表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
38/40

第38話 決戦

 全員が、一斉に武器を抜く。


「下がっていなさい」


 しかし、蘭さんはそう言うと一人で前に歩みを進める。


「蘭さん、それはないんじゃないの。……ホーリーフレア」


 私は、フレア砲を準備しながら歩みを進める。


「うむ。我が妻の仇……私はたとえ神のご意志であっても参戦する」


 ウォーレンさんだ。


「当然、僕たちだって。借りを返させてもらうぞ」


 ユーリくん、クラウディア、リリアも構える。


「オラン様の御前、よもや逃げ出す帝国の者はいないだろうな!」


「おうよ!」


 皇帝、テオドールはじめ、みんな臨戦態勢。


「止めはしません。足手纏いにならぬよう、せいぜいお気をつけなさいませ。ライトアロー」


 呆れたように言う蘭さんの手に、白く長い棒状の光が現れる。

 とんでもなく長い薙刀のように見える。


「ライトアロー……あれが……」


 クラウディアが驚きというかもはや恍惚の表情でそれを眺める。

 ……ユーリくんとレア魔法のことになるとこれだからクラウディアは。


「参る」


 ロウはブランくんに斬られたはずなのに、両方の翼が生え揃っていた。

 それをはためかせ、尋常ではない速度で蘭さんへ突っ込んでいく!


「私に突っ込んでくるとは、正気ですか」


 蘭さんがその薙刀を軽くブンブンと振り回すと――ロウの体が四つに分断された。


「へ?」


 私は間の抜けた声を出した。

 こんなにあっさり? あのロウが? そんなことある?


 どうみても致命傷。

 しかし、次の瞬間、それは起きた。


「油断したなぁ!」


 ロウの体が瞬時にくっつき、蘭さんへ再び襲いかかる!


「危ない!」


 横からフレア砲を発射する私!

 ロウは避ける――かと思いきや、左腕でただその爆発を受ける!


 すごい音と共にロウの左腕が吹き飛んだ!

 ……と思ったら、治った。


「なんだそれ! チートかよ! リフレクトォ!」


 蘭さんをリフレクトで包み込み、ロウの爪での攻撃を弾く。


「チッ! 相変わらず厄介なもんを使う!」


「はっ!」


 蘭さんが、私の「リフレクトごと」ロウを切り刻んでいく!


 何その薙刀! 無敵だった私のリフレクトがそれこそコンニャクそのものみたいに切り落とされていく。その先で、もはや微塵切りみたいにされたロウだったが、次の瞬間には復活している!


「……魂まで悪魔に売り渡したか、太郎……!」


 蘭さんが憎々しげに言う。


「悪魔? あのお方は俺の本当の母だ! お前などでなくな!」


 ロウも何やら意味深なことを言う。


「蘭さん! 何か知ってるなら教えて! リフレクト!」


 ロウをリフレクトで足止めしつつ、蘭さんに聞く。この無敵チート、どうにかしないと埒が開かない。


「この……ぐわっ!」


 リフレクトから出ようとするロウを、クラウディアが魔法で中へ押し戻す。ナイス、クラウディア!


「……太郎はおそらく『契約』をしたのです。悪魔と呼ばれる存在と」


「どうやったら破れるの、それ!」


「契約者を、悪魔を倒すこと。それしかありません」


「ハァ!? そいつ倒さないとあいつ死なないっての!?」


「……悪魔の魔力の限界を超えるほど殺し続ければ、あるいは」


 そう言う蘭さんの表情は苦しげだ。

 覚悟を決めてきたとはいえ、息子を何度も切り刻むなんて嫌なのだろう。


「それって何回!?」


「……数年ほど」


「無理じゃああああい!」


 しかし、リフレクトから出ようとするロウは、みんなの攻撃で確実にやられ続けている。


 あれ? 弱い?


「もしかして、その契約っていうやつで、ロウ弱くなってる?」


「可能性はあります。あまりにも強大な力を契約することは難しいですから。契約でかりそめの不死を手に入れる代わりに、力が抑えられている可能性はあります」


「はっ、物知りだなババァ! そうだ、俺はいくら切られたってまた復活する。あの方の寵愛を得たのだ! 疲れもしねえ。いずれお前ら全員くたばるのさ!」


「やかましい!」


 私はフレア砲を発射。直撃するが、すぐに復活するロウ。


「はあっ! ……これは、長期戦になりそうだな」


 ユーリくんも焦りが見える。

 この戦力なら今のロウは余裕だ。それこそ私のヒールもいらないくらい。

 でも、こちらはいずれ疲れてしまう。


「ちょっと皇帝! あんた援軍呼べないの!」


「おう! 今さっき伝令を出したが……ここは街まで遠い。半日はかかるだろう」


 半日……。


「そんなに長い時間はいらねえよ! はあああああ!!!」


 ロウが何やら気合いを入れると、急に動きが速くなった!


「うおっ! ぐわ!」


「ぎゃっ!」


 テオドールと、帝国の兵士一人がその動きについていけず、殴打される!


「リリア! ヒール!」


「わかりました!」


 私のヒールは動けなくなるから最後の手段。リリアにヒールをお願いする。


「させるかよ」


「ぎゃっ!」


 いつの間に移動したのか、リリアもまた攻撃を受ける。


「こんの! ライトアロー! ライトアロー! ライトアロー!」


 私はフレア砲にライトアロー弾を詰め続け、乱射する。


「おっと」


 飛び下がるロウ。


「エリアヒール!」


 その隙に蘭さんが叫ぶと、辺りが白い光で満たされる!

 うずくまっていたテオドール、リリア、兵士が起き上がる。


 あっちがチートならこっちもチート! 蘭さん、さすがの戦力。


「蘭さん、グッジョブ! リフレクト! リフレクト! リフレクト!」


 私はロウをたくさんのリフレクトで囲んだ。


「なんだこれは!」


 出口を別のリフレクトで塞いだ。閉じ込め大作戦。


「……このままずっと放っておいたらどうだ?」


 ユーリくんが無茶を言う。


「私に寝るなって言うの? いくらなんでも無理よ」


「さっき、ロウが明らかに強化したでしょ。あれが何度も使えるとしたら厄介よ。リフレクトも破られるかもしれない」


「おそらく、太郎は契約の力と本来の力を切り替えられるのでしょう」


 蘭さんがそんなことを言う。チートの重ねがけかい。


「神の御使となった今でもそんなことができる魔族は知りませんが、太郎の契約した悪魔はそのようなことを得意としますので」


「……知ってるのね? 契約した相手」


「はい。この世界で現存する悪魔はただ一柱」


 一柱。神と同格なのか。


「……オルレーンの聖女と呼ばれし者です」


『ええええええ!!!』


 全員の驚きの声が、こだました。


 クラウディアが前に言っていた「オルレーンのドラゴン」の話に出てくる、邪悪なドラゴンと相打ちで消えた御使の聖女。

 この世界では有名な逸話らしいけど、聖女は消えたのではなかったのね!?


「だったらなんだってんだ!」


 馬鹿力でリフレクトを歪め、隙間から飛び出したロウが吠える。


「ようやくこの力の使い方に慣れてきたぜ。さあ、本番と行こうか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ