第28話
最近、作詞の方も始めました!
間違いない。あれは梛ノ宮先生だ。
先生、この辺に住んでいたのか。知らなかった。当たり前か。
しかし、声は聞こえてくるが、何を言っているのか、いまいち判然としない。まあ、聞き耳を立てるのも悪趣味なので、立ち去るまで待っておいた方がいい。と言いつつやはり気になるんだけど。
「弟君、知り合い?」
「うちのクラスの担任」
いつの間にか、義姉さんが密着していて、背中に意外なくらい豊満な膨らみが押しつけられる。体中に緊張感が走り、鼓動が高鳴り、頭の中に二つの考えが思い浮かぶ。
・心頭滅却
・後ろ向きに少し力を入れ、感触を楽しむ
おっといけない。ついつい脳内選択肢が出てしまった。俺の脳内選択肢が全力で家庭内平和を崩壊させようとしている。そうならないよう、俺は心頭滅却し、先生の方に注目した。
「ふぅん、結構綺麗な先生なんだね」
「え、この距離と暗さで見えんの?」
「私、視力が4.0だから」
「何、その超人設定……一緒に暮らし始めて1年経つのに、始めて知ったんですけど」
「ちなみに私くらいになれば、月乃ちゃんがパットを使っている事くらい、すぐにわかるよ」
「マジで!?あいつ中学生の癖にパットとか使ってんの!?」
唐突に家族の秘密を二つも知ってしまった。
月乃…………どう弄ってやろうか。目の前でパットしてグッドして、とか歌ってやろうか。うん、絶対に殺される。
くだらない事を考えていると、オッサンがふわりと目の前に現れた。
「よし、俺があの二人の話を聞いてきてやるよ」
「頼む」
「え、何?どうしたの?」
しまった。ごまかさないと。
「た、頼む……月乃のパットを……俺にくれ」
「何言ってるの!?」
言葉のチョイスを間違えた。
「義姉さん、コスプレすごく似合ってるよ」
「今さら!?しかも、話逸らすの下手すぎるよ!」
「いや~それほどでも~」
「褒めてない。って何このベタなやり取り!」
何とか誤魔化し終えると、オッサンが戻ってきた。その顔にはさっきとは打って変わって、疲れが見える。
目で促すと、オッサンは語り出した。
「なんか痴話喧嘩みたいらなんだが……女の重すぎる言葉に、男が心にベダンとグラビガかけられたみたいな表情してた……」
「…………」
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