第27話
あと少しで30話!!
俺と義姉さんは、この前の小さな公園に来ていた。どちらが言い出すでもなく、他愛ない話をしていたら、自然と到着してしまった。歩いている内に、街にはもうすっかり夜の帳が降りてきて、空には星が散らばっていた。
背後で「スターフィッシュ!」などとほざきながら漂うオッサンがいなければ、本当にいい雰囲気だった気がする。ちくしょう……コバッチィ未満の癖に……。
「弟君、こっちこっち!」
義姉さんはこの前の小さなドームの中から、小動物みたいにひょっこり顔を出していた。
「な、何故?」
「いいからいいから♪」
義姉さんに促されるがままに、俺はドームの中へと入った。
中はほぼ真っ暗で、上の方に空いた穴から、星空を確認する事でしか、光を感じる事ができなかった。そのせいか、秘密基地みたいな感覚がこの前より強い。
義姉さんが体育座りで、背中を壁に預けているのが僅かに見えたので、俺は肩がぎりぎり触れないくらいの位置に腰かける。オッサンは気を利かせたのか、外で煙草を吹かしていた。おい、そんなもん持ってたのか。
まあ、どうでもいいので、とりあえず本題に入る。
「それで……その……なんでそんな恰好を……」
「ああ、これ?えっとね……」
「…………」
「実は……」
「…………」
「とても言いづらいんだけど……」
「…………」
「私ね、コスプレが趣味なの」
「いや、普通かい!」
「え、え?何?」
「いや、今時コスプレが趣味とか普通だから。何なら日本の5人に1人はコスプレ好きだから!俺も実は4着ほどアニメのコスプレ衣装持ってるから!」
「絶対にそんな事はないと思うよ!!それより、弟君の唐突なカミングアウトにお姉ちゃんびっくりだよ!!」
「はあ、てっきり義姉さんがお金が欲しくて、コスプレしてオッサンとデートしてるかと思った……」
「し、しないよ!そんな事!弟君のばか!」
「ここから物語が盛り上がると思ってたのに……」
「何故かがっかりされた!」
「こりゃあ、罰としてラブライブ!やアイマスのコスプレをしてもらうしかないな……」
「さり気なくリクエストされた!弟君、お姉ちゃんにするリクエストじゃないよ!?」
「え?そ、そ、そう……なんだ」
「そこまで落ち込まなくても……わ、わかったよ。月乃ちゃんがいない時にやってあげるから!」
「ありがとう!!」
「うわぁ、なんて幸せそうな笑顔……」
カメラをどうしようか、高い奴を買うべきか、などと考えていると、足音が聞こえてきた。どうやら、誰か来たみたいだ。義姉さんも息を潜め、外に向け、耳を澄ませている。
その足音は、少し離れた所で立ち止まり、そるからは話し声が聞こえ始めた。男女二人組のようだ。
そして、その声には棘のような鋭さを感じる。会話はキャッチボールにはなっていなくて、お互いの言葉を相手に叩きつけていた。
「ケンカかな?」
「……多分」
やがて、女の方の声には聞き覚えがある気がして、こっそり外を見る。街灯の明かりで顔くらいはわかるだろう。
男の方はこちらに背を向けているが、女の方は丁度いい位置にいた……マジか。
…………そこにいたのは、我が担任・梛ノ宮先生だった。
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