第28話 そっちかよ!!!!
ぼよよよよよよん。
私のリフレクトに跳ね返される矢。
まあ正直、矢なんて一万本降ってきても平気。
一部の矢はいい感じに元の方へ同じ勢いで返っていく。
それに驚いて逃げる塀の上の人たち。
「よいしょ」
私は内側からリフレクトを押しつつ歩く。
ズリズリと、リフレクトごと前に進む。
ふっふっふ、私はリフレクトを動かせるから、私だけならこうやって亀みたいに前に進めるのだ。ちなみに最近気づいた。
「なんなんだ貴様! 何をする気だ!」
リフレクトの中にいてもよく聞こえる声。ああいう人ってやっぱり大きな声出す訓練でもしてるのかな。
うーん、私の声、リフレクト越しでもちゃんと聞こえるかな?
「御使の聖女だって証拠見せたげるから、そこで大人しく待ってなさい!」
ということで、門までだいぶ近づいたところで、私はサークルを唱え始める。
この前のことがあったから、移動中の三日で暗唱も完璧にしといた。
ま、挨拶がわりにこの堅牢そうな門と塀の一部、壊してあげようかな、って。
「……神の護りよ、来たれ! サークル!!」
ピカーっと私が光り、それを手のひらに集約する。
「弾けよ!」
できた重たいボールを放り投げ、同時にリフレクト解除!
相変わらずな半透明のドームが広がっていく!
「貴様! 歯向かうつもりか!」
「人に矢ぁ射っておいて歯向かわれないと思ってたの!? 頭お花畑か!!」
そんなことを言ってるうちに、サークルが跳ね橋を壊して門に到達。ミシミシバキッ、と大木を組んで作ってある門を破壊。そのまま石造りの城壁にぶつかっていく。
「そこ、危ないわよー! 左右どっちかに逃げなー!」
「な、何!?」
真ん中、門の真上にいたテオドールが走って脇に逃げていく。
そこは素直に言うこと聞くのね?
ボゴッ!!
重たい音と共に、真ん中から城壁が崩れ始める。
テオドールをはじめとした兵士たちは逃げおおせて無事っぽい。よかったよかった。別に人を傷つけたいわけじゃないからね。
「よっと。ライトアロー!」
半球形に広がる結界が周りの塀も壊しにかかったところで、ストップ。
重々しい威厳を誇っていた城壁に、綺麗にぽっかり穴が開いた。
その向こうには街並みが見える。
ハロー、帝都の皆さん。
「誰に私が偽物って聞いたか知らないけどね! そいつが偽情報流してたっての、理解できた!?」
念の為、ホーリーフレアを唱え、ライトアローを装弾しておく。
「うるさい、この邪教徒め!!」
あら、まだわからない。
私は無言でテオドールの脇に立つ物見の塔にフレア砲を発射。
ドゴォーン! という音と共に石造りの堅牢そうな塔に穴が開く。
「まだ、言う?」
「くっ……総員、手を緩めるな! 何をしている!」
んー? 随分諦め悪いね君?
君もロウに操られてる系?
「し、しかしテオドール様……これはどう見ても常人ならざる奇跡の数々……あの方は本当に偽物なのでしょうか」
おー副官っぽい人、わかってるじゃん。
兵士たちもザワザワして弓を構える人はいない。
「ええい、使えないやつめ!」
「ぐあっ!」
「えっ」
テオドールはなんの躊躇もなく、手に持った剣で副官を斬った。
おいおい……こりゃいけない。
「ちょっと兵士たち! しばらくその人抑えときなさい! 御使の聖女の命令よ!!」
私の声に、三分の一くらいの兵士が動いてテオドールを囲む。
残りの三分の二もテオドールを守るような動きはしない。
「貴様ら! 何をする!」
うーん、御使の聖女の名前、本当に強い。
後ろを振り向く。
「リリア! クラウディア! こっちきて!」
リリアの魔法で操られてるのを解除しないとね!
暴れたらクラウディアのホーリーフレアで焼いてもらう。
二人がこっちに走ってくる。
と思いきや、ウォーレンさんもユーリくんも一緒にきた。
「あのテオドールって人、これだけやってもまだ反抗してるの。たぶんロウに操られてるわ! リリア、ここから解除できる?」
「またですか!? いや、でもここからでは遠すぎますね……」
堀が幅十メートル弱、城壁も三階くらいの高さはあるかな。確かに近くはない。
「よし、じゃあ近づきましょう」
「え……橋もないのにどうやって」
リリア、私の世界の人間は、幼い頃からマイン◯ラフトを基礎教養として嗜んでるのよ。
「こうするの! リフレクト! リフレクト! リフレクト!」
私は十回くらいリフレクトを重ねて、堀に道を渡す。
「おお……」
「道なき場所に道を……」
「まさに奇跡……」
なんか兵士たちにウケが良い。
わかりやすい奇跡ってこういうやつなのかな。
マイ◯ラの橋造りは神の所業。いやでも案外そうか。
「さ、行きましょう」
丸くて柔らかいからちょっと歩きづらいけど、静かに歩く分には問題ない。
呆気に取られている兵士たちに手を振りながら、普通に門があったところを通り抜け、内側の階段から上に登っていく。
「どーもどーも。はいはいちょっと通りますよ」
それだけで兵士たちが道を開けていく。
なんか偉くなった気分。いや実際ここでは神様に次ぐ扱いなんだろうけど。
「貴様ら! 誰の許可を得て入ってきやがった!」
テオドールは相変わらずだ。
「リリア、よろしく」
「はいはい」
リリアが手をかざすと、黒い炎が巻き起こる。
それがテオドールの全身を包み――そしてリリアの動きに合わせて引き剥がされる!
「何しやがる! この偽物! 邪教徒! ブス!」
あら、変わらない?
っていうか一言余計じゃない?
「ロウに操られているのではなさそうですよ、ユウリお姉様」
リリアも同じ感想みたい。
「ってことは、あなた。もしかして……」
「な、なんだよ」
私の言葉の続きを聞こうと、その場の全員が静まる。
「ただ性格が悪いのね!!!」
「うるせえわああああ!!!」
ビシィっ! とテオドールを指さす私。
そんな私に吠えるテオドール。
いやー、毎回毎回操られてる人が変なことしてくる世界かと思ってたのに。
そっちかよ!!!!




