【第十話】進む道に危険つき、報酬あり
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~童話に隠された“世界の滅び”の真実とは?少年が辿り着く先に待つものとは何か。誰もが知る物語の、誰も知らない謎を追うファンタジー譚、開幕!~
ノタが恐る恐る口を開く。
「封印石って……なんだ? 水晶とは違うのか?」
震える口元とは裏腹に、その声は張り上げていた。
店主は水晶らしきものを、ノタの前にゆっくりと置く。
「封印石ってのは、簡単に言えば石に魔力を溜められる石なんだ」
「それだけ……か?」
「あぁ」
店主は小さく頷いた。
封印石、とやらは何故、魔石や水晶とは別次元だという話をしたんだ?
魔石だって、魔力を溜め込んでいる石のはずだ。
「封印石と魔石、何が違うんだ? 僕の水晶は何なんだ?」
店主が少し水晶らしき石を見つめ、つっかえながら話し始めた。
「魔石と封印石、どちらも魔力を溜め込めることには変わりない。違うのが、魔力を取り出す方法が全く存在しないことだ」
店主は呆れたような、どこか諦めているような表情で、封印石を見つめる。
「だが、僕の水晶は光っている。これは魔力が出ているのではないのか?」
「――さぁな。何かを指し示しているようにも見えなくない光だが、私としては満杯に近い状態だから光っていると思うかな」
ノタは水晶の輝きを瞳に取り込み、手を握ろうとするが、すぐに脱力してしまった。
「……満杯になると、どうなるんだ?」
店主は左目の宝石を異常に触りながら答える。
「分からない……まだ誰も、その上限を知らない」
また――分からないのかよ!
僕は、また分からない。世界の誰も、真実を知らないものを……。
ノタの握る手から、血が滴り落ちる。
「この封印石のことが知られれば、欲しがる人間は大量にいるわ。これからは『水晶』で押し通すことね」
ノタは水晶らしきものを受け取り、カバンの中へ押し込んだ。
「ありがとうございました」
ノタは来た道をゆっくりと、街の灯りを背に帰路へ戻る。
ノタはそのまま宿へ帰ると、カバンの底から水晶らしきものを取り出した。
それを持つ手はかすかに震えていた。
「僕は、――この水晶を知っている」
ノタは机の上に水晶を置くと、釘で穴を開け、一本の紐を通した。
水晶のネックレスを、首から下げる。
「僕は、この水晶を知らない」
ノタはネックレスの水晶を掴む。
「だけど、これまでの水晶は知っている。だから僕は、これからも恐怖を知る旅を続ける」
――その恐怖を抱いたままでも。
かすかに輝きを放っていた水晶は、また静かに無灯に静まった。




