【第四話】旅の予感は雄大な景色から
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~童話に隠された“世界の滅び”の真実とは?少年が辿り着く先に待つものとは何か。誰もが知る物語の、誰も知らない謎を追うファンタジー譚、開幕!~
板に浮かび上がってきた文字に書かれていたのは、『多重撃』。
それを見た司祭は、満面の笑みでこちらを見てきた。
僕は息を飲み、心臓が高鳴る。
「うん、たまに見かけるスキルだねぇ。効果は、衝撃が後追いから何回か発動するタイプだね。鍛錬で回数が変わるんじゃないかな?」
ノタは呆気にとられたような顔をしていた。
「どうしたのかね? 嬉しくないのかね」
「嬉しいは嬉しいんですけど、反応的に珍しいスキルかと思って……」
司祭はスキルと書かれていることを紙に書き写しながら、ケラケラと笑う。
「ほっほほ、それは悪かったな」
書き終えると、さっき鑑定した内容を書き写した紙を一枚貰った。
「ありがとうございました」
書き写された紙を大事にカバンの奥に押し込んだ。
「ノタ君はこの後、どちらに向かわれるのですかな」
司祭が板を片付ける作業をしながら聞いてくる。
「この後は、神話迷宮にでも向かおうかと思います」
「神話迷宮、ですか。たしか、古代の人々の歴史を描いた壁画がある観光地ではないですか」
「僕の『知りたい』が、そこにあるかもしれませんから」
何故、世界は一度滅んだのか。その理由が、もしかしたら壁画に描かれているかもしれない。
僕は、まだ世界の真実を知らない。
「あ、少し待っていてください」
司祭は思い出したかのように、何かを取りに板をそのままに裏へ向かった。
一枚の手紙を持って戻ってきた司祭は、僕に手渡す。
「これは……?」
「紹介状です。ここから神話迷宮へ行くのであれば、中間のフラッド神聖国の検問を通ると思います。多少はスムーズに通れると思いますよ」
ノタは紹介状を丁寧にカバンの中にしまった。
「では、行ってきます」
司祭は何も言わず、僕が教会を出るまで手を振っていた。
教会の扉が閉まり、軋む音が鳴る。
僕の旅の始まりを告げるかのように、鳥が教会から飛び立っていく。
僕は、ここから歩みだそう。
何故、世界は一度滅んだのかを知るための、旅の始まりを。
僕は街道に沿い、神話迷宮の手前にあるフラッド神聖国へ向けて歩みを進め始める。
村を出て、しばらく歩いていると、周りの風景が目に飛び込んでくる。
小さな湖や、平原が辺り一面に広がっている。
草木の揺れる音に耳を澄まし、そよ風が疾走しているような感覚に胸が躍る。
街道沿いの次の街で一泊しよう。地図ではこの先はそこそこ大きい街だったはずだ。
自然を全身で浴びながら歩いていると、前から木馬車の音が聞こえてきた。
商人かな? 街道だし、干し魚でも運んでいるのかな。
「――珍しいな、ここらじゃ見かけない」
前からやってきた馬車の荷台には、フラッド神聖国の国旗が刻まれていた。
「やべっ」
何もやましいことはないが、目が釘付けになっていたのか、運転手と目が合ってしまい、咄嗟に目を逸らす。
運転手は怪しい者を見る目付きで、ノタのことを警戒しながら、馬車をノタの方へ進めてくる。




