


ステージの中央にはセルが、こちらは作り笑いなのだが、満面の笑みで愛しい王子を迎え入れる王花の役をこなしている。

傍からみると美男美女で、もうこのまま結婚したらいいのに。

などと勝手なことを思ったりする。


最後まで渋っていたが、やるじゃない。隊長。

王花の役を完璧にこなしている。

手を取り合って微笑みあっている。ルシウス王子も良い感じだ。

よしよし。

この後だ!


今だ!

と熱い視線を隊長へ送る。

歓声が一層大きくなる。

悲鳴すら聞こえる。


そう、セルフィス隊長(現、セル)がルシウス王子のほっぺにキスをしたのだ。

祝福のキスを。


最後まで渋っていたけど、よくやってくれました!隊長!

わあああああ。


一瞬ルシウス王子に殺意のある目を向けられた気がするが、気にしない。


王花の代わりをしろっていったのは、王子なんですからね!!

心の中で反撃する。

ほっぺにちゅ。だけで歓声の中には確実に嘆きの声も含まれている。

ルシウス王子のファンは多いなぁ。

まぁ、王子だもんねぇ。

悲鳴の中には野太い声も聞こえる事から、セルのファンも悲鳴を上げている様だ。



まぁ、そうですよね。

今までは噂としての王花だったわけですが、これで公然と王花として認めちゃった事になりますもんね。

王花って名乗っているけど実は違うんじゃないか。という期待を今裏切ったんですもんね。

そりゃあ、悲鳴も上げたくなるというもの。


まぁ、正式な王花とはいかないけれど、これで両者両想いらしい事を世間に広められたわけよ。そりゃあ、王花の地位を狙っていたお嬢様は悲鳴をあげますよね。

あと、聖職者及び見習いのルシウス王子ファンの方々にとっては大事件勃発ですよね。

ええ。

分かります。

好きな芸能人の恋人発覚!ってこういう感じですよね。


でも、よーくみるとね、二人の眼、笑ってないんですよー。

ええ、怖いですねー。

恐ろしいですねー。

対抗心からか、今度はルシウス王子が隊長のほっぺにちゅをしている。

げ。

いや、それは私は指示してませんからね。

それは、私の指示ではありませんからねー!!!!


うふふふ。

見ているこっちが心臓に悪い。

美男美女のいちゃいちゃは、事情をしらなければ眼福にもなろうが、事情が事情だけに笑えない。

いや、ほっぺにちゅをかましたれ!

と言ったのは私ですけれども。

ええ。

でも、おかしいなぁ、冷や汗がでるよ。

うふふ。

二人の王子の視線が怖い。


まぁいいや、式を進めちゃろ。

バロン王子が笑いをこらえているのが解る。

まぁ、ねぇ…。


後の事は置いておいて、用意された席に着いたルシウス王子とセルフィス隊長の殺意のある目線を横目にこのお茶会という名のゲームの授与式を進めたのだった。



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