【第八話】水晶は道を示し、その先の地獄を照らす
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~童話に隠された“世界の滅び”の真実とは?少年が辿り着く先に待つものとは何か。誰もが知る物語の、誰も知らない謎を追うファンタジー譚、開幕!~
眩い光は消え、何も変わらない景色が広がっていた。
「何だったんだ? 敵……ではないような」
ノタは周囲に視線を配りながら、立ち上がる構えを取る。
僕の内ポケットから光っていたような。
ノタは緑のローブの内ポケットに手を突っ込む。
「!――これ、水晶なのか?」
内ポケットから出てきたのは、ある一点に微光を指す水晶と、粉々に砕けた魔石だったものがあった。
水晶が光る訳ない――少なくとも僕はそう、知っている。
水晶は僕が知る以上に知らない存在なのか?
あるいは、魔石らしきものが原因か?
ノタの視界が端から回り始める。
ノタは水晶を手に抱えたまま、その場で固まる。
「僕の知らない水晶なら、僕は何を今まで知っていたんだ?」
……僕は、こういう水晶だと……信じよう。
この水晶は魔石に触れると光る。今、それを知ったんだ。
ノタの視界は次第に戻っていたが、その手は小刻みに震えていた。
「今は先に進むことが優先……だと思う」
ノタは乱暴に水晶を内ポケットに押し込んだ。
また、街道を歩み始めた。
街が見え始めた頃には血は止まっていたが、ノタはこわばった表情を浮かべていた。
街は活気に溢れ、あちこちで音楽が聞こえてくる。
赤いレンガ造りの家が立ち並ぶ中に、聖教会の教会がひときわ目立つ高さで立っている。
僕がいた村とは大違いだ。こんなに人がいるなんて想像もしなかったな。
今日は疲れたし、予定外だったが、宿で一泊しよう。
「すみません、宿を一泊借りたいんですが」
「一泊だと、銀貨一枚になります」
「……分かった」
ノタはその金額に不信感を抱いたが、交渉すらせずに銀貨を差し出した。
「部屋番号は108です。今夜は酒屋が開いていますよ」
ノタは鍵を貰い、部屋へと直行する。
荷物を脱ぎ捨て、ベッドにダイブする。
仰向けに転がり、緑のローブの内ポケットに手を伸ばす。
一瞬、手が止まるも、そのまま水晶を取り出す。
水晶をロウソクの灯りに照らし、白い微光と淡い橙色が格子に重なる。
「僕は、この水晶を知っていた」




