第34話
少し遅れました!
それでは今回もよろしくお願いします。
「…………ん?」
ぼんやりと瞼を開けると、いつの間にか寝落ちしていた事に気づく。カーテンの隙間からは朝の陽射しが射し込み、開かれた瞳を刺激した。
二度寝をしたい気分だが、観念して起き上がると、そこには何ともいえない違和感があった。
…………いない?
そう。オッサンがいつの間にか消えてなくなっていた。天井をふわふわ漂っていた陽気な幽霊は、俺の目の前から完全に姿を消していた。光にちらちらと舞う埃が、その儚い幽体の残滓のように思えた。
……いなくなってみると、案外寂しいもんだな。
「おっは~!」
「ちぃっ!!!!」
やはり人生はそう甘くはなかった。
ベッドの下から、うざったい金髪とオタクファッションのオッサンが、するりと這い出てきた。
「……服なんて持ってたのかよ」
「いや、念じたら少しだけ変わるようになった」
「うわぁ…」
止めろよ。変な能力身につけんなよ。この状態が長引きそうで恐ろしいわ。
「そう嫌そうな顔すんなよ。こちとら、ゼロから始まる幽霊生活に少しずつ慣れてきてんだからよ」
「お前にそんなシリアス要素はない」
殆ど不埒な行いしかしてないだろうが。
てか、こっちもゼロから始まる幽霊憑き生活に慣れ始めていて嫌すぎる。
募る不安を追い払うように頭をかき、顔を洗いに部屋を出た。
朝食の席に着くと、月乃はいつも通り既に家を出ていて、義姉さんは俺を待ってくれていた。
「おはよう、弟君」
「おはよう」
「う~っす」
「遅いのですね。高校生の癖にだらしないです」
「はいはい…………は?」
見覚えのある姿。聞き覚えのある声。
何度か瞬きして確認してしまった。
なんと、昨日出会った暴力女子中学生・梛ノ宮愛里が、テーブルについて、朝食を摂っていた。
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