第51話
「お前……この後どうすんだよ」
「……さあな」
「しかし、お前にあんな趣味があるとは……」
「ねえよ」
オッサンに気の利いたツッコミを返す体力もなく、ベッドの上にだらりと寝転がる。白い天井がいつもよりのっぺりして見えるのは、疲れのせいだろうか、なんて考えながら、さっきの出来事について考え……たくねえ!何、このしょうもない悩み!?俺だってヒロイン完全攻略前のギャルゲー主人公みたいな悩みが欲しいよ!何だよ!出所不明のエキサイト本って!
「まあ、あれだ……ドンマイ」
「幽霊に慰められた……」
その日の夕飯……
「あ、灯さん。このお味噌汁、美味しいですー」
「そう?ありがとう!」
「この肉じゃがも美味しいですー」
「ふふっ、嬉しいなぁ♪でも、どうしてさっきから語尾をタラちゃんみたいに伸ばしてるの?」
「何でもないですー。あの、灯さん……」
「何かな?」
「恋愛は自由ですー。私は応援してますよー」
「ぶはぁっ!」
梛ノ宮愛里の言葉に思いきり吹き出してしまう。背筋をぶわっと汗が吹き出したような感覚がした。いきなり何を言いやがる、このガキは。
「えっ?ど、どうしたの!?いきなり……」
「いえいえ、言葉通りの意味ですー」
「全くわかんないよ!?」
案の定、あたふたし出した義姉さんは、こちらをチラ見した後、首をぶんぶん振った。
「い、今はそういうのはいいよ!」
「…………」
一生懸命に否定する義姉さんに対して、月乃がやけに鋭い視線を向けているのが気になるが、まずはこのあんぽんたんを止めよう。
「あいりん、その辺にしとけ。義姉さんが肉じゃがにソースかけだしてるから」
「誰があいりんですか!あだ名は止めてください!」
「いや、愛里は嫌だって言うから」
「それは無難に名字で呼んでくださいって意味ですよ!」
「あ、醤油取って」
「無視しやがりましたね!」
梛ノ宮愛里とギャーギャー言い合っていると、もう一つの爆弾が起動しようとしていた。
「つ、月乃ちゃん……」
「何?」
「ねえ、あの男性俳優二人……いい感じじゃない?」
「……最近、人気みたいね」
「違うよ、そういう意味じゃなくて……」
「?」
「あの二人……付き合ってたり、しないかなあ?」
「…………」
「あれ?月乃ちゃん、何で席を離すの?何で冷たい目を向けるの?」
「…………」
後で義姉さんには注意しておこう。
……俺が原因なんだけど。
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