第30話
Aqoursの新曲が中々手に入らない……。
「きゃあああああーーーーーっ!」
「おおぅ!」
「きゃっ!」
突然悲鳴をあげる先生に、俺と義姉さんは驚き、後退る。ドームには穴も空いているので、それほど音の反響はないが、この至近距離ではどちらにしろやかましい。
先生はそのまま蹲り、またさっきのように、ブツブツと独り言を呟き出す。
「どうしようどうしようどうしようどうしよう……生徒にあんな恥ずかしい姿を……」
俺は先生に羞恥心という感情が残っている事に感心しながら、なるべく何もなかった風を装った優しい声で話しかける。気分は爆弾処理班である。
「先生……フラれたんですか?」
「言わないで~~~~!!!!」
処理失敗。
「弟君!ダメだよ、そんな事言っちゃ」
義姉さんからお叱りを受ける。
くっ、何処で選択肢を間違えたというのか……。いや、まだやり直せるはずだ。
俺は脳細胞をやんわりとフル回転させ、今日の晩御飯のおかずはなんだろうな、なんて考えながら、誠心誠意慰めの言葉をかけた。
「いつかいい人に出会えますよ。明日にでも」
「嘘だぁ!今、晩御飯のおかずの事考えてた!!」
先生はどうやら読心術が使えるらしい。俺の周りにまた一人、超人が増えた。
「弟君!もう私に任せて!」
義姉さんが俺をどかし、足元を確かめながら先生に近寄る。靴が足元の砂をザラザラと転がす音がやけに大きく聞こえ、今何時だろうと考えてしまった。しかし、確かめたりはしなかった。
義姉さんは相手を気遣う優しい声音で話しかける。
「あの、今回は縁が切れちゃったかもしれませんけど、あまり気に病まないでください。次に素敵な人に出会う為のスペースを空けたと思えば……」
「うっ、ぐすっ……ありがどぉ~~っ!」
先生は義姉さんが言い終える前に、涙を拭う事もなく抱きついた。……あれ?俺の時と何が違ったというのだろう。やはり女性同士にしかわからない何かがあるのだろうか。これが女の連帯感なのか。
「はあ、とりあえず……そろそろ出ませんか?」
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