【第三話】怖いを知る為の旅の始まり
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~童話に隠された“世界の滅び”の真実とは?少年が辿り着く先に待つものとは何か。誰もが知る物語の、誰も知らない謎を追うファンタジー譚、開幕!~
あれから時は流れ、ノタは15歳になっていた。
一人の大人とも呼べる年となったノタは、何故、世界は一度滅んだのかを知る旅に出ることに。
手の平に収まる小さな水晶を見つめる。
「――僕は、この水晶を知っている」
緑のローブに身を包み、バッグを持ったノタの、水晶を持つ手が少し蒸れる。
この村から出てこなかった。村の外には知らない魔物や植物がたくさんある、と思う。
――村の中なら僕が知ることだけ。
村の中にいたら、何故、世界は一度滅んだのかの怖さは、一生拭うことは出来ないだろう。
「僕は、この水晶を知っている」
少しの静寂が玄関の扉を固く閉ざしている。
知らない魔物も、知らない植物よりも、僕は、滅びた理由が知りたい。
ノタが玄関の冷たいドアノブに手をかける。
「――1人で大丈夫かい?」
ノタの母が心配そうにノタの背後から声をかける。
ノタは少し笑うと、ドアノブを握る手が熱くなる。
「大丈夫だよ!母さん。行ってきます」
振り向きざまに、その先の不安なんて知らなそうな声と顔色で送り返す。
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見慣れた土と砂利の道。
玄関を開けたその日の道は、見慣れない輝く道で、僅かなそよ風が頬撫でるようだった。
「まずは、教会でスキルを調べてもらわないとな」
旅の行き先は既に決まっているが、自分に何が出来るのかぐらい知らないとな。
魔物や動物に襲われた時、自分で対処できるようにしないと……。
慣れた道を進み、村の小さな教会へ来ると、ノタは鼓動が少し早くなった。
「司祭さん、いますか?」
教会の扉を少しだけ開き、そっと中に入り、誰かいることを祈りながら声をかける。
「はい、なんの用でしょうか」
最前列の長椅子に座って祈りを捧げていた年寄りの司祭がゆっくりと立ち上がる。
「15歳になったので、その……鑑定をお願いしたくて」
「ノタ君ももうそんな年齢になったんですね。おめでとう。では、裏から道具を持ってきますね」
しばらくすると、司祭は裏から板と1枚の紙を取り出してきた。
「ノタ君は初めてだし、鑑定の方法など説明するかの」
「あ、はい」
司祭は金属製の板を取り出して機器の説明を始める。
「この手形の部分に手をはめることで、その人が持つスキルを鑑定できるの。ノタ君は15歳だから無償で鑑定するかの」
「……え、それだけ?」
ノタは意表を突かれたように立っていた。
「僕が聞いてた話では、精密なもので、色々なことが分かる、と聞いていたんですが……」
「恐らく本教会の機器の話じゃな。あれは多分金がかかるぞ」
ノタはあからさまに表情を落としながらも、板に手を乗せる。
ひんやりとした冷たさが平らな銀色の金属から伝わる。
「久しぶりかのう、これを使うのも」
金属の板が、段々と虹のような青色に変色していく。
変色と同時に、石板に文字が浮かび上がってきた。
そこに書かれていたのは――。




