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23話【ちゃんとお勉強しましょう】

 



「──ハッ!」


 パチリと目が覚め、普通に呼吸出来てる事に気が付いて深く息を吐く。危うく死ぬところだった…。


「あ!ティア様!目が覚めましたか!?」


 頭上からパタパタとわたしの傍らにファムが下りてきた。焦ったのから躓いてくるりと一回転したけど本人は気にならなかったらしい。

 転がるファムを見て自分の胸に触れて確かめてみる。


「ん?なんで?」


 身体を起こして改めて確認してみると、あんなにピッチピチにわたしの胸を締め付けていたワンピに余裕があった。と言うよりも普通にジャストサイズになっててスカート部分も長くなってる。


「ティア様が倒れられた原因がお洋服のようでしたので…急遽ウサリス達にサイズの調整をお願いしたのです」

「倒れてたままで?」

「はい」

「なんて器用なの…」


 ウサリス達の器用さに感心しながらも、わたしは自分の体をあちこち動かしてみた。

 急に成長したのにどこも不調がないのは違う意味で気になるけど、まぁ良しとしよう。


「何処か体調におかしなところはありませんか?」

「ううん。特にないかな」


 心配そうに見上げるファムを抱えて立ち上がると、自分が本当に大きくなったのだと改めて感じた。


「ところでわたし何で大きくなったの?」


 ファンタジーな世界だから予想不可能な部分が多いのも事実。不思議に思いファムに問うと彼はむむむ…と難しい顔をしてわたしに椅子に座るよう促した。


「コホン…。ティア様。貴女様が精霊王となって【世界の記憶】を覗かれた回数は?」

「えぇと…最初の時にパラパラッと見たのと…魔法の練習の時と…解呪の時の3回かな? あ、でも魔法の練習の時は何十回も覗いたよ?」

「…では、ご自身の事について調べられたことは?」

「ないよ」


 ファムは身体中の空気を出すかの様な深い溜め息の後、キッとわたしを見据える。心なしか不機嫌そうだ。


「ティア様はお勉強は好きですか?」

「嫌いかな」


 自慢じゃないけど勉強は嫌いだ。数字に関してはとにかく苦手だった。ぶっちゃけ因数分解なんて学校卒業したらいつ使うのか謎過ぎる。逆に聞きたい、いつ使うの?って。


 いい笑顔で「嫌い」と言い切ったわたしにファムの眉間の皺がビキッっと音を立てた気がする。

 ヤバイ、と思ったのと雷が落ちたのは同時だった。


「ティア様ッ!!」

「は、はいっ!」

「勤勉であれとはもうしませんが、せめて!ご自身の事くらいは関心をお持ちください!ティア様はマイペースなのが長所ですが短所でもあります!学ぶべき事は山のようにありますが、それら全てを一度に学べと言っているわけではありません!それは今後のティア様の為にするべき事であって決して私は意地悪で言っているのではないのです!金銭の価値も知らず買い物が出来ますか?出来ないでしょう?そう言う事も含めてのお勉強なのです!わかりましたか!?」

「了解であります!」


 思わず背筋を伸ばしてしまったわたしに、唾を飛ばす勢いでファムは捲し立てた。

 言われていることに間違いはないので私はそれからも暫くファム先生に大人しく叱られることにしたのでした…。






 お説教の後、渋々頭の中に【世界の記憶】を呼び出して取り敢えず精霊王についてお勉強することになった。


 一応自分が大きくなった事について調べてみたのだけど、なんと精霊王は人間と良く似た体を形成してはいるが、肉体そのものはエルフに近いものらしい。半分人間で半分妖精なのだとか。なので人間のように時間をかけて成長するわけではない。

 精霊王(わたし)の身体に必要な成長のプロセスはなんと『心の成長』だった。それは世界と関わることで育つので、昨日の解呪で世界と関わりを持った事になりわたしは急激に成長したようだ。


 ─え、じゃあ世界と関わったらわたしすぐおばあちゃんになるってこと!?


 老化早すぎじゃん!と青ざめていると続きがあってわたしはホッと安心した。

 どうやら人間で言う活動期の年齢に達するとわたしの成長は止まるらしく、自ら肉体の年齢を変えることも出来る様になるみたいだ。


 ─そう言うのは先に言ってよ!!焦ったじゃんか!


 本で言えば数ページ読んだだけなのに無駄にどっと疲れた気がする。

 でもまぁ成長できるみたいなのでよかったよかった。

 さすがに小さいままじゃ色々不便だもの。

 けど期間限定の幼女体だとわかったので、30歳だと撲殺もので着ることが出来ないようなフリフリとか可愛いピンクなお洋服が着てみたい。

 涙花の時じゃ似合わなかったロリータファッションも、この身体ならいける!ふへへへ。

 涙花時代に培ったお裁縫の腕を今こそふるう時だ。


「おや。お勉強は楽しいようですね」


 わたしがひとり妄想でニヤニヤしていると何を勘違いしたのかファムは「感心、感心」と頷いた。

 よし、勘違いさせたままにしておこう。



 しかし、この【世界の記憶】というもの。

 わたしの中じゃ大きな図書館みたいな感じのイメージなんだけど、とにかく量が多い。こんなの一生かかっても読みきれないんじゃないの!?と若干うんざりしてきた。それくらい情報が多いのだ。

 とは言え何でも間でもわかる便利な本と言う訳ではない。

 飽く迄も世界に大きく関わった出来事や事件、人物などが記録されているだけで、一個人の事などは事細かく記録されてはいない。


 ─本は好きだけど。勉強は嫌いだからなぁ…わたし。これはチマチマと目を通していくしかなさそうかな。


 その後はお金の事を調べたりして過ごした。

 数日後にはお買い物をしに街に出掛けるのだ。何せこの世界での初のお出掛けなのだから、事前のチェックは怠れない。


 ─お出掛け用の服に、後はバッグも必要だよね。折角作った布草履も成長したから多分小さくなってるだろうから作り直さないと…。ワンピはタックで調整できるから良いとして…。


 問題は沢山買い物したいけど、如何せん子供体なのでそんなに持てないと言うことだ。


 ─良くファンタジーで異空間に収納したりとか便利な魔法があるよね。あるなら是非ともわたしも習得したな~。


 どれどれ…と調べてみると一応あった。

 バッグや入れ物に付加するいわゆる四次元ポ◯ットのような魔法鞄と、普通に空間を裂いて収納する魔法のふたつだ。

 異空間魔法を付加された魔法鞄は持ち歩かなくてはいけないのと、盗難されると中身まるごと失うのがネックになる。その点、空間を裂いて収納する魔法は何処でも使えるのでとても便利なんだけど、使う魔力が割りと多いので一般には魔法の付加されたバッグを持つ人が多いようだ。


「なるほど…。よし、いっちょ試してみますか」


 収納魔法はイメージが大事だそうだ。

 そこは現代日本の記憶がおおいに役立つ。

 なんたってあの青い猫形ロボットのポケットのイメージのお陰で、異空間という物のイメージが既に出来上がっているのだから。


「ふん!」


 掛け声はいらないのだけど、何となく気合いをいれるために声に出してみる。

 すると目の前にまるで波紋の様に波打つ物が現れた。よし、成功だ。


 ズボッと手を突っ込んでみるとわたしの手首から先は波紋の中に消えた。試しに目の前にあったファムの用意してくれたお茶を入れてそのまま魔法を消し、そしてまた発動させて手を入れてお茶を取り出す。ティーカップの中のお茶は変わらずにわたしの手の中に帰ってきた。


「ファム、見て見て~!」

「どうかされましたか?」


 面白いので何度もズボズボしていたのをファムに見せると、鳩が豆鉄砲食らった顔をしていた。鳩じゃないけど。




かなり間が空いてしまいました…(;´Д`A


次はいよいよお買い物に!…行けるといいなぁ笑

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