第59話
「ふむ、最初にしてはいい仕上がりか」
「そうね」
「…………」
どこか自己満足のある響きだが、まあ学生の即席バンドなんてそんなもんかもしれない。俺も程々に自分を納得させ、帰り支度を済ませる。
特に持って帰るもののないまーちゃん(仮)が、一足先に扉に手をかけた。
「それじゃあ私は帰るわ」
「お疲れー」
「新藤君、ついてこないでね」
「さらっとストーカー認定かよ。安心しろ、お前に性的魅力は欠片も感じていない」
「あらやだ。風でスカートが」
「っ!」
「与、落ち着け。獲物を狙うハンターの目になっているぞ」
「……おい、コラ。思春期男子の純真無垢な魂を汚そうとしてんじゃねえよ」
「思春期男子の魂なんて勝手に汚れていくものよ。今のはそれが表面化しただけ。あなたの魂は最早手後れなくらいに汚れているわ」
「ふざけろ。俺をその辺の思春期男子と一緒にするな。俺の魂の清らかさときたら……」
「あらあら、その辺の思春期男子と一緒にするな。なんて……中二病も煩っているのかしら?救い難いわ」
「お前はとことん俺を変態扱いしなきゃ気が済まねえのかよ!」
何だこの女。しまいにゃ靴にガムの銀紙でも捨ててやろうか。うん、弱気すぎるぞ俺。
「ふふっ、また明日ね」
何故かやたらと機嫌良さそうにクソ女が去って行った。気がつけば、先輩も既に帰り支度を整えている。
先輩はいつもの調子で、こちらの肩に手を置き、無駄に真剣な顔に真剣な声で例の件の手伝い頼んできた。
「与、今から……」
「行きません」
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