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第62話
「ただいま」
「ただいまですー」
「お前はタラちゃんかよ」
「何ですか。『ちゃ~ん』とか『バ~ブ~』の方がよかったですか?」
「いや、そういう問題じゃなく……てか、ただいまって……」
「ふふふ、残念ながら新藤家の二階の一部屋は既に占拠しました」
「ほう……ちなみにどんな部屋だ」
「やたらでかい本棚がある部屋です」
「俺の部屋じゃねえか!どんだけ傍若無人なんだよ、お前は」
「冗談に決まってるじゃないですか。あなたの部屋なんて何が隠されているかわかったもんじゃありませんし」
「余計なお世話だ」
梛ノ宮愛理は自宅から持ってきた食材を冷蔵庫に入れ、ソファーに腰かけた。
一応客ではあるので、俺は仕方なしにコップに麦茶を注ぎ、彼女に渡す。
「あ、ありがとうございます…………むむっ」
「どうしたんだよ。そんなに麦茶が珍しいか?」
「いえ、睡眠薬とか入ってないかと……」
「はいはい、そういうのはもう飽きたから。ほら、ミルクいるか?」
「いやいや、なによりさりげなく変な味にしようとしてんですか。それより、気になることがあるのですが……」
「何だよ」
「学校で月乃さんが、『兄さん、帰ったら消す』って呟いていたのですが、何かあったんですか?」
「…………」
あれ、もしかしてばれた?




