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【第一話】何故、世界は一度滅んだのか

【毎週】火曜日と日曜日【19:30】から配信中!


~童話に隠された“世界の滅び”の真実とは?少年が辿り着く先に待つものとは何か。誰もが知る物語の、誰も知らない謎を追うファンタジー譚、開幕!~

『そして、世界は一度滅びましたとさ』


 ある童話に登場する何の変哲もない一節。


 幼い頃、子守唄代わりに母から聞いた物語で、突然飛び込んでくるこの言葉が昔から頭にこびりついていた。


 「ねぇ、お母さん、なんで世界は無くなっちゃったの?」


 いつもの夜に僕はお母さんにどうしても聞きたいことを言った。


 母は少し口を開いて、童話の本をめくる手を止めた。


 「それはね――きっと、悪いことをしたから神さまが怒ったのよ」


 幼かった僕は妙な納得感で、その夜は聞いたことを鮮明に覚えたまま夜に沈んだ。


---


 その日から村の様々な人に同じことを聞いた。


 「それは、神さまが――」


 司祭も騎士も、誰もが口々に同じことを言う。


 「神さま、か――。みんな同じことしか言わない……」


 心に抱えたモヤモヤを撫でる。

 土と小石を踏む音と涼しい牛の糞の匂いが通り抜ける。


 僕は俯いたまま、家の玄関へ歩みを独りでに進んでいた。


 「よぉ、坊主。大事なおもちゃでも失くしちまったか?」


 帰り道に中年の冒険者のような恰好で、塀によりかかっていた。


 「おじさん誰?」


 「俺はモートゥス、冒険者で、最近帰ってきたんだが、自由すぎて金だけが出てくばかりで……」


 「モートゥスおじさんは暇なの?」


 モートゥスが目線を合わせようと屈む。

 少し酒臭く、土の匂いがした。


 「坊主、おもちゃを失くしたんなら、モートゥスおじさんが探してあげるよ」


 「おもちゃは無くしてない。僕はノタ、6歳だ」


 「ノタ坊は、なんで下向いて歩いてたんだ?」


 僕はモートゥスおじさんに童話のことを打ち明けた。

 どうせ同じことを言われるだろうけど、僕はずっと疑問だったことだ。


 何故、世界は一度滅んだのか?


 「みんな神さまが怒ったから滅んだって言うんだ。ねぇ、どうやって、滅んだの?」


 「……どうやって滅んだ、か」


 「おじさんなら、分かるよね!?」


 ノタは目を輝かせてながら、モートゥスの泳ぐ瞳を見つめる。


 「わりぃな、ノタ。その答えは誰も答えられねぇ」


 「どうして!みんなどうやって滅んだか教えてくれないの?!」


 今にも泣きそうな顔でモートゥスの薄汚れた服を引っ張る。


 「本当の所は誰にも分からないんだ、何故、世界は一度滅んだのか」


 「……分からない?」


 モートゥスがノタの両肩をしっかりと掴む。

 優しくも強い力で掴んだその手は少し冷たかった。


 モートゥスが視線を落とす。


 「その童話は本当に起きたこと書いているが、どうやって、いつ、滅んだのか分からないんだ。誰も調べてないんだ」


 「なら――僕が、見つける」


 誰も知っている童話の知らないこと。

 何故、世界は一度滅んだのか。


 分からないなら、僕がどうやって滅んだのか見つける!


---


 それが、暴いてはいけない世界の真実への一歩だとは、この時の僕は、知らなかった。

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