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【第五話】恐怖を知るのか、理由を知るのか

【毎週】火曜日と日曜日【19:30】から配信中!


~童話に隠された“世界の滅び”の真実とは?少年が辿り着く先に待つものとは何か。誰もが知る物語の、誰も知らない謎を追うファンタジー譚、開幕!~

聖教会の馬車が街道をトコトコと進んでくる。


僕は無視して、横切ろうとした時だった。


「ぐぁあああああ!」


なんだ!?


聖教会の馬車から、絶叫と焦げた油の匂いが何の音もなく立ち込めた。

 反射的に馬車の方に顔を向けると、馬車が炎に包まれていた。


火を纏う騎士が躍るように地面に体を擦り付けている。


「なんで……どうして」


ノタは冷汗を流し、鳥肌が立つ。


「僕は……この水晶を知っている」


ローブの内ポケットにしまっていた水晶を強く握りしめて、震える声色で唱える。


ここに火の気配は何もなかった。突然燃えたんだ。


「――知らないと」


ノタは小声で呟くと、地面を踏み抜く勢いで馬車へ走る。


体が熱い!


ノタに火の粉が降りかかる。

 ノタは炎を手で掴みながら、焼け落ちる荷台に後方から飛び乗った。


「――誰だ?」


鉄の焼ける音がする荷台で、焦げる肉の匂いを嗅ぐ黒いローブを着た誰かが立っていた。


「何処の誰か知らないが、俺は今、実験してるんだ。この騎士が燃えカスになるまでは待ってくれるかな?」


ノタは遺体に目を向ける。荷台に乗っていたのは、三人。

 こいつがやったなら、炎の魔術かスキルを使うのか?


「お前、何をしたんだ!」


ノタは燃え移るローブを気にせず、黒いローブの奴の肩をしっかりと掴む。


「なっ、!」


目を見開き、驚いた表情をしたのちに、ノタの腕を振りほどく。


「熱!」


ノタが振りほどかれた勢いで荷台に尻を突く。炎が瞬く間にノタへ迫る。


ノタが黒いローブの奴の方を見ると、手には石のようなものを持っていた。


「それが、原因か!」


ノタは吹っ切れたような、乾いた笑顔を薄く浮かべる。


ノタは燃えている荷台の破片をちぎり取り、黒いローブの奴へ投げる。

 軽く背中に当たるだけで、有効打にはならない。


――ダメか。


ノタは荷台から飛び降り、近くの小さな湖に飛び込んだ。


湖の水面へ上がると、馬車は未だ、盛んに燃えていた。


突然馬車が燃えた理由は、あの黒いローブの奴が石で燃やしたのだろう。

 燃える石……思い当たるのは魔石だ。


陸へ上がり、濡れた顔を冷たいローブで拭う。

 実験とか言ってな……。


しばらくして、火の勢いも弱まり、馬車のほとんどが燃え、炭の匂いが漂い始める。


「何か分かるかもしれない」


ノタは馬車の残骸へ足を踏み入れると、燃えた遺体などを見て、触っていった。


「この騎士達……全員、喉の方が焼けている。内側から燃えたのか?」


あの魔石は、もしかして、人体の内側から燃やす魔石なのか?

 それなら、水をあらかじめ飲んだりすれば対策にはなりそうだ。


「はぁ――怖かった」


魔石に注意すれば、もう大丈夫だな。村の外は危険が多いな。


火傷もしているし、早く次の街へ行こう。この人たちのことも、次の街で知らせないと……。


「俺としては無視したいんだけど、同業者だと困るな」


黒いローブの奴が、近くの林の中から影を潜め、覗き見ていた。


「まだバレる訳にはいかないんだよな、人体発火のことについて……」


そう言い残して、林の闇の中へ溶け込んでいった。

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