【第十四話】知らない遺跡、真実はさらなる深淵へ
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~童話に隠された“世界の滅び”の真実とは?少年が辿り着く先に待つものとは何か。誰もが知る物語の、誰も知らない謎を追うファンタジー譚、開幕!~
「僕が、ゾイマーを救った?」
ノタの顔が若干引きつる。
「神話迷宮まで、馬車の中で話しましょうぜ」
ゾイマーはまるで決まっているかのように、馬車の店へ入っていく。
ノタはローブを被ろうとして、手をかける。
……ゾイマーは僕に恩返しをしたいのか? それとも何か別の、本当の理由があるのか。
ノタはローブから手を放し、水晶のネックレスを軽くなぞった。
「ノタの兄さん、準備できましたぜ」
運転手を連れて、ゾイマーが店から出てきた。
「さぁ、行きますよ! 神話迷宮へ」
ノタ以上に乗り気なゾイマーが、馬車の荷台に乗り込む。
ゾイマーは、後から乗るノタに向けて手を伸ばした。
「……あれ?」
その手を無視し、ノタは自分の手で荷台に乗り込んだ。
馬が鳴き、馬車が動き出す。
先に口を開いたのは、ゾイマーの方だった。
「あっしは、ノタの兄さんに救われました。あの邪魔で忌々しい仲間をぶん殴ってくれましたから」
ノタの額に冷たい風が吹きつける。
ノタは暖めるかのように、水晶を片手で包んだ。
「まさか――あの黒いローブのやつの!?」
ゾイマーは不敵な笑みを浮かべ、頬を赤らめて、低い声色で言う。
「えぇ、そいつです」
ノタは立ち上がり、ゾイマーの方に視線を向けた。
「仲間と言っても、同業者、ですけどね」
ノタはバッグから水筒を取り出し、少し乾いていた喉を潤す。
「お前も、僕を殺す気なのか!」
ノタが険しい表情を浮かべながら、ゾイマーに向かって怒鳴る。
「なるほど。喉を湿らせることで魔石の発火を防いでいたんですね、ノタの兄さん」
ゾイマーは飄々とした、よく分からない態度で大きく頷く。
「質問に答えろ、ゾイマー!」
ノタは水晶を強く握る。
「殺すなんて……あっしは恩人は殺さないですし、なにより恩返しがしたいんですよ」
ノタは深呼吸し、ゆっくりと座った。
「ゾイマー、お前たちは何者なんだ?」
冷や汗が垂れ、ローブが少し濡れる。
「あっしらは、世界の真実を追い求める。あるいは、魔法の禁忌へと手を伸ばす。組織の名を――」
ゾイマーが言葉を溜める。
「黒教会、と」
ノタは前のめりになり、鼓動が早くなっていた。




