【第十二話】繋がる謎は昔の糸へと羽化する
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~童話に隠された“世界の滅び”の真実とは?少年が辿り着く先に待つものとは何か。誰もが知る物語の、誰も知らない謎を追うファンタジー譚、開幕!~
「お前は誰だ?」
ノタはカバンに手を突っ込みながら、自分の財布を確認する。
「あっし、ゾイマーというもんで、冒険者をやっているんですわ」
ゾイマーは財布を僕に突き付けながら、自己紹介を意気揚々とする。
「……」
僕はカバンになかった財布を、その男から黙って受け取った。
中を確認すると、案の定いくらか抜かれている。
そう、スリである。
「盗んだのか?」
「いえいえ、あっしは拾っただけですぜ」
ノタはその場で踵を返し、アインヘル中央諸国の検問所へ向かう。
「ちょ、あっしも連れていってくださいよ」
ノタは一瞬目線を向け、少し早歩きで検問所に入る。
「身分証などはありますか?」
検問所の職員に、司祭から貰った手紙を渡す。
職員は疑念の目をしながら、手紙を黙って広げ、中身を読み始める。
「ん、問題ないよ」
職員は手紙にハンコを押し、手紙を返してきた。
僕は軽い会釈をして、手紙を受け取った。
検問所を通ると、高い天井と、豪華な装飾を施された屋敷のような空間が広がっていた。
「うおぉ」
天井から吊るされているシャンデリアに目を奪われながら、僕は水晶に手をかける。
「おや、シャンデリアを初めて見るんですか? ノタのお兄さん」
前に飛びながら、空中で振り返る。
「お前は――さっきの!」
そこに立っていたのは、ゾイマーという男だった。
「あ、お名前は先ほどの手紙を見た時に、つい目に入ってしまって」
こいつ……。ゾイマーを『知らなければ』!
冷や汗が頬を伝い、水晶を掴む力が増す。
「それよりノタの兄さん、あそこの換金所でスートを変えましょうよ。アインヘル中央諸国では使えませんぜ」
ノタの鋭利な目線がゾイマーを刺す。
「あ、ノタの兄さんはこの国初めてだと思ったんで」
ゾイマーは陽気で、ヘラヘラとした態度でノタの視線を無視する。
「――僕は、水晶を知っている」
ノタは、小声で誰にも聞こえないぐらいに呟いた。
「ゾイマー、僕と一緒に行動してくれないか?」
ゾイマーは口角を上げ、頬を赤らめる。
「このあっし、怠惰のゾイマーがお友達になりますとも!」




