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家族愛...?①

夜風が吹き抜ける公園の中、二人はその近くにある池を散歩している。砂利の道を着実に踏み込んで歩き、アテのない二人だけの旅が続いていく。ふと、歩いた先にちょうど二人用のベンチが空いていることに気づく。そこに座るよう手招きをして、ベンチに腰をかけた後、彼女の瞳をまっすぐ見据えて話しかける。

「今日はありがとう。劇のこと、それとちょっとした散歩に付き合ってくれて。」

「構わないわよ。あなたにとってのこの一週間は、まさに激動って感じだったから。こうやってゆっくりできるのはいいことだわ。」

池の水面がゆらゆらと揺れて、微かに水がせめぎ合う音が聞こえる。心地よい夜の空気に、甘い感情がトロトロと音を立てて溶けていく。そうだ、聞いておきたいことがあったんだった。なぜ彼女は、自分のためにここまでしてくれたのか。ただ優しいから。それだけではここまでやってくれない。というか、そんなことを毎回やっているなら、それはそれで心配だ。その質問をすると、彼女は「そうね...」と一度間をおいてから口を開く。

「最初、あなたが遊園地で寂しそうにしていた時、私はあなたに優と真の面影を感じたの。」

「二人の面影?」

その答えに戸惑う。自分はあの時、一切伊藤家のことを知らなかったし、一緖に暮らして、あんまり似ている感じもしなかったから。それでも、姉としてあの子達と人生を連れ添ってきたのなら、きっと間違いないのだろうと納得する。

「私、お姉ちゃんだもの。そういうのを感じて、ただ黙ってるほど落ちぶれちゃいないわ。...ただ、あなたには、きっとそれ以外のものも感じていた。」

少し顔を俯かせて、足の砂利を軽く蹴飛ばす。月明かりが差した彼女の顔はどこか不安そうで、何か自分がやらかしてしまったのかと心配しながら、次の言葉を待つ。

「あなたが、あなたの親と決別したことを知って、私も怖くなっちゃったの。家族と別れる日がくるんじゃないかって、仲直りできない喧嘩とかをしちゃって、もう姉として生きてきた私が、どこにも存在できなくなるんじゃないかって。そんなの、考え出したらキリがないのはわかってる。でも、私にとっての家族は、私の生きてきた証そのもの。なぜだかそれを、永遠に続くものだと思っていたの。あなたの話を聞くまでは。」

そこで一度言葉を区切り、こちらの顔をまじまじと見る。俺の彼女に対する印象は、ここ一週間で色々と変わっていった。最初はただの友達。そこから世話焼きなお姉さんの一面を見つけて、頼り甲斐のある立派な姉。それが今の印象だ。ただ今は、その姉としての存在が脅かされた未来に震えた、小さな一人の少女に見えた。

「だから、私には欲しかったの。家族がいなくなって傷心したとき、私のそばにいてくれる人が。もう一度言うけれど、私、お姉ちゃんなの。だから、変なところで強がったり、隠したりする。人任せになっちゃうけれど、それを察してくれて、寄り添ってくれる人が欲しかった。だから、あなた。」

光を反射した瞳はキラキラと光っていて、その輝きは、池の水面よりも、月明かりよりも、更に美しいと思えた。家族がいない悲しさ。それを俺は理解できているつもりだし、寄り添ってあげるなら、確かに俺が適任かもしれない。でも、それじゃダメだと思った。あの子達が愛姉の生活から消えてしまうことは、きっと愛姉にとって、そして俺にとっても苦しいことだから。もう二度と家族を離れ離れにはさせない。それが俺のできる恩返しであり、伊藤家の長男としての役割だと思ったから。

「愛姉。確かに俺はその辛さを知ってる。だから察して、寄り添ってあげることもできると思う。でも、俺は家族が離れ離れになるのは嫌。だから長男として、お姉ちゃんのサポートをさせて欲しい。俺だってもうお兄ちゃんなんだから、一緒に家族を守らせて欲しい。」

それに、言葉には出さなかったけど、俺自身、まだ愛姉に一人の男として隣に立つにはまだ相応しくないと思っていた。だから、一旦この気持ちは封印。兄としての責務を立派に果たして、その後に気持ちを伝える。たった今、人生の地図に新しい目的的が記された感じがする。当然こんなことは恥ずかしくて愛姉には言えるわけがないのだが...。どうやら姉に似て、弟も強がりで隠したがりらしい。

「長男として...ね...。...全く、何が察して寄り添ってあげれるよ。ばか。」

「ええ!?なんでいきなり馬鹿って言われたの!?」

「うっさいわね!ずっと気にしてる私がばかみたいじゃない!」

「んん??ど...どっちも馬鹿ってこと?」

「もういいわよ!この話はもうやめ!」

勢いよくベンチから降りて伸びをした後、こちらを振り向き、いつもの笑顔で微笑みかける。その笑顔は我が最高の姉として、そして一番大切な人のものとして目に焼きつく。

「ほら、長男として私のそばにいてくれるんでしょ?なら、家までの帰り道。精々頑張って着いてきなさい!」

「...おっけー!行きます。漆黒の韋駄天!」

夜を振り切り、家までの道を全力で走り切る。家に着くころには息も絶え絶え。

二人の顔は赤く染まって、心臓が脈打っていた。

作者のあまりんごです。まず改めてここまで見てくれてありがとうございます!予告していた通り(一話多く使っちゃったけど)これで木戸雄馬のナイトメアペインを終了します。ここまでお付き合いくださり感謝!次は誰をやるかも決めてあるので、あとは劇の構想を考えたら本編進行とさせていきます。次の子もまあまあ重めにする予定なので、日常回を3〜4話くらいやって箸休めする予定です。最後に、今後とも「照明OK!ナイトメアペイン」をよろしくお願いします!

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