第61話
俺が黙っていると、梛ノ宮愛里はポケットから携帯を取り出し、操作してから耳に当てた。
「もしもし……」
「おい、待て!さすがにそれはシャレにならない!」
「安心してください……救急車ですよ」
「安心できねえよ!お前、さり気なく人を頭がおかしい認定すんなよ!」
「じゃあ、さっきの不審な行動についての説明を。簡潔かつ丁寧に」
さらっと難易度高いこと言うな、こいつ。
いや、待て。誠意を持って話せば何とかなるかも。それに、疚しい事など何も無い。
俺は声を顰め、彼女の言うとおりに簡潔かつ丁寧に事実を告げた。
「…………る」
「はい?何ですか?」
「実は……幽霊に取り憑かれている」
「あ、もしもし……そうです、はい。私が合図を出したら遠慮なく撃ち抜いてください」
「どこと連絡取ってんの!?今すぐ中止してくれ!」
「……仕方ありませんね。もしもし、正気に戻りましたから大丈夫ですよ」
いや、冗談だってわかってるけどね?
……本当に冗談だよな?
一応辺りを見回してみるが、何もない……と思う。
「それより……今日もお邪魔していいですか?食材はうちから持ってきますので」
「……俺は別に構わんが、どうした?」
「いえ、その……新藤家の爛れそうな人間関係が気になって……」
「…………」
さて、今日はどう誤魔化そうか。
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