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迷子のお知らせ①

キラキラと光っている。それは夕日に照らされているからだろうか、それとも遊園地のネオンの光が目に入ってきたせいなのか。道ゆく人々を見るたびに目を閉ざしたくなり、それと同時に胸焼けするような感覚に陥ってしまう。太陽が沈めば沈むほど、遊園地は灯りを灯そうと躍起になり、日中にあった日陰でさえも光で覆ってしまう。気持ちの悪い冷や汗をかく。色々な人の笑い声が脳を揺らし、吐き気を催す。「やばい、吐きそう...トイレは...えーと...」そのときだった。どんなはしゃぎ声よりもクリアに聞こえる声があることに気づく。「泣き声...」啜り泣く程度の小さな声。ライトアップに当たらない位置で6歳ぐらいの男の子がうずくまっているのを発見する。自分でも何故見つけられたのかわからない。ただ、理由をつけるとすれば、光が当たらない場所を、楽しんでいない人を、助けを求めている人を探していたから、そんな気がする。

「君、どうしたの?大丈夫?」

男の子は下を向いたままふるふると弱々しく首を横にふる。そんな姿をみて口が反射的に動いてしまう。

「お父さんとはぐれたの?」

男の子はパッと頭を上げ、小さく頷く。

「どうしてわかったの?」

そう聞かれると何故自分がお父さんだと言ったのかわからなくなる。だが何も言わないのはこの子を不安がらせる。だから精一杯の言い訳を考え口にする。

「自分も小さいときお父さんとはぐれちゃって、そのときの行動が君と似てたからかな。とりあえずここにいてもしょうがないし、迷子の子のアナウンスをして貰お?」

こちらが手を差し出すと恐る恐る手を握り返して、ゆっくりと立ち上がる。前を向くと先ほどまで歪んでいた景色はどこかクリアで、遊園地の景色や客の声も心地よいものに思える。吐き気もいつの待つやら消え去っていて、何に怯えていたのかさえもわからない。

そんなことを考えていると男の子はぎゅっと手を握りしめてきた。目には涙を浮かべていて、遊園地には似合わない顔つきをしている。

「僕、またパパに会えるかな?もう会えないのかなぁ...」

「...大丈夫だよ。君のお父さんはきっと今、君のことを必死で探している。君も、君のお父さんもまた会うことを望んでいるはずだから。きっとまた出会える。」

男の子は小さく「うん」と呟く。そう。絶対に大丈夫。絶対に見捨てられないから...。

人混みを通り抜けとうとう目的地に辿り着く。インフォメーションと書かれているところに座ったお姉さんに声をかけ、迷子の子がいることを伝える。お姉さんは窓口から名前と誰と来たかを質問する。そのときに彼の名前は木戸洋輔だと知った。苗字が同じこともまたシンパシーを感じたところなのだろうか?そうこう考えてるとお姉さんの声が園内に鳴り響く。

「ピーンポーンパーンポーン。迷子のお知らせです。迷子のお知らせです。木戸洋輔君、木戸洋輔君のお父さん。至急案内所までお越しください。繰り返します。迷子の...」

.....?

あれ、なんだ、これ?足が震える。怖い。怖い。どうして?わからない。近づいてくる。何が?さっき感じていた気持ちの悪いものがより濃いものに変わっていく。逃げないと。離れないと。遊園地のネオンの光が目に飛び込む。嫌だ、みたくない。客の笑い声。聞きたくない。ここに居たらきっと...

「洋輔ー!」

「あっ!パパー!」

「洋輔君、この人がお父さん?」

「うん!」

「ほんとにすいません!私が目を離してしまったばっかりに。洋輔。よく一人で頑張ったな。」

「ううん、あそこの探偵姿のお兄ちゃんが居てくれたの!」

...伊藤の言う通り、この服は闇に紛れるのには向いてないのかもなぁ。変装って思い切って女装くらいしないとダメなのかもなぁ。星羅、バカにしてごめん。でもよかった。やっぱり父さんは自分の子が怖がってるとき、不安なとき、そばに駆け寄ってくれる。そう、今だって。そうだよね...ねぇ...

「父...さん...?」


次回 照明OK!ナイトメアペイン。

「第一演目。木戸雄馬ナイトメアペイン。」

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