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そっちかよ! ユウリのドタバタ転生記 〜神様、『太さ』スキルって何!?〜  作者: エフピロ


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第11話 まさかの?

「はぁ!? 来週!?」


 翌日。

 朝イチで王様のもとへ呼び出され、渋々出向いた私に衝撃の事実が告げられた。


「今さっき帝国から使者が来てだな……」


 王様は玉座で腕組み。


 なんと、バルード帝国が来週攻め込んでくると宣戦布告してきたらしい。

 重苦しい空気の謁見の間。


「いや、えっと……どうする気です?」


「どうもこうも、やるしかあるまい」


「勝てるんです?」


「……勝てるかどうかではない。勝つのだ! 我ら! 五百年の歴史を持つグランバーク王国が負けるはずなどぬぁーい!」


 ああ、ダメだこりゃ。

 もはや精神論。


「ユーリくん、リリアの件は許可とってくれた?」


「あ、ああ。だがもうそれどころでは……」


 弱気なユーリくんを、きっ、と睨みつける。

 やれることは、やらないと。


「だから、よ。時間ないんでしょ? さっさといくわよ。クラウディアも呼んできて」


 私はクラウディアに習いたてのカーテシーを決め、さっ、と踵を返した。


 そして謁見の間を出る直前に立ち止まり、振り返る。


 緊張感のある静寂が場を支配し、一同の視線が私に集まる。


 私はおもむろに口を開いた。


「牢屋、どっちだっけ?」


 えへっ、と頭を叩く私。

 空気の読めない女でごめん。


   *


 牢屋は、想像の通り、じめじめした地下にあった。


 リリアがここに入ってちょうど一週間か。少しは反省しただろうか。


 ……ってことは私、転生して二週間で国同士の決戦に巻き込まれんの? 難易度ナイトメアすぎない?


 ギィ、と鉄扉が軋んだ音を立てる。


 殺風景な石の空間の奥に、鎖に繋がれたリリアが俯いて座っていた。


「リリア」


 ユーリくんが声をかける。

 ちなみに何かあった時のためにクラウディアは少し離れたところに衛兵五名と待機している。


「あ゛あ゛?」


 動かないから寝ているのかとすら思っていたのに、顔を上げるとすんごい顔で睨みつけてくるリリア。

 本当に元聖女かおまえ。


「あなた、結界の魔法使えるわよね」


「何しに来やがったんだてめーら! 今更あたしを笑いにきやがったのか! おい、どうなんだゴラァ!!!」


 繋がれた鎖を限界まで引っ張りこちらに近づき叫ぶリリア。

 聞いちゃいない。おーこわ。


「そんな態度とっていっいのーかなー」


「んだテメー!! コロすぞ!!!」


「欲しくない?」


「あぁ!?」


「恩赦」


「はい、なんのご用でしょうユウリお姉様」


 素直でよろしい。


「結界の魔法を急ぎ私に教えて欲しいの。魔力封じも一時的に解除するわ。変なことはしないことね、精鋭が外で構えてるから」


「それ教えたら〜、リリア許してもらえるのかしら〜? 昨日死罪って聞いてぇ〜、絶望してたの〜」


 たくましいやつ。


「少なくとも死罪はなくなるだろう」


 ユーリくんが断言。こういうときの王太子の言葉は重い。


「私が使えるようになったら、ね」


「はぁ!? それじゃ意味ねーじゃんかよ! お前みてーなぽっと出が使える魔術じゃねーし! 騙す気満々かよクソが!!」


 ……これがこの子の素の性格なんだろうなあ。


「あー、たぶん大丈夫、私、なんでも御使の聖女ってやつだったらしいから」


 あ、リリア固まった。

 忙しいやっちゃな。


「……マジのガチ?」


 ユーリくんに確認するリリア。

 王太子にその言葉遣い、大丈夫そ?


「うむ」


「やっだぁ〜ユウリお姉様ったら人が悪い〜」


「もういいからそれ。早く教えなさいよ」


 カチャカチャと鎖の手枷を外す。これが魔力封じも兼ねているらしい。


「ふぅ。久々に手首が軽いわ。……結界魔法ね。まず、あんた実際に見たことあるわけ?」


「ないわ」


「じゃあまずは見てなさい。結界魔法は詠唱が長いのが特徴。ただし発動した効果は大きいのよ」


 ほうほう、大艦巨砲主義。嫌いじゃない。


 リリアは、両手を組み祈るようなポーズで詠唱を始める。


「森羅万象に宿る聖なるマナよ、博愛と信頼の使徒たる聖女にいくばくかの道を示せ。我は求む、安寧の喜びを。我は求む、慈愛の恵みを。我らは求む、大いなる神の慈悲を……」


 そこからは言葉として聞き取れない、まさに呪文という感じのフレーズが混じる。

 リリアは三分くらい詠唱していただろうか。


「……神の護りよ! 来たれ! サークル!!」


 リリアは両手をまっすぐ横に広げ、叫んだ。

 すると、全身が白い光に包まれる。神々しい、まさに「聖女」という見た目だ。


 その光が徐々に狭めるリリアの両手の間に球として集約されーー


「弾けよ!」


 リリアがそれを上に放ると、光の玉が全方位に向けて弾ける!


「まぶしっ!」


 思わず目を背ける私。


光は瞬時に屋根、床、壁に吸い込まれ、消えた。


「ハァ、ハァ、ハァ……これが、聖女の……サークルよ……」


 膝をつき、肩で息をしながらドヤるリリア。

 いやすごいよ。結構すごいことしたよ。


「お疲れ。あの光、壁に吸い込まれていったけど貫通していったってことでいいの?」


「もちろん。王都全体くらいは覆われるでしょうね。しばらく邪悪な存在は近寄れなくなるはずよ」


 それはすごい。しかし具体的な効果がよくわからない。


「邪悪な存在って?」


「……邪悪な存在よ」


 ああ、この子、使えるけど詳しいこと知らないやつだな?


「ユーリくん、知ってる?」


「いや……」


 うーん、帝国のこと考えると、人に効かないんじゃあんまり、ねえ。

 まあ、とりあえずやってみましょーか。


「じゃあ、まずはそのなっがい呪文覚えるところからやりましょうか。リリア、あんた今日徹夜で付き合ってもらうからね。覚悟なさい」


「ええ……」


「恩赦」


「はい! 喜んで!」


 うーん、わかりやすいやつ。

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