第26話
秋アニメの時期になりました!
今期も楽しみです!
「ふふっ、弟君ったら……緊張してるの?」
「ね、義姉さん……」
ベッドに腰掛けたまま、二人の距離が縮まっていく。オレンジ色のぼんやりとした灯りが、初めて出会った日に、二人で眺めた夕陽によく似ていた。
そして、そこにある緊張感はその時とは異なる形をしていた。
「……義姉さん、本当にいいの?」
「もちろんよ」
義姉さんは髪を少しかき上げ、柔らかく微笑む。
その仕草は普段と違い、人をほっこりさせるような小動物的なものではなく、蠱惑的なものに思えた。
この感情の泥濘にあと少しでも足を踏み出せば、後は底無しにどこまでも沈んでいけそうだ。
いや、もう既に沈んでいるのかもしれない。もしそうだとすれば、今はどの辺りを漂っているんだろう?
考えている内に、姉さんが左肩にもたれかかってきた。甘い香りが普段より熱く鼻腔をくすぐる。
「弟君、その……弟君から来てもらっていいかな?」
「……っ」
至近距離からの上目遣いと、滑らかに耳朶を撫でる声に、理性が8割方吹き飛んだ。
「お、弟君っ……もう、せっかちなんだから……」
「義姉さんっ……義姉さんっ……」
「弟君?弟君ってば!」
「え?あ、え?」
義姉さんが心配そうに、こちらを見上げている。
……あ、気がつけば妄想の世界に入っていた。
駅前の賑やかさと人並みが、様々な何かが入り混じった街の匂いが、湿っぽい頭の中を、乾いた現実に戻していく。ふわふわした感覚は、ゆっくりと雲散霧消していった。
「本当に大丈夫?どこか具合悪くない?」
「ああ、大丈夫大丈夫!そ、そういや、何でホテル?」
「ホ、ホテル?何の事かな?」
「え?」
「え?」
「こいつ、とうとう頭がおかしくなりやがった……」
オッサンの言葉にはっとさせられる。
あぁ…………そこから?
長々と妄想して、どうもすいませんでした……。
義姉さんに対する言い訳を考えながら、火照った顔を冷ます春の夜風を感じた。
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