【第二話】真実を知らない怖さ
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~童話に隠された“世界の滅び”の真実とは?少年が辿り着く先に待つものとは何か。誰もが知る物語の、誰も知らない謎を追うファンタジー譚、開幕!~
続きの場面ですね。ノタの抱える「未知への恐怖」と、モートゥスの不器用な優しさが伝わる重要なシーンですので、その情緒が途切れないよう、視覚的な間を意識して整えました。
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モートゥスがノタを見つめて、少しの静寂が漂う。
「なぁ、ノタ坊。お前さんはなんでそんなに世界がどうやって滅んだか知りたいんだ?」
「え……?」
ノタはまるで虚を突かれたように顔から血が引いていった。
ただの子供の無邪気な好奇心と言われれば、それまでのような、本能的に知りたいだけだったノタは、固まってしまう。
「そのことを知らなくても、生活は出来るしよ、もっと友達と遊んだ方がおじさんは良いと思うな」
「……」
ノタはただ唇を噛み締めるだけだった。
少し水気が増えた唇を押し殺す。
「いいんじゃないか?知らなくても。他にも楽しいことは大量にあるぞ」
そう言いながら腰の巾着袋から、光輝く小さな指輪を出した。
「僕は……怖いことが嫌いだ。誰かが傷つくのも、泣くのも」
ノタは声を震わせながら、静かに静寂を切り裂く。
「みんな、怖いことを分からないって言うんだ、――僕は怖いよ」
モートゥスを引っ張る力が強くなる。
「怖いから知りたいのか?」
「怖いことも、知れば怖くない――から。前、友達と喧嘩したんだ」
モートゥスはただ、ノタの声と心に少しばかり身を寄せた。
「殴られて、怖くて泣いたんだ。でも、その友達が怒っている理由を知って、僕は怖くなくなったんだ。僕はどうして殴られているのか分からないから怖かった。理由を知ってからは、怖くなかったんだ」
少しの塩ぽい香りがノタの頬を伝う。
「それで、怖い滅亡した理由を知りたいのか」
ノタは小さく頷いた。
「神さまが怒ったって、みんな言うけど、どうして怒らせたのか知らないと――」
「――怖いんだな?」
モートゥスがノタの頭に手を置き、優しく問い返す。
「おじさんがお守りをあげよう!怖くなったら、これを思い出すといい、気休めにはなるぞ」
腰の巾着袋から新しく取り出したのは、丸く加工された水晶だった。
「……これは何?」
「水晶って言ってな、鉱石の一種だ。北の大陸の山で取れたもので、希少なんでぜ」
水晶の冷たく、冷やされる感覚が手の平に広がる。
「でも、まだどうして滅――」
「良いか!?、この石を見て思い出すんだ、自分はこの水晶を知っていると。怖いことやものがあったら、水晶をみて思い出せば、多少は怖くなくなる」
ノタの言葉を遮るようにモートゥスがおまじないをノタにかける。
――水晶。……うん、僕はこの石を知っている。
ノタの顔から先程とは違う、天使のような安堵の顔がこぼれる。
「な、大丈夫だろ?これからはその水晶を見ると良い」
モートゥスは立ち上がり、土を払って少年が来た道を行こうとしていた。
「待って!もう行くの!?」
「おう坊主!俺は世界の感動を、神秘を知りてぇんだ。ここの感動はもう見たからよ、別の感動を探しに行くんだ」
「モートゥスおじさん!ありがとう!」
「良いんだよ、これからはノタ!、お前がその真実を探る旅に出る番だぜ!俺にも聞かせてくれよ!その真実ってやつ!」
モートゥスは土と砂利の道の上を少年を背景にしながら、また別の感動を探しに歩み続けた。
少年のノタからいつか、いや、――もうすぐ聞ける世界の真実を予約に入れながら。




