表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
8/40

第8話 そっちかよ!!

 王様にそんなにすぐに会えるの? とも思ったけれど、クラウディアが「国の命運に関わる火急の用である」と伝えると、次々に扉が開いていく。


 あの光るツチノコ魔法、そんな大事なんだろうか?


 ついに、謁見の間。

 あ、ユーリくんもいる。

 王様の隣には見たことのない女性。私を見て、一瞬ギョッとしたような顔をした。王妃様、かな。なるほど今の私に似ている。そりゃ驚くよね。


「陛下、突然のお目通りをお許しいただき誠にありがとうございます」


 クラウディアが跪いて話し始める。

 慌てて私も同じポーズを取ろうとする、と、クラウディアに止められた。なぜ?


「うむ。面を上げよ。それで火急の報告とは?」


「はい、こちらのユウリ……いえ、オオノ・ユウリ様は、神の祝福を受けた『御使の聖女』であることがわかりました」


 ざわざわっ!


 周りの人たちが一斉にざわつく。

 なに、なになに、それ。

 一人取り残される私。


「……それは、まことか」


「はい、夢で神に逢われたと。信じがたい事ではありますが、疑いようのない証拠がございました」


「聖女ユウリ、先程の魔法を使って見せてください」


「聖女て……。ライトアローのこと?」


「はい。詠唱は覚えていますか」


「ええと……等しく我らを照らす光のマナよ、我に力を与えたまえ」


 手に魔力を集めると、またウニョウニョ動き始める。


「ライトアロー」


 念のため、誰もいない方に向けて発射。


 ぼてっ。


 相変わらず光の三角コーンもどきが床に落ちてうねうね進む。そして消える。


 気がついたら、辺り一面、シーンとしている。

 ……気まずい。


 その静寂をクラウディアが破る。


「こんなライトアロー、ご覧になったことはないでしょう。これが神のご意志なのです。聖女ユウリ、夢の中で神に何を授かりましたか?」


「え……『太さ』を……」


 クラウディアに振られて答えたものの、大勢の前でこんな残念スキルもらったって言うの、恥ずかしい。


 しかし、それを聞いたらまたガヤガヤザワザワとみなさん落ち着かない様子。


「それが、先程のライトアローか……なるほど……とても太い、な……」


 王様、そんな神妙に言うほどのもんでもないでしょあれ。


 すると、王様は玉座から立ち上がり、私の方にやってくる。

 近くまで来て、突然跪く。


「えっ」


 これにはさすがの私もびっくり。


「ちょっと王様でしょあなた。なにいきなり私なんかに跪いてるんですか」


 クラウディアもびっくりしているかと思ったら、全然してないというか、なんならクラウディアも私の方に向きなおして跪いてる。


 ざざっ!


 王様に呼応するように、みーんな私の方を向いて跪いた。


 ……嫌な予感。


 ツチノコが珍しいって思ってたら私が珍しい方だったってやつ!? そっち!?


「御使の聖女ユウリよ」


 王様が私の目を見て話し出す。


 ああこれはビンゴ。やばい展開。絶対面倒なやつ。何十回もゲームとかで見た。


「伝承によれば、神の祝福を受け遣わされし聖女は、国を、世界を救うと言われておる。異世界からの来訪といい、ただものではないと思っておった。どうか、我が国、グランバークをお救いください」


 ああー!! やっぱりー!!


 どう考えてもこれ選ばれしなんたら的な展開なんだろうなって思ったのよ!


 でもただの一般人なのよ私は。さっきのツチノコで国救える? 無理でしょ!


 恋愛モノの異世界に転生したと思ってたのに、バトルものの方かーい!!


 そっちかよ!!


「えーと。まず、みなさんどうか普通にしてください。神様に会ったのは本当だけど、もらったの、この『太さ』とかいうしょーもないやつだけなんですよ。あははー」


 必殺、笑ってごまかす。


「それが何よりの証拠。あなた様は神に次ぐお方なのです」


 ごまかされてくれない王様。


「いや……絶対そんなことないから」


 どう否定しても聞いてくれない。「いいえ」を選んでも会話が無限ループする昔のRPGみたいになってしまった。


「ユーリくん、クラウディア、ちょっと来て」


 もうこの二人に助けを求めるしかない。


「は、御使の聖女様」


 ユーリくん、あんた性格変わっちゃってない? そんなキャラじゃなかったでしょ。


「いいから普通に喋って。お願いね。ちょっと別のとこでお話ししましょ。じゃ、王様、ちょ〜っと二人借りますね〜」




 二人の背中を押して、テラスのテーブル席へ。ひとまずお茶をいただいて落ち着くことにする。


「ちょっと、何さっきの! いきなり国なんて救えるはずないでしょ! 意味わかんなすぎだから説明して。あ、普段通り喋ってね、敬語使ったらさっきのツチノコぶつけるぞ」


「あ、ああ。ユウリは自分がなんなのかわからないのかい?」


「わかるわけないでしょ! 聖女ってリリアのことでしょ! 私はただの異世界からの居候よ?」


「この国に伝わる、いや、この世界に伝わる言い伝えによると、神に祝福されし聖女が降臨したとき、その国は救われる。そう言われているんだ」


「実際に、二百年ほど前に他国に降臨された聖女は、敵を打ち払い、国を豊かにし、栄華を極めさせたそうよ。それが今のバルード帝国。憎き帝国だけれど、御使の聖女様のその偉大な存在は国を超えて崇められているわ」


 ……つまり、過去にも私みたいな転生者がいて、なんか神様にもらったスキルで無双した、みたいなこと?


「その聖女さんはきっと神様からすごくいいスキルをもらったのよ。私の『太さ』とか意味わかんないじゃない?」


「ところがそれこそがユウリが御使の聖女様である証拠とも言えるんだ。件の帝国の聖女様の祝福は『長さ』だったそうだ。どうだい、似ているだろう?」


 あのハゲ神様め。

 昔っからそんなノリでスキルつけてんのか。


「……似てはいるけどね。その聖女さん、よくそれで国なんて救えたわね」


「とにかく、そういうことだから! ユウリ! いやユウリ様! どうかこの国を頼む!」


 テーブルにキスをする勢いで頭を下げるユーリくん。


「あああ、私のスペシャルお気楽異世界ライフが……」


 気ままな一般冒険者ルート、終了のお知らせ。

 外堀埋まってるってレベルじゃなかった。

 思わず頭を抱えてしまった。


 ご都合主義にするの、そっちじゃないだろー!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ