セルフィス隊長の混乱
隊長はこのところ混乱していた。
先日、自分に匹敵する程の魔力を持った魔道士が見習いとしてやってきた。
それも女性の魔道士だという。
鬱蒼と生い茂っていた森林を破壊し、一直線の更地を見て驚いたのもつかの間、その魔力を駆使したのが、なんと普通は聖力を発するはずの女性だったのだ。
驚かないわけがない。
とりあえずの事態休息の為、驚異的な魔力の持ち主を城へと動向させたものの、いまだ目の前の女性が発した力とは思えず、ついじろじろと見てしまう。
腕も細い、静かにしていれば清楚な感じの女性である。
いや、清楚は言い過ぎかもしれない。
なんたってやけに元気がある。
話してみると元気どころの騒ぎではなかった。
あのバロンに結婚はしているのか、恋人はいるのか。
挙句の果てに、実は女性なんですか!と来たものだ。
呆れてモノが言えない。
自分の知っている女性と全く違うこの人物に、どう応対していいのかさっぱりわからずにいる。
そして女性だということを忘れ、何度か拳骨をくらわせてしまった。
初の女性魔道士ということもあり、俺の隣の部屋を貸すことにしたが、これがまずかった。
そう、俺の部屋の隣は将来、俺の嫁が入るはずの部屋だったからだ。
部屋がないからという理由で、そこを使えと軽い気持ちで命令しただけだったのだが。
いつの間にか、彼女の名前が金剛になっていた。
そう。
俺の嫁に与えられる称号の。
『金剛』に。
記憶がないと言っていたから本人は気づいていないのかも知れないが。
何度か本名で呼んでも振り返らないので金剛と呼んだら、すぐに振り返る。
どうやら自らを金剛ってよんでくれと言っているらしい。
どうしたいのだ。
あの娘は。
このままいったら本当に俺の嫁になってしまう。
いいのか、あの娘は。
それよりも、問題は・・・・。
隣の部屋にいる金剛という名称を与えられてしまったあの娘に振り回される予感がいっぱいのセルフィス隊長なのであった。




