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さらば変人!  作者: 差等キダイ
59/63

第58話

「…………」

「おい!……あれ?」

「…………」

「おわっ!俺……女になってやがる!!」

「…………」

「見ろよ、これ!このデカいオッパイ!お前の姉ちゃんより凄えぞ!」

「…………」

「与?おい……」


 *******


「それで、次は女体化したと……」

「面白い変化ね……」

「…………」

「「…………」」


 放課後の部室。

 本来ならば、すぐにでも練習に入るべきなのだろうが、今はこの現状を二人に話したかった。

 沈黙が訪れた部室に、グラウンドから野球部やサッカー部のかけ声がやけに大きく聞こえてくる。

 ちなみにオッサ……オッサンはドヤ顔で浮いている。やはりまだ女性と見るには抵抗がある。

 二人はしばし瞑目し、部室内を緊張で満たした後、何も言わないまま立ち上がった。


「さて、練習を始めるか」

「そうね」

「おいいぃぃぃぃぃっ!?」

「どうした、与」

「どうしたじゃないですよ!どうにもできないのはわかってますけど、いよいよコイツといるのが嫌になったんですけど!」

「さすがにこのオッパイは童貞には……」

「シャラップ!腐れビッチ!」

「まあ、慣れる事だな。それに慣れれば天国かも……」

「ならないですよ!だってさっきまでオッサンだった奴ですよ!?むしろ変なもんが目について、気まずいだけですよ!」


 俺のやり場のない叫びに対し、先輩は「ふぅ……」と溜息を吐き、肩に手を置いてきた。そして、窓から射し込む夕陽の赤い光で眼鏡の縁を輝かせながら、厳かに告げた。


「与、それはな…………恋だ」

「違うわ!!」

「まあ、今は練習に集中しよう」

「…………」


 とりあえずセッションが始まったが、予定通りに俺がもたつき、初めてのセッションらしくグダグダ感満載の、それでいて妙に心地よい爆音まみれの時間となった。


 読んでいただき、ありがとうございます!

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