第25話
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「…………」
「…………」
お互いに無言のまま見つめ合う。ただし、ロマンチックな空気など、どこにもなく、二人してポカンと口を開けたまま、固まっている。人混みが鳴らす騒音が遠ざかった気がした。
数回瞬きをした後で、義姉さんが先に動く。
「え~と、花子ったら、ま、まだかなぁ……」
スマホで時間を確認しながら、いるかもわからない待ち人の名をこれ見よがしに呟き始めた。
……誤魔化すの下手すぎだろ。
すぐに距離を詰め、その肩に手を置く。
あれで誤魔化せたとでも思っていたのだろうか、その華奢な肩は、驚きにビクッと跳ね上がった。
「な、な、何ですか!?」
「いや、それはこっちのセリフだから。まずどこから突っ込めばいいのかわからん」
一瞬だけ逃げるような素振りは見せたものの、すぐに観念して、義姉さんはこちらに向き直った。
改めてよく見ると、その制服姿は実によく似合っていた。似合ってはいるのだが……制服に制服らしい野暮ったさがなく、ギャルゲーの世界から抜け出てきたような不自然な印象がある。まさか……ギャルゲエの世界よ、ようこそ!なんて展開になっちゃったのだろうか。
「こ、これは……サ○カスのギャルゲーを彷彿とさせやがる……」
「オッサン、感動しすぎ」
小声でオッサンにツッコミを入れると、いきなり義姉さんから両肩を掴まれる。
「弟君」
「な、なんでしょうか」
真剣な眼差しに気圧される。
また周りの音が遠ざかった気がした。
「とりあえずこの事は月乃ちゃんには黙ってて」
「了解」
言ったら、家の中の空気はさらに冷たくなるだろう。いや、今も別に悪いってわけじゃないんだよ?ただ、ちょくちょく気まずくなるだけで。
月乃の放つ絶対零度の空気に思いを馳せていると、義姉さんは話を続け始めた。
「それと……」
「?」
「ホテル……行かない?」
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